「最近、何聴いてる?」大喜利は難しい。

タイトルにある通りで、音楽の趣味を人と共有するのは難しい。
音楽に限った話ではないかもしれないけど、Apple Music、Spotify、Amazon Music、LINE MUSIC等々の定額ストリーミングサービスが音楽を聴く上で必須アイテムとなった現在において、自分の趣味を人に説明することは難しい。

僕らが中学生くらいの時は、まだその人の音楽の趣味を特定させることは難しくなかった。千円札を握りしめてGEOに向かい、10枚好きなアルバムを借りれば大体その人の好みが分かる。サカナクションとセカオワはマストで、あとはクリープハイプに、まだあまり知らないバンプをベスト盤で・・・みたいな感じ。(自分が中学生だった時のチョイスはこんな感じだったはず)
借りられる限度や予算があったことは制約であったかもしれないけれど、同時にそのジャンルに対する一つの保守性や、金を出した以上繰り返し聴かなければならない、という義務感から生まれる深さも生み出していたと思う。

ただ、今は違う。
新作料金なんて気にせずに0分前にリリースされたアルバムをその瞬間に聴くことができるし、知らないアーティストのアルバムを何の気無しに再生して、合わなければ別の曲に飛ばすこともできる。どこまでも潜ることはできるけど、その分浮上も早いし、色んな水の中に行ける。
そんな行為の連続の中で、お気に入りや気分に合う音楽が広がっていって、各個人に独立したそれぞれのおすすめ欄がそれぞれのプラットフォームのアルゴリズムによって形成されていく。

おすすめ欄はその人を映し出す鏡であるが、その人のことしか映せない。

そんな状況下「最近、何聴いてる?」という問いで人と盛り上がれるはずがない。新作が出たからKanye Westを聴いて、Lil Nas Xを聴いて、Apple Musicのおすすめで出てきたPark Hye Jinが凄い良くて・・・話したいことは山ほどある。おすすめしたい曲も山ほどある。最近久しぶりに聴いてやっぱり良いな〜って思った曲も山ほどある。
でも、それが必ずしもその場で共有されて共感を呼べるだろうか。しかも、「最近、何聴いてる?」に対して与えられた回答のターンは1度きり。1度目を外して仕舞えば、あとは苦し紛れにみんな知ってる系のアーティスト名を出すだけだ。

さて、ここまで散々「最近、何聴いてる?」を糾弾してきてしまったが、実際自分もその質問は無意識に、割としてしまう。だって自分の音楽視聴の幅は広げたいし、本当に目の前の人が何を聴いているのか知りたいから。ただし、知らないアーティスト名とか、興味ないジャンルの音楽が出てきてしまうとそこから会話が続かない。急に心が冷めていくのが分かるし、聞かなきゃよかった、とも思う。
でも、人が何の音楽を聴いているのか?という興味は押し留めることができない。心のどこかで、自分が生涯聴き続けるようなアーティストやアルバムをレコメンドしてくれるのではないか、という期待が膨らむ。その期待が敢えなく弾け飛んだ後の会話が大変なだけで、人の好みはたくさん知りたい。つまり、めちゃめちゃ面倒くさい。でも、せずにはいられない。

みんなは最近、何聴いてる?


追記:みんなとか書いちゃったけど、このnoteを定期的に読んでくれている人は認知しているだけで2人です。こんな下書きなしの書き散らしをいつも読んでくれてありがとう。

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