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「JAMPの視線」No.250(2024年10月13日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③お知らせ・ニュースリリース
④メディア掲載情報
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2024年10月13日

 昨日は、ご近所の仲良しファミリーと一緒に、東京ユナイテッドバスケットボールクラブ(TUBC)のホームゲームを有明アリーナで応援してきました。豊洲のららぽーとを訪れた際に、チラシをもらったのがきっかけで、軽い気持ちでチケットを申し込んだのですが、予想以上に楽しめました。バスケットボールは、野球などに比べて会場がコンパクトで、試合展開もスピーディーなため、観戦がとても楽しいですね。有明は自宅から遠いため頻繁には行けませんが、時々応援に行きたいね、と話しながら盛り上がりました。

 さて、先週金曜日に中堅資産運用会社のPayPayアセットが投信委託事業から撤退すると自社HPで発表し、資産運用業界に驚きを与えています。大手金融機関の資本が入っている資産運用会社で投信委託事業の撤退を決断するというのは、グループ内での再編・合併等のケースを除いては非常に稀であることや、「PayPay」というブランドを持ち、個人のお客様層にはリーチが強く、伸びしろが大きいイメージがある資産運用会社の決断であるということも驚きに拍車をかけているのかもしれません。同社は「運用資産の拡大が計画通りに進まなかったため、業績が低迷した」と説明していますが、X(旧Twitter)などのSNS上では、長期的な資産形成を支援する会社としての責任感が欠けていると批判する声も見られます。

 確かに、「長期的な資産形成を支援する社会的な役割を担う以上、収益性のみで安易に事業撤退を決めるべきではない」という意見はもっともです。しかし、資産運用会社も収益性を追求するビジネスであり、収益性を維持できなければ、高品質なサービスの提供も難しくなります。事業撤退は最後の手段であり、可能な限り回避する努力をすべきですが、時にはやむを得ない決断でもあるとは思います(念のために付け加えますが、社会の公器としての役割を担う以上、ぎりぎりまでその選択肢を回避する努力をしなければならないということは前提であることは言うまでもありません)。

 資産運用立国の旗印のもと、新しい資産運用会社の参入が奨励されていますが、以前から繰り返し申し上げている通り、資産運用会社の従来型事業モデルはもはや安定的な収益性の確保が困難な状況にあると認識しています。新NISAやデフレ環境からの脱却等の追い風もあり、個人のお客様の資産形成・運用への意識の高まりは具体的なアクションへとつながりつつありますが、その一方で投資信託の信託報酬の水準が低下傾向にあることに加え、プロダクトガバナンス強化の流れのなかで販売金融機関が取り扱い商品の数を絞ったり、顧客本位の業務運営の原則の強化に対応するコスト負担も重くなったりするなか、特に中堅規模以下の資産運用会社はもはや存続が危ぶまれるところまで近づきつつあると思われます。その意味で、今回のPayPayアセットの事例は、単発で終わるのではなく、これから類似の事例が連続して発生する始まりであると私は考えています。

 しかしながら、資産運用会社にとって、いかに投信委託事業の事業環境が厳しくなっているとはいえ、事業撤退のみが取り得る選択肢ではないことも強調しておきたいと思います。単に事業撤退するのではなく、当社が提供しているような日本版ファンドマネジメントカンパニーソリューションを活用することで、投信委託会社がシステム・事務負荷の重い投信委託工程(ファンドマネジメント工程)を切り離し、投資運用工程(アセットマネジメント工程)に集中することも可能です。そのような選択肢を採用し、事業モデルを再構築することで、当該資産運用会社が個人のお客様に提供する付加価値の本質である投資運用付加価値(アセットマネジメント付加価値)はそのままにし、事業効率性を高め、更にはその投資運用付加価値を向上させるようなことも期待できます。お客様に迷惑をかけることを回避するのみならず、その提供付加価値をより充実させることに注力することも可能なのです。

 当社の日本版ファンドマネジメントカンパニーソリューションは、アセットマネジメントとファンドマネジメントの工程分離を通じて業界全体の効率性・生産性を向上させ、お客様に提供するアセットマネジメント付加価値を高めることを目指しています。今後、PayPayアセットのような事例が増える中で、当社のソリューションが役立つよう、引き続きその充実に努めてまいります。 

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

【新興企業向け融資、地銀参入しやすく 全銀協が手引書】
大原のコメント→
 スタートアップ企業向けのベンチャーデット事業に地域銀行等が参入するのは、スタートアップ業界を支えるインフラに厚みが出ることなので、当然ながら素晴らしいことだと思います。
 ただ、本記事で気になったのは、途中に「スタートアップ向けの融資は伸び悩んでいる」という記載があり、それを示すグラフも掲載されていますが、これはスタートアップ企業経営者としての私の肌感とはちょっと違っているように感じます。
 ここ数年ほどグロース市場が不安定なこともあってスタートアップ企業のエクイティ調達が必ずしもスムーズにいかないこと等もあり、ベンチャーデットの活用シーンは増えているように感じています。この辺りはベンチャーデットの融資額データのとり方次第なのかなという気はしています。

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

【外貨建て保険の手数料「取り過ぎ」解消へ 三井住友海上系やT&D系生命保険、商品設計見直し】
長澤のコメント→
 目標到達型そのものが悪いのはでなく、適切なアフターフォローができない状態に問題があった」という業界関係者の声が紹介されておりましたが、確かにその意見には賛同いたします。さらに言えば、当初の目標設定時に顧客の潜在的なニーズを引き出し、それに見合った目標設定をしていれば問題がこれほど大きなものにはならなかったのではないかと思います。
 本来長期保有を前提とする外貨建て一時払い保険は、顧客の長期的なゴールなどを十分にヒアリングした上で販売すべきであり、フォローアップ時には、家族構成や資産状況の変化などがないか確認をしつつ、必要に応じ、見直しを行う金融商品と考えます。そうしたゴールに見合ったターゲットを設定し、その達成状況をフォローアップ時に確認するのであれば、目標値設定機能自体は否定されるものではないと思われます。
 このような基本的なアドバイスの流れが営業現場に定着しているか、定期預金満期先などの大口の入金先に金利の優位性をアピールした投資商品として販売していないかなどの販売態勢に係る検証も併せて行う必要があると思われます。

【朝日生命、円建て一時払い保険の販売再開 8年ぶり】
長澤のコメント→
 金融機関の営業員が一時払い保険をセールスする際、メリットとして強調するのが、相続税の軽減と、保険金の受取人を指定することでお金に名前を付けて遺すというのがあります。こうしたメリットを重視するのであれば、為替の変動により受取額が変わり得る外貨建てよりも、記事にあるような円建て保険の方がニーズにマッチするのではないかと思われます。
 今まで内外金利差もあり外貨建て保険が売れていましたが、金融庁のレポートによると、多くの外貨建て保険が乗換販売により中途解約され、顧客が十分な運用成果を得ていないという実態も報告されています。業績評価体系の見直しが進み、金融機関が自然体で販売すれば、増々円建てが増えるのではないかと思われます。

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