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老後不安に、ありがとう。

今回のテーマは、老後不安、です。何を一番の不安に感じるかは人により異なると思いますが、代表的なものとして、経済面、病気など健康面、お肌の衰えなど美容面の3方向に大きくまとめられるでしょう。今回は、なかでも現在、多くの人が感じているであろう経済面での不安に絞って話をすすめます。

老後における経済的な不安を象徴する言葉に「老後破産」があります。最近よく耳にしますね。人生100年時代になり、定年後の長い長い長〜い時間を生きるためには、それなりの資金が必要ですが、その調達の目処がなかなか立たないのです。年金制度は破綻しないまでも、今後、受給額が減っていくことは必至ですし、退職金も減る一方。働きたくても再雇用もままならない。仮に雇用されたとしても、給与はごく僅か。収入が限られ、貯蓄も底をつくと、もう破産するしかないわけです。令和元年には、年金以外に2000万円の資金が単純計算で必要になると金融庁の発表がありましたが、この報道に多くの庶民が反発しました。こんな時代に、さて私たちはどう生きていけばいいのでしょうか? 情報を整理すると、ため息しかでない情勢ですが、下を向いてばかりもいられません。なんとか、光明を探してみましょう。

金融庁も推奨していますが、自助努力のひとつとして、この期に投資を始める方が増えていくでしょう。投資をすることにより頭を使えば老化防止につながりますし、成果がでればお金の不安から解放されます。まさに一石二鳥が期待できる解決策ではあります。ただ、投資は必ずしも成功するとは限りません。金融の知識や経験、センス、そして運に恵まれたごく一部の儲かった人だけが「老後の生活資金に対しての不安が投資をはじめるキッカケになったのだから、感謝しなくちゃ」と思うだけで、その他大勢の一般的な私たちには遠い話です。まさに“勝ち組”の論理ですね。

また同じく、金融庁の報告書では解決策のもうひとつの方法として、少しでも生活費の安い地方への移住を推奨していますが、移住することにより不安が解消される幸福な例は、常識的に考えて決して多いとはいえません。「あの時、思い切って田舎に引っ越してよかった。老後破産の警告に感謝しなくちゃ」と思う人も、ごくごく僅かでしょう。

こうしてみると、老後破産という現実を前にした私たちは、なんと無力な存在なのでしょうか。政府の無策を非難する人が後を絶ちませんが、その方々も本当はもっと建設的に解決策を提示したいはずなのです。しかし、誰かを非難するしかできることがないからそうしているだけなのです。だんだん絶望的になってきました。この状況を切り返す知恵は、果たして何処にあるのでしょうか?

いま私は、絶望的という言葉を使いました。正直に告白しますと、今回この記事を書き始める前までは、どうすれば老後破産という不安を感謝に転換できるか、何のアイディアも浮かばなく、まさに絶望的な状態でした。その時ふと思ったのです。絶望しか出てこないのであれば、逆にこの絶望を、まず突破口にしてはどうかと。まず私たちがやるべきことは、現実から目をそらさず、しっかり絶望することから始めるしかないと気づきました。

少しでも希望があるうちは、その希望に人はすがりつきます。つまり現状のまま何とかなるだろうと思ってしまいます。もう何も打つ手がない。逃げ場がない。そこまで追い込まれた時でなければ、現状を変える行動を起こしません。あなたは、この窮地を認識しこれまでの自分では乗り越えられないと悟った時、生物としてどんな行動をとるのでしょうか? きっと今のあなたでは想像もつかない行動を本能は選ぶはずです。常識的に思い浮かぶようなことは、あなたの思考の範囲内にあることなので、今のあなたの延長線上にあるものです。今のあなたでは太刀打ちできない絶望的なことは、今とは違うあなたでなければ解決できないのです。あなたが観念的に絶望しても、生命体としてのあなたは、あなたを活かそうとします。どんな方法を選ぶかは、お任せして待つしかありません。繰り返しますが、その智慧はしっかりと絶望し諦めなければ発動しません。

自分はこのままでは老後破産する。誰も何も助けてくれない。破産したら死ぬしかない。そう受け入れてください。その覚悟がスイッチになります。今のあなたではない、新しいあなたに生まれ変わります。老後破産の不安がなければ、きっとあなたはあなたのままで、悠々自適な毎日を晩年は過ごすはずです。それはある意味、目的もなくダラダラ過ごす老後と言ってもいいかもしれません。老後破産の不安が強制的にあなたの知られざる能力を開花させます。その能力があなたの身を助けます。灰色なあなたの老後が、色鮮やかに変わる瞬間です。

あなたは、心の奥底で実は望んでいたのです、そんなエキサイティングな老後を。そのために老後破産という現象を呼び寄せたのではないでしょうか?

今回は最後に、オススメの本を紹介して終わります。『絶望は神さまからの贈りもの』(SBクリエーティブ発行)ひすいこたろう・柴田エリー著、です。タイトルを見ただけで元気が出ませんか?


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