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「JAMPの視線」No.176(2023年5月14日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③お知らせ・ニュースリリース
④メディア掲載情報
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2023年5月14日

 前回のメールマガジンでお伝えした通り、今回から10回にわたって4月21日に公表された「資産運用業高度化プログレスレポート2023」で取り上げられた我が国の資産運用業界が発展するに際しての課題に関して、私の私見を徒然と述べさせて頂きたいと考えております。第1回となる今回は「資産運用会社の経営者の要件」について感じるところを述べさせて頂きます。
 プログレスレポートにおいては、最初の「資産運用会社の信頼向上のために」「資産運用会社の経営の透明性の確保」のセクションにおいて、日本の資産運用会社の経営トップの多くが同じグループ内の銀行や証券会社等から経験がないままに派遣されてきたり、その多くが比較的短期間の就任に留まっていたりすることについて問題提起がなされており、レポート公表後の多くのメディア報道においても、この問題提起が主に紹介されていたように思われます。
 確かに、多くのメディアがそのように受け止め、批判的に伝えたように、資産運用会社の経営トップの選任がグループ内の銀行や証券会社等での実績に基づく論功行賞としてのものであるとすると、顧客投資家への提供付加価値の向上や資産運用会社としての事業成長等に責任を持つ経営者の資質に関係ない理由であり、許容されるべきではないと私も感じます。
 但し、そのような顧客を始めとするステークホルダー無視の理由による選任で無いのであれば、当該経営トップがそれまで資産運用会社での就業経験が無いことや、グループ内の銀行や証券会社等の出身者であることのみをもって、資産運用会社の経営トップとしての資質がないと批判するのは短絡的であるように感じます(ちなみにプログレスレポート自体はそのような批判を直接的に行なっているというよりも、選任理由の開示を促すものと理解しており、同レポートを紹介するメディアの一部でそのような批判的な論調が見られたことに対して感じたものです)。
 資産運用サービスで提供する付加価値は単に金融商品等のポートフォリオ運用の代行のみにあるのではなく、顧客投資家のニーズをとらえた商品の開発やその提供プロセス等の工程まで含まれるものであり、それであるのであれば、資産運用会社の経営トップの選任理由として、「グループ内の銀行(証券会社)で長年にわたって個人顧客向けに商品提供に携わってきた経験を活かし、より顧客に寄り添った商品開発や提供に力を入れる」等があっても良いのではないでしょうか。また、資産運用会社のみならず、株式会社は経営トップのみで経営するものではなく、経営トップを中心とする取締役会等の経営陣で経営にあたるものであり、経営トップ自身が資産運用業務や資産運用会社ビジネスに直接の経験がなかったとしても、経営陣が総体として顧客を始めとするステークホルダーに適切に付加価値を提供し、会社事業を成長させることができるのであれば、批判される理由は何も無いように思います。
 即ち、資産運用会社の経営トップの経歴がどうあるべきか、グループ内の銀行や証券会社等の出身者からの選任が許されるべきではない等ではなく、今回のプログレスレポートが指摘するように、外部からの利益相反懸念を払拭し、信頼を確保できるよう、代表者がどのような理由や狙いで選任され、どのような経営メンバーがそれぞれどのような専門性や経験等を活かしてサービス提供や事業成長にあたるのかを丁寧に情報開示をすることが重要なのではないかと思います。まさに資産運用会社の投資対象である上場企業が最新のコーポレートガバナンスコードで求められている取締役のスキルマトリクスの公表のように、投資家側である資産運用会社も同様の発想で、情報開示をすることが今後は重要になってくるように思います。何せ資産運用サービスを利用する顧客投資家は、自らの虎の子である資金を長期間にわたって信頼とともに預けることになるのですから。
 一方、プログレスレポート内で指摘されていた経営トップの在任期間の短さに関する問題提起については、100%同意です。これもまた資産運用会社だけに当てはまる論点ではありませんが、経営者として事業の改善・成長を目的として難易度の高い施策に取り組むためには、成果が表れるまでの相応の時間が必要となり、3‐4年の任期で経営トップが交代するようなことが慣行になっていては、抜本的な取組みを行なうことは現実的に難しくなります。特に顧客投資家からの長期の資産運用受託をサービス・事業モデルとする資産運用会社においては、この経営トップの任期の問題は他の業態以上に重要であると感じます。
 会社のカルチャーや方向性、サービス水準等の諸々は経営トップによって大きく変わるということを私自身も経営トップである立場から強く感じております。今回のプログレスレポートでも問題提起されたことを受け、この辺りの改善が進むことが期待されます(ちなみにこの論点は今回のプログレスレポートで初めて取り上げられたものではなく、これまで数年間のプログレスレポートでも問題提起はされていました)。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2023年5月7日
【バフェット氏「日本での投資継続」 商社と協業模索も】
大原のコメント→
 黒木亮氏の「トップ・レフト」でも高く評価されていましたが、ブローカレッジのみならず、自らのバランスシートも柔軟に用いながら、金融業までも含む様々な領域で変幻自在に存在感を示す日本の商社の事業モデルはグローバルでも珍しく、変化が激しくなってきている現在において、バフェット氏含む海外投資家には興味深いのかもしれません。

