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「JAMPの視線」No.119(2022年4月10日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③お知らせ・ニュースリリース
④メディア掲載情報
⑤金融専門人材募集情報
⑥インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2022年4月10日

先週4月4日(月)にいよいよ東京証券取引所が新たな市場区分で取引を開始しました。これまでの東証一部と新たなプライム市場の比較では、上場企業の入れ替えは従前の予想よりも少なく、市場関係者からは「変化に乏しい」とする意見も聞かれるということも耳にしますが、一方、各市場の役割や区分を明確にするとともに、上場維持基準を厳格化することで、上場企業に能動的に時価総額増大やガバナンス強化等を働きかけることを企図する等、長期的にその効果が出てくることが期待されます。
この新しい市場区分への移行の過程での議論において、個人的に関心を持ち、改めて思索を巡らせていたのは、「地域銀行の上場」というテーマです。地域銀行が最上位のプライム市場に上場するのは適切なのか、スタンダード市場に上場するのが適切なのかという視点での議論がメディアを賑わせており、それはそれで重要かつ興味深い視点だとは思いますが、私がこの議論のなかで改めて感じたのは、そのような上場市場の選択という切り口ではなく、地域銀行が上場企業として株主の期待に応えることの難しさ、そもそもの企業の存在意義(パーパス)との整合性を取ることの限界等です。
自社の存在意義を明確化し、社会に与える価値を示す「パーパス」が企業経営で注目されていることを背景に、地域銀行においても、その中期事業計画等で自行の「パーパス」を打ち出す動きが広がっているように見受けられます。地域銀行の「パーパス」の多くは、当然ながら所在する地域の経済・金融機能との共存共栄等が中心となっており、それは地域銀行という業態から当然導かれることに全く違和感はないですし、むしろ望ましいと思いますが、一方で、従来型の資本主義の考えにおいては、株主利益の還元は事業成長を通じた企業価値の向上を通じて行われるとされており、そこで事業活動を行なう地域や市場を限定する、もしくは固定するということはなかなか両立が難しいように感じております。
例えば、ある地域に所在する地域銀行が他の地域に魅力的な事業機会があった場合、所在地域よりも優先して他地域での活動に注力するというのはパーパスと事業成長の不整合のひとつの例かとは思いますが、こちらはまだ当該地域銀行の他地域における優位性や強みの乏しさゆえ、所在地域に集中することが事業戦略に適うということである程度の説明をつけることも可能かもしれません(=事業活動を行なう地域や市場を「限定」することの説明をつけることは可能かもしれません)。一方、地域や市場を「固定」せざるを得ないことについては、パーパスと事業成長の両立を説明することはなかなか難しいように感じます。つまり、事例として耳にすることが増えていますが、地域銀行が所在する地域のなかでも、過疎が進む地域に支店等のリソースを配賦しつづけることは、事業成長や効率化を考えるとNGであり、支店の廃止等、事業活動の縮小をすることが適切であったとしても、一方で、地域社会への貢献というパーパスの観点からは、その判断を正当化することがより困難なように思われます。
このような事例は、国全体として、特に地方部において少子高齢化が進む日本社会においては、発生することが不可避であり、その意味で地域銀行の経営において前提として考えなければならない、今後はより一層に前提として顕わになってくる問題だと考えています。そうすると、地域銀行の株主に外国人投資家等の地域のステークホルダー以外の主体も大勢入り、地域社会との共存共栄というパーパスを掲げつつも、株主利益を第一に考えなければならない現在の資本構造になっていることは、なかなか両立が難しいのではないかと改めて感じます。
ただ、ヘーゲル弁証法的な視点によると、矛盾は停滞ではなく、止揚(アウフヘーベン)のためのエネルギーの源泉であるとも考えられ、足もと顕わになりつつある地域銀行の存在意義とその資本論理の両立の困難をめぐる議論は、非常に前向きなことなのかもしれません。今回の東京証券取引所の新市場区分への移行の結果、上場する企業の経営や資本政策のあり方が継続的に問われることになると思いますが、とりわけ地域銀行においては、上述のような地域金融機関としてのパーパスの観点から、どのような資本政策が最適なのか、上場を継続することの是非、さらには立ち戻っての地域銀行とは何なのか等、本質的な議論が進むことを個人的に期待しています。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2022年4月2日
【暗号資産のビットフライヤーHD、投資ファンドが買収へ】
大原のコメント→
衝撃的なニュースと感じます。ただ、このスクープは日経新聞フィンテックエディターで本領域に知見が深い関口記者によるものですが、記事署名に本領域に関係ないはずの四方記者の名前もあるのが気になります。https://newspicks.com/news/6898299?ref=user_121187

