雨の日に、ありがとう。

今回のテーマは、雨、です。雨が、人生におけるさまざまな困難や試練に当たるのか、という疑問の声もあるかとは思いますが、多くの人にとってネガティブな現象であることは疑いようのない事実ですので、考察の対象とします。なお、同じ雨でも、ここ数年、日本で深刻な問題となっている災害につながる大雨のことではありません。堤防が決壊して家が流されたり、命を失ってしまった方もいる大雨をテーマにするのは、あまりにも不謹慎なことです。さらに付け加えると、突然の事故や病気、災害、あるいはテロなどにより家族や知人を失った方々に配慮し、それら事故や病気、事件、災害の問題を取り上げることも、このコーナーではしません。ちなみに私は24歳のときに交通事故で父親を亡くしました。急死でした。なので、家族を突然失った遺族の気持ちはわからないではないのですが、この問題には決して触れないようにします。心的外傷は、このような場で話題にすべきテーマではないと考えるからです。

さて、雨、に話題を戻します。一定の人を除き、雨を歓迎する人はあまりいません。一定の人とは、たとえば農業を営んでいる方々です。その他多くの人にとって、雨は忌むべき自然現象であり、だからこそ天気予報でも、晴れの日はいい天気、雨の日は悪い天気、などと表現されてしまうのでしょう。本来、天気にいいも悪いもないと思うのですが。

それにしても、なぜ雨になると、精神的に憂鬱になるのでしょうか? 逆に、なぜ晴れの日は、心も晴れるのでしょうか? おそらく確固たる科学的根拠が存在するに違いありませんが、ここでは原因の追求はしません。今回は、一見イヤな出来事を軽く切り返すための思考トレーニングだと理解してください。

余談になりますが、noteには『権太坂コピーライター養成所』というクリエーターを対象としたメンタルトレーニングのマガジンがあります。そのなかに、「雨の日を愛しなさい」というプログラムがあり、そこでは、コピーライターたるもの、どんな依頼にも対応できるよう、苦手な分野を持ってはならない。そこで、雨の日でも愛するようにならなければならない、という主旨のことをまとめたのですが、この「感謝できないことの感謝するヒント」では、そういった努力を一切することなく、自然と雨の日を愛することのできる考え方に迫ります。

まず、雨の日だからこそ得られる現生利益をできるだけ挙げてみましょう。一部の飲食店などがやっている雨の日サービス。「雨の日にご来店いただいたお客様へ○○○を無料サービス」といったアレが受けられる。(運動の苦手な人にとっては)体育の授業がなくなる。(花粉症の人にとっては)花粉の飛散量が減る。湿度があがると感染症のリスクが減る。まだまだ思いつきますか? この作業をどれだけ繰り返しても、感謝の心はおそらく沸き起こらないでしょう。なぜなら雨の日の現生利益より不利益のほうが圧倒的に多いからです。雨に感謝すべき理由や理屈をいくつ見つけ出しても徒労に終わります。感謝は頭でするものではないからです。

では、どうすれば雨の日でも憂鬱にならない心を育てられるか? 結論から言いましょう。まず最初に、あなた自身を雨の日を好きな人にシフトすればいいのです。○○○があるから感謝する、といった条件付きの感謝ではなく、そもそも絶対的に、生まれつき、なぜか雨が好き、といった自分に自分を変えればいいのです。これは難しいことではありません。とくに理由はないけど何故か好き、というものがあなたにも一つや二つありませんか? アイスクリームが大好き。猫が無性に好き。お酒に目がない。背の高い人に憧れる。物心ついた頃からジャイアンツの大ファン。ジャズに首ったけ。京都にいくと心が落ち着く。なぜ?と問われると上手く理由が見つからないけど、愛してやまないものが、あなたにもいくつかありますね。そのひとつに雨を加えればいいのです。もちろん、いつの間にか好きになった対象とは違い、最初は意志がいります。強引に頭に植え付ける必要があります。しかし、一瞬です。自分は雨を愛している人間なんだと認識することで、あなたは今日から雨を愛する人間になり、次の雨の日から、あなたはハッピーになります。自然に雨に感謝します。そう上手くいくわけがない、と思いますか?

実は、そうでもないのです。雨を愛している人間は自分以外そうはいないという希少性が、あなたを奮い立たせるからです。ほとんどの人間は雨が嫌いです。しかしあなたは違う。そこらじゅうにいる一般人に比べ自分には希少価値がある。自分は非凡な人間なんだという意識が後押しして、あなたは瞬間に雨を愛する人に変われることができるのです。

信じられなかったら、実験してみてはいかがですか? お金が一銭もかからない思考トレーニングです。昨日まで忌み嫌っていた雨が、愛おしくなる。そして、こんな雨の日に幸せな気持ちになるのは自分だけだろうと思うと、自負心が生まれます。試してみる価値はあるはずです。

この、まず最初に自分がそうなっている自分になってしまうというメソッドは、いろいろと応用が効くので便利です。たとえば、モテない人がモテるための努力をする前に、まず自分はモテるんだと認識する。そうすることで本当にモテるようになる。勉強の苦手な人が、偏差値を上げるために勉強する前に、自分は東大に入れる力がある、と認識する。そうすることで本当に東大に合格してしまう。などなど。

自分がそうと決めることで、本当にそうなってしまう。感謝の種はここにも落ちていました。


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