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「JAMPの視線」No.46(2020年11月15日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
③メディア掲載情報
④お知らせ・ニュースリリース
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2020年11月15日

先週は日銀による地域金融機関向け支援施策や政府による補助金交付に関する報道等が金融業界を賑わせる等、菅政権のもとで関心が高まっている地域銀行の再編について、政府の取組みが具体性を伴って急速に進んでいるように感じられます。
このようななか、たまたまタイミングが良いと言っていいのか、弊社はメディアの方々向けに「地銀の統合・再編は本当に正しいのか?SBI・野村の動きから読む地域銀行経営の今後」と題するWeb勉強会を開催したのですが、関心の高まりを背景に、平日の午後の就業時間中にも関わらず、130人超もの参加者にご視聴頂きました。
その勉強会のなかでもお話させて頂いたのですが、地銀の「再編」と言ったとき、当然のように数を減らすための合併・統合ありきで議論がされることについて、弊社として強い違和感を感じています。
確かに、金融庁の2018年の公表レポートにもあるように、人口減少・移動等を背景に地方経済の縮小と地域金融からの期待利潤の総量の減少が避けられないと思われる状況において、現状の100行超という地域銀行の数は過多であると考えられますし、同一地域での地銀同士の合併・経営統合は、過当競争の回避や機能統合等による経営の効率化等のメリットは小さくありません。その意味で、弊社が「再編A」と呼ぶ地銀同士の合併・経営統合もこれから地域銀行の経営陣が検討すべき重要な選択肢であることは間違いありません。
但し、地銀と地銀が合併・経営統合しても、新しく誕生する金融機関はそれまでとほぼ同じ事業モデルを有するより規模の大きな地銀であることに変わりはなく、そこに新たな付加価値創出やその付加価値を通じた生産性の向上は望めません。従って、私たちは、地銀同士の合併・経営統合による「再編A」のみならず、証券会社や運用会社、信託銀行、非金融事業者等の他業態と連携し、比較優位の原則を最大活用する形で、事業モデルを再構築する「再編B」も同時に進める必要があると考えています。
この「再編B」の取組み例としては、みずほ信託と静岡銀行の信託事業に関する業務提携や、野村證券と山陰合同銀行グループの個人向け金融商品仲介に係る包括的業務提携、SBIホールディングスの第4のメガバンク構想等が挙げられるでしょう。また、最近発表された静岡銀行と山梨中央銀行の事業提携も、その効果に疑問符はつくとはいえ、静岡銀行の証券子会社機能を活用することも視野にいれており、「再編B」の要素が入っていると整理することができると思われます。
このように地域銀行が自行グループだけでは持ち得ない、もしくは持つことが効率的ではない金融機能やシステム、事業ノウハウ等について、外部プラットフォームを活用することにより、その金融機能・付加価値の提供工程等に集中することで、付加価値を最大化し、結果的に事業生産性を高めることが期待できるのが「再編B」のメリットであると考えます。
一方、社会的意義が大きいとはいえ、外部プラットフォーマーも決してボランティア精神でそのような「再編B」提携を行なうわけはなく、そこにはどうしても自社利益の最大化に向かうエネルギーが働き、ともすると利益相反が生じるリスクが存在することも否定できず、注意すべきところです。特に、金融機能の基盤として、商品やシステムの目利きの役割を担うこととなるため、そこで自社グループの商品やシステムのみに誘導しようとする運用になる場合、利益相反の色彩は濃くならざるを得ません。地域銀行が「再編B」を検討する場合、この辺りの線引きを実効的かつ明確に定めることが重要であると思われます。
政府・日銀の時限性を持った取組みもあり、2020年代はスケジュール感を持った「再編A」の圧力が高まり、地域銀行の数を減らすことが主眼の議論が進むことが予想されますが、並行して上述のような「再編B」の議論や実行も進めることが不可欠であり、それはプラットフォームの役割を担うリテール金融機関にとっても非常に有用な経営戦略であると考えます。

News Picks ダイジェスト(2020年11月9日~2020年11月15日)

2020年11月9日
【「上場ゴールの旧弊」打破 首相構想で浮かんだ秘策】
大原コメント→
未上場スタートアップ企業の財務戦略の選択肢が乏しいことは様々な問題と複雑に絡み合っているように感じます。
株式公開をしなくても大型の資本調達が徐々に可能になってきている現状、成長資金の調達のために上場は必ずしも必須でなくなりつつある一方、・・・(続きを
読む)
https://newspicks.com/news/5372508?ref=user_121187

2020年11月12日
【地銀再編へ補助金 政府、システム統合費用を支援】
大原コメント→
日銀の地域金融機関向け新施策もあり、今週は地銀「再編」に対する菅政権の方針が具体化する動きが連続していますが、どうも地銀の数を減らす「再編」にばかり注目が集まっているように感じます。
ただ、地銀と地銀が合併・経営統合する「再編」は、確かに過当競争の回避や機能統合によるコスト削減等の効果はあれど、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5384607?ref=user_121187

2020年11月15日
【【プロ解説】まさに板挟み。資金調達「よくある落とし穴」】
大原コメント→
「資金調達」「資本政策」の解説に留まらず、経営とは何ぞやという本質的な思索を財務面から行っている非常に読み応えのある論考であり、繰り返し読ませて頂きました。
特に、弊社・日本資産運用基盤は、この10月頭にQUICK、SCSK、平和不動産という金融関連事業会社から資本調達を行ったばかりであり、その最終的な経営判断に至るまでの様々な試行錯誤等が思い出されましたし、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5383053?ref=user_121187

メディア掲載情報

■メディア掲載:「ITmediaビジネス」でのインタビュー記事掲載
「ITmediaビジネス」に弊社代表の大原のインタビュー記事が掲載されました
「地銀の再編は“数の減少”にあらず? プライドを捨てて強み生かせるか」
https://www.jamplatform.com/news/2020/11/13/1755/

■メディア掲載:「金融ビジネス 最前線の変革者達」
第13回 コモンズ投信株式会社 代表取締役社長 伊井哲朗氏
「投資家目線+経営者目線で投資先を選別する」
https://www.jamplatform.com/news/2020/09/28/1608/

■書籍出版:IFA業界に関する書籍出版
弊社代表の大原がIFA業界に関する書籍(共著)を出版します
「IFAとは何者か―アドバイザーとプラットフォーマーのすべて」
https://www.jamplatform.com/news/2020/11/13/1758/

お知らせ・ニュースリリース

■セミナー登壇:東京都「Tokyo 独立開業道場」セミナーへの登壇
弊社代表の大原が東京都主催の新興運用会社立上げセミナーに登壇します。
「Tokyo 独立開業道場『目指せ!独立系資産運用会社』」
https://www.kaigyo-dojo.com/

インフォメーション

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https://www.jamplatform.com/consultation/

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