2022年4月4日
【ビットフライヤー加納氏:白馬の騎士を募集-ACAによる買収巡り】
大原のコメント→
ビットフライヤー社の買収案件に係る報道の真否や今後の展開等の詳細は存じませんし、創業者である加納氏がTwitter上でこのような異例の呼びかけを行なうことの適切・不適切の議論はあるかとは思いますが、インフルエンサーとして存在感・影響力のある起業家がメディアを活用することで、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6903628?ref=user_121187

2022年4月8日
【新社会人の運用、まず少額で積み立て 非課税口座も活用】
大原のコメント→
資産運用業界でキャリアの殆ど全てを過ごしておいてなんですが、社会に出てからの数年は貯蓄や資産運用なんて気にせず、遊びや勉強にとことんお金を使うことが大事と考えています。
よく言われるように若い頃の自己投資は長い目で見て非常にリターンが良いことに加え、浪費の虚しさ、万が一の備えがないことの心細さ、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6921306?ref=user_121187

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2022年4月8日
【新社会人の運用、まず少額で積み立て 非課税口座も活用】
長澤のコメント→
若いうちに資産運用を始めるというのは、特に多少損しても残りの人生が長い若年層の方にとっては、取り返すチャンスもあるので、非常に大事なことかと思います。
 米国で投資信託等による資産形成が進んでいる理由の一つとして、401Kなどの確定拠出年金(DC)の制度により、投資信託等の金融商品に触れる機会が自然と作られたことが挙げられると思いますが、日本でもNISA・つみたてNISAやiDeCoなどの税制優遇のある制度を優先的に使いながら投資経験を積むことで、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6921306?ref=user_6551307

お知らせ・ニュースリリース

■セミナーレポート公表:ゴールベースアプローチセミナー
3月3日(木)にQUICKとともに開催した「ゴールベースアプローチセミナー〜資産運用アドバイス新時代〜」のセミナーレポートを作成・公開しました。

第1部「顧客意識調査等から見えてくるアドバイスやアフターフォローの重要性とその実践」
https://www.jamplatform.com/news/2022/04/06/2966/
第2部「乱立するゴールベースアプローチ(GBA)サービス~顧客が求める真のゴールベースアプローチとは何なのか~」
https://www.jamplatform.com/news/2022/04/06/2983/

メディア掲載情報

■論考寄稿:金融財政事情への論考寄稿
主任研究員の長澤が「週刊金融財政事情」(2022年4月5日号)に寄稿しました。
「資産運用の共通KPIは『見える化』から『見せる化』へ」
https://www.jamplatform.com/wp-content/uploads/2022/04/20220405k16-19.pdf

金融専門人材募集情報

日本資産運用基盤グループが採用をご支援している金融機関の人材募集情報です

1)大手外資系金融機関 - RM部門マネージャー/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2897/

2)大手外資系金融機関 - 新規ビジネス企画マネージャー/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2936/

3)大手資産運用会社 - 人事マネージャー/800~1,200万円
https://www.jamplatform.com/hr/job/2663/

4)大手外資系金融機関 - 投信オペレーションオフィサー/想定~800万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3002/

5)大手外資系金融機関 - ITセクションプロジェクトマネージャー/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2939/

6)大手生命保険会社 - 運用部門マネージャー/~1,400万円
https://www.jamplatform.com/hr/job/2569/

7)大手日系金融機関 - ファンドアナリスト/想定~1,500万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2956/

8)大手日系金融機関 - ストラクチャードファイナンス(営業)業務/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2840/

9)金融機関経験者を求める大手事業法人 - 経理部長/想定~1,800万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2864/

10)大手外資系金融機関 - グローバルRMマネージャー/想定~3,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2763/

ここに掲載している情報以外にも多くの人材採用ご支援をさせて頂いています
ご関心ある方は https://www.jamplatform.com/hr/ からご登録をお願いします

インフォメーション

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