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【前半編】タイ〜バンコク&チャンタブリ〜2年半ぶり宝石買い付け紀行

カラッツ(KARATZ)代表の小山(おやま)です。

2022年7月中旬、約3年ぶりとなる海外宝石買い付けのため、タイに約1週間滞在しました。

久々のタイのバンコクとチャンタブリは、コロナ禍によるロスを取り戻すためか非常に活気に満ちており、沢山の宝石との良い出会いに恵まれました。

美しい宝石の写真とともに、買い付けの旅を振り返ってみます。


1日目 羽田からバンコクへ、そしてすぐに買い付け

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早朝の飛行機に乗って、羽田からタイ・バンコクに向かいます。空港は、以前と比べるとやはり人が少なく、静かな様子でした。

到着後は、3年ぶりにバンコクの宝石商達と歓談。タイの宝石マーケットには、アフガニスタン、インド、アフリカ、トルコなど様々な国からの商人が集い、多国籍で大変興味深い場所となっています。コロナ禍で思うように海外に行けない中、各地の宝石商の話は世界の宝石マーケットを知る上で非常に参考になります。

写真は、レバノン人宝石商秘蔵品の1000ctのモザンビーク産モルガナイト。


清々しい美しさのカラーチェンジスピネル。インクルージョンも、澄んだ水に広がる泡のようで綺麗です。10ctサイズで価格が折り合わず、残念ながら購入を断念しました。

バンコクでの買い付け 2日目

到着の翌日は早速本格的な商談に入ります。30人以上の宝石商から提案された宝石を8時間かけて選定しました。カラー、カット、クラリティと自分の相場感を軸に、自ら定めた基準を満たすもののみ買い付けます。

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写真左はラズライト、右は色とりどりのスピネルです。

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こちらは1.2mm〜サイズのピンクスピネル。細かい作業なので終盤には手が痺れ、目が開かなくなる程疲れますが、この方法でレアストーンからメレサイズまで短期間で幅広く買い付けることが出来るのです。

3日目 いざチャンタブリへ

3日目はバンコクから車で4時間かけ、チャンタブリに向かいます。

久しぶりのチャンタブリは、私の想像以上に活気に満ちていました。「昨年まではコロナの影響で商売にならなかった。」という嘆きを至るところで耳にしましたが、今年はその分を取り戻そうというブローカー達の熱気をひしひしと感じました。

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チャンタブリの宝石街に着くと、KARATZの席が用意されています。紙にはタイ語でサファイア・スピネルなど宝石名が書いてあります。現地ブローカー達はこの紙を見て、私が欲しい石を確認し、その宝石を持ってきてくれます。

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ここで買い付けた宝石がさくらインカットダンデライオンカットなど素敵な作品にも生まれ変わります。

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こちらは、以前タイ・チャンタブリで買い付けた宝石が、さくらインカットやダンデライオンカットに生まれ変わった作品です。海外で買い付けたカラーレスやパープルのスピネルなどの宝石たちが、日本の職人さんの手により新たな美しさを纏うのは、非常に感慨深いです。

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カボションカットのこちらの宝石は、バンカチャスターサファイアです。
チャンタブリで仕入れたものは、そのままの状態だとカットが甘いものが多く、それらはバンコクで再度カットします。出会うまでも一苦労ですが、納得がいくものになるには更に手間と時間がかかります。

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朝から買い付けをスタートし、ようやく終盤に納得するものに出逢うことが出来ました。宝石との出逢いは千載一遇で、タイミングや運が非常に大切です。今回はタンザニアの宝石商がカラーチェンジスピネル(上の写真)を持って来てくれました。

4日目・チャンタブリ メインの土曜日マーケット

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チャンタブリ2日目の土曜日。チャンタブリのマーケットは土曜日がメインなので、様々な国から宝石商が集まり、各所で熱い交渉が繰り広げられています。この雰囲気やプロ同士のやりとりの熱気が、宝石買い付けの旅の醍醐味です。世界中の素晴らしい宝石を紹介できるよう、この日も目を光らせます。

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チャンタブリでの買い付けは、2日間と短期決戦のため、お昼はオフィスにタイ料理が用意されています。メニューはタイの家庭料理で、個人的にはタイのどのレストランで食べる料理より美味しいです。事務所にあるキッチンで作ってくださり、結構辛いのですが、美味しいのでいくらでも食べられます。バイヤー同士で午前の戦利品の情報交換をしながら食事を済ませたら、限られた残り時間で午後も集中して買い付けを行います。

こちらは2日目の戦利品の一つ、バンカチャサファイアです。大きさ、美しさともに素晴らしいバンカチャサファイアで、購入を即決しました。バンカチャはチャンタブリにある鉱山ですが、既に閉山しているため、上質なルースとの出会いは千載一遇です。前回の買い付け時には探している品質が無く断念しましたが、今回は巡り合わせが良かったようです。

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さらにもう一点、是非ご覧いただきたいのがこちらのサファイアです。なかなかの価格で、交渉にも時間を要しましたが、色帯が美しい5ct upのブルーサファイアを買いました。バンコクに戻り次第、現地の鑑別機関でベリリウム拡散処理の検査をします。携帯用機材では断定が出来ないため、高額な品を買った際はタイに居る間にチェックします。

さて、長くなりましたので、買い付けの旅の続きは後半編として、分けてアップいたします。ぜひそちらもご覧ください。





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