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先に大人になった人たち #聞いてよ20歳

 

 いま20代の皆さんに知っておいてもらいたい大事なことが、ふたつあるんです。

 ひとつは、予想できなかったこと。
 もうひとつは、予想できたことです。


 これから皆さんは保護者の庇護を離れて、ひとりで立つわけですよね。皆さんより先に大人になった人たちは、そんな皆さんを温かい目で見守ります。そして様々な態度で、様々な視点の、様々なアドバイスをするでしょう。

 具体的な疑問に対する答えを、先に大人になった人たちが持っている可能性は高いです。ですから、皆さんはそれを役立てることができるはずです。

 しかし、将来とか、人生とか、生き方とか、社会人としてのあり方とか、そういう観念的なものについては、先に大人になった人たちがお役に立てることはないと思います。


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 ひとつめ。予想できなかったこと。

 先に大人になった私たちは、スマートフォンの出現を予想できませんでした。不思議ですよね。世に広めたのはスティーブ・ジョブズで、先に大人になったおじさんです。でも彼以外の誰も、予想できませんでした。スマートフォンの存在しない2020年をイメージしていました。

 だから、いまの20歳が抱えている悩みを、私たちは想像できないんです。

 LINEによるいじめも、就職活動も、経験したことがありません。だから、わかっていないんです。

 それに、今年疫病が流行るなんて予想していませんでした。疫病なんて歴史の教科書に載っているものだと思ってました。わたしも、人類は医学で病原菌に勝ったはずなのだから、流行るわけないと思ってましたし、いまでもそう思っている人は少なくありません。


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 ふたつめ。予想できたこと。

 まず少子化です。これが社会問題になったのが1990年からです。そうです。ざっと30年前です。この年に生まれた子どもの数がわかったのですから、20年後の成人の数がわかりますよね。そして、その後の親になり得る人の数もわかります。

 30年もあれば、打てる対策は様々あったはずですが、先に大人になった人たちは、なにもしませんでした。

 そして気候変動です。どうやら人類の排出しているガスが原因で地球の気温が上昇しているぞ、というのは実は1988年から一般認識になりました。もちろん無為無策だったわけではありませが、効果的な対策をとろうとすると経済界が反対するので、折衷案しか実践しませんでした。

 そして2016年から日本は水害続きです。残念ながら今年も災害は避けられないでしょう。


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 先に大人になったわたしたちなんて、こんなものです。

 予想できなかったことは、予想できなかったですし。
 予想できたことに対しても、なにもしなかったんです。


 皆さんはこれから、膨大な量のアドバイスを受け取ると思います。

 もしあなたが、自分の将来のために大切な行動をとろうとしたとき、先に大人になった人たちは「応援するよ」と言いつつ「でも」と条件をつけるでしょう。

 しかし、あなたが「あんな言葉を信じなきゃ良かった」と後悔したときには、その相手はもう鬼籍に入って逃げ去っています。

 皆さんにアドバイスをする相手は、絶対にその責任をとりません。責任をとらなくていいから、気楽に口にするんです。


 皆さんが生きていく2060年の地球には、先に大人になった人たちはほとんどいません。つまり2060年の皆さんのことなんて、考えている大人たちはいないと思っていいでしょう。考えているフリをしているだけです。

 だから皆さんも、アドバイスを聞いておくフリをすればいいと思います。


 それよりも、大事な仲間と、一緒に生きる未来のことを、考えましょう。
 全部、あなたのものです。


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 参考資料
地球温暖化防止活動推進センター
内閣府 少子社会の到来とその影響

電子書籍の表紙制作費などに充てさせていただきます(・∀・)