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「JAMPの視線」No.141(2022年9月11日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③お知らせ・ニュースリリース
④金融専門人材募集情報
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2022年9月11日

先月末8月31日に金融庁から2022事務年度の金融行政方針が公表されました。ニッキン新聞でも資産運用に係る領域についての所感をインタビュー頂きましたが、今回から3回に分けて、今回の金融行政方針の内容についての感じたところを徒然と述べさせて頂きます。
まず、最初に印象深く感じたことは、リテール金融機関による仕組債販売は今後はもう許さないという当局の強い姿勢です。5月末に公表された資産運用業高度化プログレスレポートでも不自然に資産運用業と関係のない仕組債を無理やり盛り込み、問題提起をした時にも同様の強い姿勢がにじみ出ていましたが、今回の行政方針でもその断固たる決意を改めて感じました(話は逸れますが、資産運用業高度化プログレスレポートに関係のない仕組債の問題を無理やり盛り込んだことは、当局の強い問題意識の表れとはいえ、同レポートに対する資産運用業界の信頼感を低下させる残念なことだったと個人的に感じています)。
特に、今回の行政方針では、仕組債というひとつの商品カテゴリーの販売の取引そのものの是非とそれに対する規制等について論じるに留まらず、とりわけ販売主体として問題視されている地域銀行/地銀系証券に対し、この論点は地域銀行等の存在意義やそれに立脚した経営のあり方を問うものであると問題提起をしたことに強い印象を持ちました。
確かに、仕組債販売の問題に関して論じる際、証券会社や地域銀行の経営陣の一部の方々からは、「仕組債に対する個人投資家のニーズは存在し、その販売は不適切とは必ずしも言えない」という意見も聞かれ、私もそうした意見を全て否定するものではありませんが、一方、少なくない数の地銀系証券では、売上の6-7割を仕組債販売に依存してしまっているという現状を見るに、それが本当に地域銀行として掲げているパーパス(存在意義)や経営方針等と整合的なのかという疑問を感じざるを得ません。
殆どの地域銀行は、当該地域の生活者・事業者の経済活動を支援する金融サービスを提供し、地元経済の発展に資するといった趣旨のパーパスを掲げていますが、現状の預かり資産ビジネスはそのパーパスに整合的に行なわれているのか、その結果として、しっかりと銀行グループの事業成長に寄与しているのかという本源的な問いに対して、その事業性の多くを仕組債販売に依存しているという状況は、しっかりと答えるエビデンスとなり得ず、逆に懸念を生じさせてしまっているのだと思います。ましてや、今回の行政方針の本文に添えられたコラムによると、少なくない地域銀行グループにおいて、そもそも預かり資産ビジネスの収益性を正確に把握できていないという驚きの事実も明らかになっており、預かり資産ビジネスというひとつの事業領域に表れる経営の考え方を問い直したいという当局の問題意識も理解できるように感じます。
従来型の預かり資産ビジネスのモデルが行き詰まりつつあり、地域銀行のみならず、証券会社や資産運用会社も含め、リテール金融機関が全般的に苦しい状況にあることは間違いありません。ただ、かねてより申し上げているように、そのようななかでお客様と直接の接点を持ち、継続的なサポートを提供し得る立場にある地域銀行こそが、新しい時代の預かり資産ビジネスをけん引することを私は確信しています。今回の行政方針で示された当局の厳しい問題提起や姿勢を「逆風」ととらえるのではなく、これを「機会」とし、今後中長期的に地域銀行が地域の生活者のお客様に何を提供するのか、そこで預かり資産ビジネスはどうあるべきなのかを考え直し、再構築する動きになることを期待しています。また、私たち日本資産運用基盤もそこでお役に立てるように努めてまいりたいと思います。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2022年9月6日
【仕組み債、投資初心者は販売対象外 日証協がルール強化】
大原のコメント→
証券業界の一部に「仕組債に対するニーズは存在し、その販売は不適切とは必ずしも言えない」という意見があるのは承知しており、その意見を全て否定するつもりはありませんが、投資初心者に対しての提案・販売は常識的に考えて「適合性の原則」に反するものとして当然ながら行われるべきではないと考えており、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/7528634?ref=user_121187

