プログラム14 プレゼンに落ちたら笑いなさい。

最初に、前回のプログラムの補足をしておきたい。憧れの人がいるなら、臆せずにアプローチしなさい、と書いた。ただし、不躾は慎むように。距離感を大切にすること。アプローチをするのは君だけど、その後の関係を深めるのも薄めるのも、主導権は相手にある。返事がなければ、縁がなかったと諦めなさい。くれぐれも強引に近づかない。会いたい一心で近づけばストーカーになってしまう。

では今回のプログラムを始めます。苦しいときこそ笑いなさい、という精神論は、それが実際にできるかできないかは別にして、これまで何度も教わってきたことだろう。社会人になってからも、仕事をするうえでの心構えとして、1度や2度は耳にしているのでは。ただし、理屈は理解できても実践が難しいのは肌で感じているはずだ。頭では分かっていても、なかなかできない。だからこそ、苦しいときに笑える人は、一握りしかいない一流と呼ばれるのだろう。逆に、苦しいときに簡単に笑えるようになるメンタリティを持つことで一流になれるなら、追求してみる価値はある。ということで、プログラムに取り入れた。

博報堂出身の作家・中谷彰宏さんのことは、もうみんな知っているよね。影響を受けた人も少なからずいるだろう。一流について語らせたら、日本でこの人の右に出る人はいないと私は思っている。だから、一流をめざすなら、中谷さんの著作は必読書だ。とはいっても膨大な量が刊行されているので、タイトルに“一流”が入っているものだけでもいいから読むといい。一流についての理解が深まる。

人生はオーディション

モデルやタレントのオーディションに、立ち会ったことはあるかな? あれば話は早い。採用されるのはたった1名。それをめざして20倍、30倍、100倍の応募者が殺到する。個別に審査する場合、名前を呼ぶ、面接室のドアが開かれる。入室しお辞儀をして椅子に座る。その瞬間に合否は決まる。形式上いくつかの質疑応答は行われるが、応募者を目にしたときに、すでに答は決まっている。この人で決まりだな、と思う。同時に、自分が選ばれたか落ちたか、面接をされる方も、その場で感じる。まさに、その時だ。オーディションの真価が問われるのは。面接者の視線で、あるいはその場の空気で、自分が落とされたことは大抵わかる。ガックリ肩を落としても仕方のないシチュエーションだ。残念な表情が浮かんできても無理はない。ところが、そんななかで、今回はダメだったと分かりながらも、笑顔を浮かべて退室する応募者がいる。君も出会ったことがあるだろう。その人のことは強く印象に残る。今回は落選したが次回は使ってみようかと思う。

中谷彰宏さんは、人生はオーディションだという。選ばれなかったとき、つまり思いが叶わなかったとき、どんな表情をするか、どんな立ち居振る舞いをするかを神様はジッと見ているという。君の場合でいうとプレゼンに落ちたときが、正念場だ。クライアントは、不採用を伝えられた瞬間の君の表情に注目している。そこで笑える人か、眉間に皺を寄せる人か。これから末長く付き合える人かが判断される。プレゼンには、それは勝つにこしたことはない。負けると悔しい。小さな会社なら死活問題だ。しかし、プレゼンとは、その場限りの勝負ではなく、クライアントにいかにアピールできるかが試される舞台だ。潔く負けようではないか。

自然に笑みを浮かべるために

イザというとき、条件反射的に笑顔を出せるか出せないかは、生まれつき、あるいは幼少期の育てられ方を除けば、練習しかない。といっても、CAさんたちがよくやる、手鏡を見ながら表情筋を動かすトレーニングではない。周りにいる人のいい笑顔を日頃からたくさん見て、頭にインプットしておくのだ。これを笑顔のコレクションと中谷彰宏さんはいう。

〜自分の笑顔は、見てきた笑顔の集大成だ。(中略)この人の笑顔が好きだなという人が何人思い浮かべられるかで、あなたの笑顔が決まる。〜

『なぜ、あの人は「存在感」があるのか』中谷彰宏(PHP文庫)より

今日から、とびっきりの笑顔を収集するハンターになろう。街にフィールドワークへ出かけよう。笑顔を探して街を歩くと、無表情の人が多い日本でも意外に見つかる。あのカフェの店員さん、あのコンビニの店員さん、あのバスのあのタクシーの運転手さん、あの宅配便のドライバーさん、クライアントの受付さん、学校帰りの小学生や中学生など。いうまでもないけど、スマホなどで写真を撮らず、自分の頭の中にインプットするんだよ。笑顔を意識すれば、笑顔の情報が勝手に集まってくるから不思議だ。これも引き寄せの法則なのか。君が笑顔の情報で満たされれば、どんな時も、つい、笑顔がでてしまう体質になっている。笑顔は努力でつくれない。笑顔は情報量でつくる。

さてさて、今回も余談だが、とびっきりの笑顔をたくさん収集したいなら、ニュージーランド(のクライストチャーチ)がおすすめだ。世界中の国を知っているわけではないので、あくまで限定された情報だが、この国(街)の人たちは、すれ違う人すれ違う人みんな、笑いながら挨拶してくる。日本人の感覚からしたら、ありえないほどフレンドリーだ。次の連続休暇の予定がまだ決まっていないなら、ぜひ、どうぞ。羽田からも直行便があるらしい。

今日は、ここまで。


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