2023年5月9日
【金融庁が問題視、「投資家のコスト」が増える背景】
大原のコメント→
 証券・資産運用業界における金融システムベンダーの寡占とそれによる金融機関のコスト負担はかねてより業界内では問題視されていましたが、今回の資産運用業高度化プログレスレポートでその一部のみとはいえ問題提起がされたことの意義は大きいと感じています。

2023年5月11日
【金融庁、預金流出防止へ点検促す 相次ぐ米銀破綻で】
大原のコメント→
 日本の地域銀行は、預金の粘着性等の面で米国地銀とは懸念の前提となる状況が異なるのは事実とはいえ、これからの金利上昇局面において短中期的に有価証券運用事業で含み損が増大するリスクは避けられず、そのことが財務健全性に対する預金者の懸念につながり、SNS等の新しい情報経路を通じて取り付け騒ぎになることを否定しきれないという問題意識が背景にあると考えます。
 地域銀行には、短中期的にはこの足もとの環境変化にどのように対応するのかという方針とともに、中長期的に地域に対してどのような金融・非金融付加価値を提供し、・・・(続きを読む)

2023年5月13日
【京都銀、10月に京都FG設立 既存事業深掘りと非金融拡充】
大原のコメント→
 地域銀行の一行単独での持株会社化への移行については、2020年10月の広島銀行のひろぎんホールディングスへの移行を第1弾とし、今回発表された京都銀行も含めて既に8行が行なっており、ここ数年で広がってきています。
 地域銀行による持株会社の設立というと、従前は主に地域銀行同士の再編の際の経営統合もしくは合併への移行スキームとして用いられるものでしたが、広島銀行や今回の京都銀行等の持株会社への移行は、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2023年5月9日
【金融庁が問題視、「投資家のコスト」が増える背景】
長澤のコメント→
 今回のプログレスレポートでは、投資信託のシステムにまつわる論点に加え、確定拠出年金(DC)の加入者の記録関連業務を行うレコードキーパーについても、4社のデータ連携の仕組みが整備されておらず、労働市場の流動化が進む中、加入者の転職時に情報を転職先に移換できず、解約を余儀なくされるとして、・・・(続きを読む)

お知らせ・ニュースリリース

■GBAラップ支援ソリューションの新NISA対応方針に関するWeb説明会開催
4月10日(月)に開催した弊社GBAラップ支援ソリューションの新NISA対応方針についてのWeb説明会の資料・動画を公開しました。
「新NISA×ゴールベースアプローチ(GBA)型ラップが変える日本の資産運用 ~GBA支援ソリューションの新NISA対応方針~」

メディア掲載情報

■メディア掲載:新日本保険新聞での記事掲載
「新日本保険新聞」で弊社GBAラップ支援ソリューションの新NISA対応方針Web説明会を取り上げて頂きました。
「日本資産運用基盤G 新NISA対応方針 金融機関対象に説明会」

■メディア掲載:保険毎日新聞での記事掲載
「保険毎日新聞」で弊社GBAラップ支援ソリューションの新NISA対応方針Web説明会を取り上げて頂きました。
「日本資産運用基盤グループ オンラインセミナー開催 「新NISA×GBA型ラップ」テーマに」

インフォメーション

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