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「JAMPの視線」No.90(2021年9月19日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④金融専門人材募集情報
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2021年9月19日

金融業界の話題でもニッチな部類に入る気はしますが、少し前に報じられたステート・ストリート(SS)によるブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)の投資家サービス事業部門の買収には個人的にとてもびっくりしました。大手金融機関による大手金融機関の買収ということもさることながら、両社ともに資産運用業界で事業・商品開発に携わってきた個人的な経験での距離感の近さや、日本での外国籍投信の投資家サービス事業の存在感がBBHの方がSSよりも大きいという実感との逆転等、色々な点で驚きました。
一方、今回改めて感じたことは、従来型金融ビジネスの事業モデルの転換の余波が様々な領域やレイヤーに及んでいるということです。即ち、SSもBBHもともに、当該事業部門の顧客は資産運用関連事業を営む金融機関ですが、その顧客の事業成長を支えてきた従来型のアセットマネジメント事業モデルがもはや儲からなくなってきており、小規模ファンドにおける固定費用であるか、サイズを問わない変動費用であるかに関わらず、利潤を一定程度損なう外部の投資家サービス事業業者にかかるコストを削減する圧力が相当程度に強まっていることがうかがわれます。いかにこの分野で寡占的なポジションを築いていたとしても、その事業モデルを支える利潤のパイが薄まっていく以上は、規模を大きくし、装置産業化したところで、高い事業成長の道筋を描くのは厳しい流れにあることを感じています。
一方、今回のSSによるBBHの買収額は、日本円で約3,850億円ということですが、受託・受任資金残高が約600兆円もあるBBHでありながら、その企業価値が思ったよりも安い印象があるのは、つまり、利ざやの薄さのみならず、成長性の乏しさを示していることであるように感じます。正直なところ、買収者と被買収者の立ち位置はあるにせよ、いずれの事業者であっても、この事業領域を主として活動する金融機関は、残念ながらこのような収益・利潤の消失の流れと、企業価値低迷の圧力にさらされざるを得ないのだということを思います。BBHが営む事業の社会的意義を否定するものでは決してありませんし、そのブランドや専門性の高さ等を含めた存在感の大きさは私も個人的に強い尊敬の念を抱いていますが、企業成長の魅力度ということでいうと、市場は非常にシビアに客観的な評価を行うのだということを改めて認識しました。
私は常日頃から、「証券・資産運用スタートアップは同事業領域のカナリヤだ」と表現し、利潤消失のあおりでまず最初に生死の境目に陥るのは財務的に脆弱なスタートアップ企業であるという考えを発信してきていますが、それはアセットマネジメント事業領域で裏方として付加価値工程を担うカストディ・アドミ事業者も同様であり、今後はそこに能動的な付加価値を加える新たな事業モデルを考案しなければ、座して死を待つだけのように感じています。これは、従来型証券・資産運用事業領域で事務BPO等を行ってきた類似事業者にも同様のことが言えるでしょう。
弊社・日本資産運用基盤グループの事業モデルも見方によっては従来型証券・資産運用事業領域でシステムや事務BPOサービスの提供を行っているだけと位置付けられることも時々ありますが、受動的にご要望を受け付けるだけではなく、金融機関の経営陣に対し、能動的に問題提起や課題設定を行うところに弊社付加価値があると自己認識をしており、その努力を継続する仕組みの構築に今後も努めてまいりたいと思います。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2021年9月11日
【生命保険の勧誘時に「公的保障の説明を」 金融庁が規制強化へ】
大原のコメント→
個人が将来の資金需要に備えて資産形成を考える際には、まずは不測の事態に備えた保障性商品の購入が基本とされますが、その保障性商品の検討に際しても、記事内にある通り、民間の保険商品はあくまで公的保険の補完であるという認識を持つことは重要と考えます。
「公的保険アドバイザー協会」等の一部の有識者がかねてより主張していますが、民間保険商品の提案・販売は、あくまで公的保険でどのような/どの程度の保障が期待されるのか、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6180899?ref=user_121187

2021年9月13日
【日本の企業年金、米ヘッジファンドにシードマネー-中大型株運用】
大原のコメント→
個人的には日系の新興運用会社(Emerging Manager)への委任ではないのが少し残念ではありますが、国際金融都市構想の実現に向けた大きな一歩であると感じます。
国際金融都市構想の実現を阻むボトルネックとしては、税率や海外人材向けの査証発行等の問題が取りざたされることが多いですが、以前から繰り返し申し上げている通り、海外・新興運用会社の事業立上げをお手伝いしている現場で感じる真のボトルネックは、事業機会、つまり日本の機関投資家からの受任機会が乏しい等が主因であり、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6183975?ref=user_121187

2021年9月14日
【公開価格の値決め見直しへ 日証協、年内に結論】
大原のコメント→
スタートアップ企業がIPOをする際の公開価格の値付けについては、証券会社の利益相反懸念やマザーズ市場の特性、スモールIPOならではの課題等、様々な議論があると承知しています。
ただ、この問題にスポットライトがあたることにより、これまで議論がないままに慣行的に行われてきたプロセスを見直し、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6188862?ref=user_121187

