リストラに、ありがとう。

今回のテーマは、リストラという人生最大級の試練をどう捉え直すか、です。リストラのデメリットはすぐ思いつきますね。収入がなくなる。地位も名誉も立場もなくなる。将来もなくなる。世間体が悪くなる。人間関係がなくなる。家族への威厳がなくなる。ダメ人間のレッテルを貼られる‥‥などなど。でも、これらは本当にデメリットなのでしょうか?

まず収入がなくなるですが、確かに在籍していた会社から給料は貰えなくなりますが、転職すれば、今度はそこから給料が貰えるではないですか。もしかしたら前職よりも高い給料が貰える可能性があります。こんな幸せこことは他にないではないですか。

次に、地位も名誉も立場もなくなる、ですが、これまで培ってきた地位や名誉や立場に固執するより、新しい地位や名誉や立場を得たほうがワクワクしませんか? もしかしたら、もっといい地位や名誉や立場が得られるかもしれないのです。こんな幸せこことは他にないではないですか。

将来もなくなる、ですが、何を言っているのですか。そもそもその会社にいたからといって、あなたの将来なんてなかったのです。あなたの将来は違い場所にあるのです。だから、神様はあなたをリストラしてくれたのです。こんな幸せこことは他にないではないですか。

世間体が悪くなる? あなたは世間体を気にしていたのですね。もしかしたら中小企業より大企業、無名な会社より有名な会社のほうが偉いとでも思っていたのではないですか? そんな小さな考え方をしていたから、リストラという経験をさせられたのではないですか? 世間体などあなたが考えているほど気にすべき問題ではありません。そもそも、あなたがどんな一流企業にいようが霞が関の中央省庁にいようが、そしてそこからリストラされようが、世間はあなたに興味がありません。それがわかっただけでも、こんな幸せこことは他にないではないですか。

人間関係がなくなる、ですが、確かにあなたは元の会社で一定の地位や名誉や立場を得たかもしれませんが、そのぶん足の引っ張り合いや裏切りや嫉妬やイジメなど人間関係で苦しんできたはずです。そのしがらみから強制的に解放されたのです。こんな幸せこことは他にないではないですか。

家族への威厳がなくなる、って本気でお思いでしたら、猛省すべき絶好の機会が与えられたのです。食うに困らない暮らしができるのは誰のお陰だと思っているんだと、あなたのその思い上がった意識を叩きのめすために、今回のリストラはあったのです。もし、そんな思いを持ちながら順風満帆に定年退職などしていたら、あなたはその後、家族の誰からも相手にされない寂しい老後を送っていたでしょう。家族はあなたが頑張って働いてくれることに感謝はしているでしょうけど、だからあなたに威厳があったわけではありません。威厳は役職や収入で形成されるものではないのです。無職で無収入だって威厳がある人はいくらでもいます。あなたはこれから、本当の意味での威厳を保つことができるのです。こんな幸せこことは他にないではないですか。

こうして見てみると、一見ネガティブに思えることでも、実はポジティブなことの裏返しなんだということがわかります。しかし、頭で理解しても、日常ですぐにネガからポジへの反転ができなければ、意味がありません。半分の水が入ったコップを見た瞬間、「半分しか水が入っていない」と思うより「水がまだ半分もある」と思える意識になるまで一緒にこのコーナーで練習しましょう。

今回の最後に、もっと具体的にリストラされることのメリットを伝えます。「権太坂コピーライター養成所」というマガジンにも書いたのですが、それは古典がゆっくり読めることです。通勤電車のなかでは、腰を落ち着けて古典を熟読することはできません。リストラされれば、時間はたっぷりあるのです。今まで読めなかった古典を思う存分読めるのです。私は会社員時代になかなか読めなかった『カラマーゾフの兄弟』をリストラされて初めて読むことができました。こんな幸せこことは他にない、と本気で思いました。


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