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「JAMPの視線」No.16(2020年4月19日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2020年4月19日

先週のメールマガジンでは、新興資産運用会社等の事業立上げ・運営の各段階に存在する様々なボトルネックのうち、①事業スキーム設計/計画策定、②事業リソース確保、③金商業等登録という最初の3つの段階におけるものについて整理をさせて頂きました。
今回は、その後の④事業開始・立上げ、⑤事業成長という最後の2つの段階におけるボトルネックについて、色々な資産運用会社等のお手伝いをしてきた現場の経験から、私見を述べさせて頂きます。
当然ながら、どの新興資産運用会社等の経営者も、趣味や道楽ではなく、そこに事業機会を見出しているからこそ事業を立ち上げるわけで、段階としてはこの④と⑤が最も重要であることは言うまでもありません。
ただ、残念ながら、現在の「国際金融都市・東京」においては、ここに最も大きなボトルネックがあり、殆どの新興資産運用会社等が、ここに事業機会(中長期の利潤成長)を見出せないか、事業を立ち上げても期待通りの利潤が得られないために廃業もしくは撤退するということになっているように思います。
まず、④の事業開始・立ち上げ段階においては、最初の顧客投資家から運用資金を受託するというのが重要なステップとなります。特に海外から日本に進出する新興運用会社の場合、日本に存在する巨額の金融資産からの運用受託を目指しているため、ここでの案件受託が実現しなければ、進出してくる意味がありません。
ただ、残念ながら、日本の機関投資家や個人向け資産運用商品を取り扱う販売金融機関は、新興運用会社への運用委託には非常に慎重であるのが現実です。従って、日本で投資運用業等の登録を完了しても、実際には事業がうまく立ち上がらず、廃業・撤退せざるを得ないケースも少なくありません。
面白いことに、機関投資家やそこに助言する運用コンサルタント会社等にヒアリングしても、その多くが新興運用会社への投資を行なうことは総論賛成であり、中長期的にメリットがあると積極的に認める声が少なくないのも事実です。しかしながら、実際にはそのような投資行動に出る機関投資家は多くない。
これは様々な要因が絡み合っていると思われますが、私は、機関投資家や運用コンサルタント会社において、専門性を持った人材や予算等のリソースが不足している一方、そこで得られるインセンティブが欠如していることが大きな要因であると考えています。無理にリスクを取って新興運用会社に運用委託をしても(コンサルタントはそのように助言しても)、適切に対応するリソースが不足しているし、仮にうまくいっても得られるメリットは小さい。こういう構造が背景にあるように思います。
次に、④⑤段階に共通することとして、日本では資産運用業を営むのに必要なコストが大きいという問題があると考えます。先週述べさせて頂いたコンプライアンス・金融事務等の高度専門性を持った人材が市場全体で絶対的に不足しており、その採用・雇用コストが高いということも当然ながらあります。
加えて、日本では、資産運用(アセットマネジメント)事業=ファンドマネジメント事業であり、両者が実質的に一体になっているという問題があります。
機関投資家・個人投資家がケイマン等の外国籍投信に投資をする例が無いわけではありませんが、やはり日本の投資家は国内籍投信を好むという傾向が明確にあることも事実です。しかし、欧州や米国等のように専業のファンドマネジメント会社が存在しない日本においては、国内籍投信を設定・運用・提供したい新興資産運用会社は、自ら投資運用業(投資信託委託)の登録を行ない、必要な専門人材や高額の投信計理等のシステムを保持する必要があります。これが中長期的な事業利潤の成長を目指すうえで、大きなボトルネ
ックになっています。
欧米やアジアの国際金融都市に比べ、法人税等の税率が高いことが問題であるという意見があることも承知しています。ただ、現場の肌感としては、そもそも納税額を気にする段階に至る前に、その源泉となる事業利潤とその成長すら描けていないということこそが問題のような気がします。
弊社・日本資産運用基盤は、既にコンプライアンス外部受託・支援サービスの提供や、みずほ信託と連携した投信委託会社向けのファンドアドミサービスを提供し、この④⑤段階の問題への対応に注力していますが、今後は日本版ファンドマネジメント会社を設立し、新興運用会社等にとってより踏み込んだソリューションを提供することを目指しています。
また、1点目の④段階の機関投資家の新興運用会社への運用委託の促進についても、こちらも決して簡単ではありませんが、東京都のEMプログラム等の活用や関係諸団体との連携を通じ、ソリューション構築を目指してまいります。

News Picksダイジェスト(2020年4月13日~2020年4月19日)

2020年4月13日
【フィンテック企業、資金調達冬の時代に 1~3月は6割減、大手の傘下入りも】
大原コメント→
金融系スタートアップは、他業界のスタートアップと比べて、事業を行なうための基盤となるシステム・免許等の先行投資が大きい一方、特に個人向けサービスの場合には収益化に長期間かかる傾向があります。
加えて、情報技術の進展が・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4815719?ref=user_121187

2020年4月13日
【大手行「継続取引」へ りそな異例の手数料下げ要請】
大原コメント→
保険商品の提供において、長期的かつ継続的なアドバイス付加価値の提供を重視し、自らの営業行動もそれに沿うようにインセンティブ設計を見直すこのりそなの取組みは高く評価されるべきと考えます。
今後は保険のみならず、資産運用商品においても、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4820643?ref=user_121187

2020年4月16日
【銀行インフラ、フィンテック接続拒否は「独禁法違反」 公取委報告書】
大原コメント→
FinTech企業と金融機関のAPI接続に関して、金融機関側が高額のAPI接続料を課すことについて批判めいた論調が一部あることについて、以前より少し違和感を感じていました。
顧客との長年にわたる取引関係や信頼に・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4826788?ref=user_121187

2020年4月18日
【証券大手5社、全店舗の店頭業務休止を決定 緊急事態宣言拡大で】
大原コメント→
証券・資産運用業界では、サービス付加価値のコモディティ化やブローカレッジ・アセマネ事業利潤の消失等、従来型事業モデルの限界が顕在化しつつあり、新しいサービス・事業モデルの探求が大きな課題になっています。
一方、それらサービス・ビジネスの・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/4829352?ref=user_121187

メディア掲載情報          

■メディア掲載:日経新聞電子版・紙面での弊社取組みの紹介
4月9日の電子版、10日の朝刊紙面でHITとの業務提携を取り上げて頂きました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57878380Z00C20A4EE9000/

■コラム・論考寄稿
弊社代表の大原が「ファンド情報」に連載コラム第1回を寄稿しました。
「従来型資産運用ビジネスの終焉 ブローカレッジ利潤消失は『対岸の火事』か」
https://www.jamplatform.com/news/2020/04/13/1203/

■メディア掲載:「金融ビジネス 最前線の変革者達」
第6回 フューチャーベンチャーキャピタル株式会社松本直人代表取締役社長
「地元企業の成長に寄与する金融を構築する」
https://www.jamplatform.com/news/2020/04/17/1219/

インフォメーション       

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