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2022年9月6日
【仕組み債のリスク回避、アドバイザーにも責務】
長澤のコメント→
日証協が個人向け仕組み債の販売に関し、ルールを強化して「退職金運用」「証券口座を開設したばかりの人」は販売対象外とする方向で検討するとのことです。販売会社にとって仕組み債販売における共通の目線ができる、また、ルール違反に対して処分が行われる可能性があり牽制が働くという意味では、ミニマムスタンダードとして一定の効果が期待できるのではないかと思われます。
 しかしながら、「顧客本位の業務運営に関する原則」が策定された経緯を振り返ってみると、ルールベースの場合、その基準さえ守っていればいいという形式的、画一的な対応を助長しかねないといった点が指摘され、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/7530259?ref=user_6551307

2022年9月9日
【超々高齢社会、資産活用の伴走者は?】
長澤のコメント→
本来、金融機関は、顧客にとって最善の商品・サービスを提案・提供することが重要であり、顧客やタイミングによっては売買を薦めないことが顧客本位となり得ることもある中で、商品を販売することが前提(=商品に紐付いた)となっているコミッションベースの手数料体系は、顧客本位とは言えない営業員の行動を誘発する一つの大きな要因となり得ると思っています。
 英国のアドバイザーはすべてその報酬を顧客から受け取る制度に変わったとのことですが、日本においてそこまで達するには時間がかかるかもしれません。しかし、近年の手数料引下げ競争やDX化の進展等を見ると、既存のビジネスモデルの行き詰まりが感じられ、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/7542924?ref=user_6551307

お知らせ・ニュースリリース

■ゴールベース型ラップに関する勉強会開催
ゴールベースアプローチ型ラップについてのWeb勉強会動画を公開しました。
「お客様に必要とされる真の『資産運用サービス』とは~ゴールベースアプローチ型ラップがいま求められる理由~」
https://www.jamplatform.com/news/2022/08/22/3230/

■Webセミナー登壇のお知らせ①
弊社代表の大原と主任研究員の長澤が、株式会社想研が主催する金融専門家向けWebセミナーに登壇を致します。FMプロフェッショナル会員(登録無料)向けのオンデマンド形式の配信もされておりますので、下記リンクからご確認ください。
https://media.finasee.jp/common/static/seminar-lp2205/

■Webセミナー登壇のお知らせ②
弊社代表の大原が、帝京平成大学の沼田優子教授とともに、株式会社想研が主催する金融専門家向けWebセミナーに登壇し、「法人IFA社長アンケート2022」の結果をもとにしたIFA業界の成長可能性と今後の課題についてお話をさせて頂きます。FMプロフェッショナル会員(登録無料)向けのオンデマンド形式の配信となり、2022年10月21日(金)16:00 ~ 10月30日(日)23:59までの配信予定です。
https://media.finasee.jp/common/static/seminar-lp2205/

金融専門人材募集情報

日本資産運用基盤グループが採用をご支援している金融機関の人材募集情報です

1)大手外資系金融機関 - RM部門マネージャー/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2897/

2)M&Aファーム - CFO/~2,000万円(ベース)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3236/

3)独立系運用機関 - コンプライアンスオフィサー/~1,000万円(ベース)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3254/

4)本邦金融機関 - 経営企画部門マネージャー/~1,500万円
https://www.jamplatform.com/hr/job/3217/

5)大手外資系金融機関 - ITセクションプロジェクトマネージャー/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2939/

6)大手外資系金融機関 - コンプライアンスヘッド/~1,500万円(ベース)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3223/

7)大手日系金融機関 - ファンドアナリスト/想定~1,500万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2956/

8)大手金融機関 - アナリスト育成担当マネージャー/~1,200万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3201/

9)独立系金融機関 - セールスマーケティングマネージャー/~1,500万円(ベース)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3228/

10)本邦大手証券会社 - 内部監査部長候補/~1,200万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3078/

ここに掲載している情報以外にも多くの人材採用ご支援をさせて頂いています
ご関心ある方は https://www.jamplatform.com/hr/ からご登録をお願いします

インフォメーション

個別のご質問・ご相談会を無料で定期的に開いています。お気軽にお申し込みください。
https://www.jamplatform.com/contact/

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