見出し画像

下北沢珉亭

今日は午前、少し寝坊したことと定期券の更新をしていた影響で、オンライン授業を新宿のカフェで受けた。時間にギチギチに管理されることなくフレキシブルな選択がその都度できるようになったことは、パンデミック下でささやかながら感じる恩恵だ(当然それ以上の多くを失っているため、プラスマイナスで言えば地獄の釜の底レベルでマイナスなのだが)。

授業が終わればもう昼時。折角なので下北沢駅で下車し、以前からずっと行きたいと思っていた中華料理屋「珉亭」に行くことにした。この店を知った経緯は小沢健二『アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)』の詞中に「下北沢珉亭ご飯が炊かれ麺が茹でられる永遠」という言葉が出て来たから。この曲は岡崎京子の漫画『リバーズ・エッジ』の実写劇場版主題歌でもあり、私はこの曲も、漫画も、実写映画も大好きだ。


実際行ってみると、外観は昔ながらの街中華といった感じだった。カウンター席に通されると目の前はすぐ厨房。3~4人の調理人が忙しなく動き、次々とラーメンやチャーハンができていく様子を間近にみることができた。並べられる皿、注がれるスープ、揺れる中華鍋。小宇宙の趨勢を眺めるような感覚で、それを見ていた。
頭上には色々なサイン色紙が飾られてあったが、色紙を保護するプラスチックケースが長年の油汚れによってその透明性を失い、殆ど誰のサインだか判別不能だった。辛うじて分かったのは、忌野清志郎と甲本ヒロト。甲本ヒロトはかつて珉亭で働いていたらしい。

半ラーメン半チャーハン(ラーチャンと呼ぶ)を頼み、最初に出てきたのはお新香。キムチの辛さを少し弱めて、ニンニクを3倍増ししたような罪悪感を旨さで完璧に掻き消す品だった。ラーメンとチャーハンも、安心するような街中華の味。食紅で色をつけた豚肉を使用し、チャーハンが真っ赤なことは、この店の特徴らしい。圧倒的な火力と、油力がなせる技。あっという間に完食してしまった。

また行こう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?