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2021年9月5日
【50代でも今すぐ投資すべき理由投資信託の積み立て、元本720万円が20年で1900万円に】
長澤のコメント→
お金のことで苦労せず、人生を楽しむためには、「長く働く」ことと「資産運用」により資産寿命を延ばすことが大事とのこと。確かにそう通りだと思いますし、2年前に話題となった老後2000万円問題の発端となった金融審議会報告書でも、高齢社会における資産形成・管理の姿として、リタイヤ期前後から高齢期にかけて、まさにこの就労延長、運用の継続、計画的な取崩しが提言されており、議論が変な方向に行ってしまったことは残念ではありました。
 話を戻して、自身が「長く働く」ということは、とても大事なことではあると思いますが、将来65歳に達した時の健康面や就労条件は、個々人により様々であり、・・・(続き
を読む)
https://newspicks.com/news/6161790?ref=user_6551307

2021年9月12日
【アスリートも避けて通れぬ資産形成、コンサルが教育支援】
長澤のコメント→
一般的なサラリーマンの多くが、年齢とともに資産を形成していく一方、アスリートの方は、若いうちに収入のピークに達する特性があるということであれば、資産寿命を延ばすことの持つ意味がより重要となり、如何にお金にも働いてもらうかを若いうちから考える必要があるということかと思います。
投機と呼んだ方がいいような運用に失敗して、夜も眠れず本業に響くのでは本末転倒であり、エキサイティングではないかもしれませんが、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6181931?ref=user_6551307

2021年9月15日
【銀行の投信商品、効率重視で脱拡大 横浜銀行は5割削減】
長澤のコメント→
投資信託等を販売する銀行では、お客様の多様なニーズにお応えする商品ラインナップの充実を、「お客様本位の業務運営方針」に掲げ、商品数の増加を成果指標(KPI)として公表している先が多いのですが、店頭で相談しながら投資信託を選ぶ顧客にとって、必ずしも選択肢の多さが顧客の最善の利益につながるとは限らないのではないかと、常々疑問に思っていました。
 こうした中、横浜銀行の動きは、銀行の管理コストの低減効果に加え、販売員の方々にとっても、新商品取扱いの都度、商品の勉強に時間を割かれずに、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6189463?ref=user_6551307

2021年9月15日
【「定年後も働きたい」が6割以上 貯めておきたい金額は3622万円 “セカンドライフ”日本生命調査】
長澤のコメント→
定年後も働きたいが6割以上とのこと。もちろん金銭的な理由もありますが、自分のようにあまり打ち込む趣味もない年代では、社会との接点を一定程度持ち続けたいというのも理由の一つではないかと思います。
 ところで、先週9月8日に勤務先の会社が、NHK「おはよう日本」のなかのビジネス紹介コーナー「おはBiz」で、シニアを活用して業績を伸ばすスタートアップ企業として紹介されました。自身は当社に就職する前は、スタートアップ企業というのは、多くの若者がワイワイガヤガヤ議論をしているイメージがあり、シニアの就職先としては想像できなかったのですが、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6190656?ref=user_6551307

メディア掲載情報

■メディア掲載:「ニッキン投信情報」へのコラム寄稿
主任研究員の長澤が「ニッキン投信情報」にコラムを寄稿しました。
「金融庁の『顧客意識調査』に見る資産運用アドバイスの重要性」
https://www.jamplatform.com/news/2021/09/13/2478/

■メディア掲載:「Investment Japan」への英文コラム寄稿
法務コンプライアンス担当の岩淵が「Investment Japan」に英文コラムを寄稿しました。
「Confirming a “Substantial Owner” under the Amendment of the Act on Prevention of Transfer of Criminal Proceeds」
https://www.jamplatform.com/news/2021/09/16/2488/

金融専門人材募集情報

日本資産運用基盤グループが採用をご支援している金融機関の人材募集情報です。

1)日本資産運用基盤グループ - 経営企画部門マネージャー/600~850万円(賞与及び株式報酬別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2419/

2)大手米系証券会社 - FXカスタマーディーラー/ベース~1,800万円・賞与別途
https://www.jamplatform.com/hr/job/2493/

3)大手証券会社 - ファイナンシャルスポンサー/~1,000万円(ベース)・賞与別途
https://www.jamplatform.com/hr/job/2495/

4)外資系大手アセットマネジメント会社 - バックオフィス担当マネージャー/~1,000万円・賞与別途
https://www.jamplatform.com/hr/job/2497/

5)独立系資産運用会社 - コンプライアンスオフィサー/~800万円
https://www.jamplatform.com/hr/job/2415/

6)大手外資系金融グループ - クライアントサービスVP/~1,500万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2416/

ここに掲載している情報以外にも多くの人材採用ご支援をさせて頂いています。
ご関心ある方は https://www.jamplatform.com/hr/ からご登録をお願いします。

インフォメーション

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