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私も通いたかった宝石学校・タイ・チャンタブリの「Rambhai Barni Rajabhat University」

こんにちは。リカラット代表の小山(おやま)です。

今回は、タイ・チャンタブリに買い付けに行ったときに偶然知ることになった「宝石学校」についてお話しします。

宝石の集積地・チャンタブリ

チャンタブリは、宝石の集積地として世界的にも有名です。
宝石商もたくさん拠点を構えていて、サファイア・ルビーなど有名な宝石の多くはここに集まってきます。そして、現地の宝石商だけでなく、世界各国から多くの宝石商が集まり宝石の売買を行っています。
タイ・チャンタブリの買い付けブログはこちらにまとめています。

ところで、現地で買い付けをしているとわかるのですが、現地の方の宝石鑑定士としての知識量は人によってかなりバラツキがあります。そして中には、知識量が多く、深く、宝石鑑別方法・採掘方法・デザインなど全般にわたって、驚くくらい詳しい方もいらっしゃるんです。

ここで疑問が一つ浮かびます。

「宝石商が多いチャンタブリだけど、そもそも宝石商になるための土壌もチャンタブリ特有のものがあるのでは?」

そこで色々聞き込みを行った結果、気になる情報を入手しました。

「この近くに、宝石商になるための大学があるんだよ」

紹介してくれた方は、幅広く知識量のある宝石商で、日本でも滅多にお目にかかれないレベルです。

それはもう、気になってしまいますよね。

しかも「大学」です。

そこで、宝石買い付けが終わった後、突撃でこの大学を訪問してみました。

Rambhai Barni Rajabhat University

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こちらが「Rambhai Barni Rajabhat University」(タイの国立大学)です。その中に、宝石学科(GemologicalSciences)というものがあるそうです。アポをとっていなかったので、入り口の警備員の方に、まずはご挨拶しました。

「日本から来た宝石商です。チャンタブリの宝石商からこの学校を紹介されました。この大学でどのように宝石について学べるのか知りたいのですが、宝石学科を見学してもよろしいでしょうか?」

警備員さんは、すぐに宝石学科の先生達に連絡してくれました。

先生方も笑顔で「OK!」とのこと。

中を案内してもらえることになって、とても嬉しかったですね。

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まずは、宝石学科の先生方と簡単な自己紹介を交わします。お互いプロですから、宝石に関する話をするのですが、そこで「ここに日本人が来たのはあなたが初めて」と言われました。

私が一人目の栄誉を頂いてしまいました(生徒ではないですけど)。

日本人が初めてということもあり、すごく歓迎してくださいました。先生方は親切で、なんと全教室を案内していただきました。

構内見学で見つけたものは…?

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実は大学の名前を教えて頂いた際に「宝石学科」についてネットで調べました。けれどネット上に情報がほとんどなく、どんなことを教えているのかすごく興味がありました。

ちょうど夏休みということもあり、中はがらんとしていました。でもそのおかげで、日本ではまず見ることができない設備が沢山あることがよくわかりましたね。

日本では一般的には鑑別のみ、もしくはデザインだけを学ぶことが多いです。ところが、ここでは全て(採掘・研磨・鑑別・デザインなど)を学ぶことができるそうです。中でも驚きだったのが、採掘・加熱処理までもこの大学では学べるということでした。
日本ではそうそうできない授業です。

日本ではまず学べない「採掘」って?

タイは有名な宝石産出国でもあります。
そのため、実際に自分で採掘する授業があったり、採掘した石を自分で加熱したりすることができるんですね。

採掘現場はこんな感じ。大学の裏側の平地です。
ある意味「そのへんで採掘できる」と言ってもいいでしょう。

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この穴の中にサファイアがあります。ちょっと意外だと思いませんか?

一般的に、宝石採掘というと鉱山などで採掘をするイメージですよね。ところがチャンタブリでは、家の庭や裏山の平地で穴を掘って採掘することが非常に多いんです。実際にそこから石を採掘できるんですね。

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この穴に私も実際に入って採掘させてもらいました。かなり深いです…!

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そして、上の写真のようなサファイアの原石を採掘することができました。

宝石品質としてみると、それほど良いものではありませんでしたが、とても貴重な体験でした。

現地の方のお話では、サファイアの採掘量はそこそこあるそうです。一方で、宝石品質のサファイアの入手は非常に難しいとおっしゃっていました。
大学の裏でこのように実際に穴を掘って採掘できる環境は日本にはありません。
これはとても魅力的な授業だと思いました。

私の場合、何時間でもこの穴に入っていられそうです(笑)。


日本ではまず学べない「加熱処理」って?

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次に私が驚いたのが、サファイアやルビーなどを加熱処理する設備です。加熱というと窯などをイメージしますが、実際は上の写真のような設備を使います。

ルビーやサファイアに加熱処理を施す理由は、「色や透明感を引き上げるため」。サファイアの青色がくすんでいたり色ムラが激しい場合は、加熱処理によって色と透明度を整え、美しく仕上げます。つまり、原石がくすんだ色合いをしたサファイアは、市場に出しても売れる可能性が低いと考えられるため、市場に出す前に見た目を整えているんです。

色の綺麗な宝石にすることで、より多くの人の目に留まりやすくなります。
より宝石の魅力を引き出すために、加熱処理は必要な作業なんですね。

ちなみに、加熱処理は簡単ではありません。

石が割れたり、色がくすんだりすることもよくあるので、かなりの知識と経験が必要になる作業です。

今回は、実際に加熱する体験はできませんでしたが、これも日本ではまず経験できない授業です。素直に「羨ましい……」と思いました。

実地訓練ができる「鑑別設備」も

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こちらは顕微鏡・屈折計・偏向器などを用いて宝石鑑別を学ぶ教室です。資料石も沢山あり、それぞれの宝石の見分け方のポイントをここで学ぶことができます。

チャンタブリでは多くのサファイアが採掘できるので、大学には様々なサファイアの資料石がありました(中には200ct以上の綺麗なサファイア原石も!)。

授業では、丸一日鑑別だけを行う日もあるそうです。
普段私が宝石商として経験している何百石もの鑑別も、ここで訓練できるなと感じました。

他にも「夢のような設備」が

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写真の通り、宝石に関する書籍もたくさんあって、私にとっては宝の山のような場所でした。この大学は、採掘からデザインまで、宝石商になるためのあらゆることを学べる学校だということがよくわかりましたね。

本当に、ここに通っている学生の皆さんが羨ましかったです。

まとめ

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今回ご紹介した大学「Rambhai Barni Rajabhat University」は、宝石商として必要なスキルが一括で学べる素晴らしい学校でした。
今回の突撃訪問も快く受け入れてくださり、とても貴重な体験ができました。

一番印象的だったのは「採掘」の勉強ができることです。鉱山は、鉱山毎に採掘方法が異なります。ここでは、チャンタブリならではの採掘方法を実際に学べます。

最初は知らない大学だな、と思ったのですが、実際に見学をして「この大学は宝石商になりたい人には魅力的だろうな」と強く感じました。
宝石商を目指す方・石好きの方に、選択肢の一つとして提案するのもありだな、と私は感じています。大学生の頃に戻れるのだったら、ここに通いたかったなというのが本音です。

―――今なら、この大学の日本人生徒第一号になれますね!




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宝石鑑定士。福岡の質屋出身。GIA G.G.国際宝石資格を取得後、宝石卸業として独立。その後、リカラットを設立。世界中で宝石の買い付けを行い、宝石通算売買数は100万石以上。買い付けの様子やイベントを中心に記載https://company.recarat.com/
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