「JAMPの視線」No.168(2023年3月19日配信)
目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③お知らせ・ニュースリリース
④メディア掲載情報
⑤インフォメーション
米国シリコンバレーバンク(SVB)の破綻による金融市場の動揺がグローバルに拡大しており、今後の金融市場の動向や各国金融政策の行方等への影響が注目されています。金融当局に厳格に管理されている銀行が破綻するのは極めて稀のことであることから、2000年代後半のリーマンショック等の金融危機を彷彿させるものとして、今後また金融危機のような事態へと展開するのではないかということも懸念されています。
また、SVBが米国における地域銀行であることから、日本の地域銀行でも同様の事象が起きるのではないかという見方も一部で存在するように耳にします。確かに、法人等融資への需要が落ち込み、余資を有価証券等で投資運用することの存在感が高まっているなか、世界的な金利上昇の流れを受け、有価証券運用事業が苦しい状況にあることは日本の地域銀行も共通しており、その点でそのような見方を杞憂だと笑い飛ばすことはできないという考えが背景にはあるのだと思います。ただ、政府や各金融業界団体がそれらの見解で示すように、スタートアップ企業が預金顧客の多くを占めるSVB特有の事業構造等、そもそもの前提で異なるところも多く、弊社としても、今回のSVBのような事象が日本の地域銀行で近未来に発生するということはないだろうと考えています。
しかしながら、そのことが即ち「日本の地域銀行の有価証券運用事業は問題なく、それが地銀経営に悪影響を及ぼすことは無い」ということを意味するものでは無いということは注意が必要です。地域銀行等の有価証券運用事業をご支援する弊社・投資運用ソリューション部門の集計では、地域銀行99行(地方銀行62行+第二地方銀行37行)の有価証券運用事業で保有する有価証券のうち国内債券や外国債券・投資信託等の含み損益は、2021年3月末時点ではそれぞれ含み益を維持していたものの、2022年3月末時点ではともに含み損に転落し、直近の2022年12月末時点では3兆円超の含み損にまで急拡大をしている状況にあります。有価証券運用事業で保有する株式は約3兆8,000億円の含み益を維持していることから、有価証券運用事業全体ではまだ含み益の状況にあるものの、これから日本でも金利が上昇していく局面においては、債券価格が下落し、有価証券運用事業全体でも含み損に転落するリスクは決して低いとは言えません。現に、既に第二地方銀行は全体で含み損の状況にあり、地方銀行も上位の京都銀行と八十二銀行を除くと含み損に陥っています。
これまでの数年間はコロナ禍に対応するためのゼロゼロ融資が活況で、地域銀行の業績を支えてきたという一面がありますが、今後はそこでの不良債権が増加するリスクが懸念されており、そこに有価証券運用事業の更なる悪化が加わると、地域銀行の長期に安定的な経営基盤への懸念が強まる可能性も否定できず、そうなると預金者構造の差異等はあれど、SVBは対岸の火事であると言い捨てることはもはやできなくなるでしょう。
長期の有価証券運用においては、一時的な含み損の発生そのものが悪というわけではありませんが、期間損益への影響を勘案しながらの事業運営が求められる地域銀行の有価証券運用事業においては、含み損の存在は機動性や合理性等を損ない得るものであることは留意しなければなりません。比較的に業績が安定している現在のうちに含み損への対応を行なうとともに、抜本的な事業運営の改革が地域銀行には求められています。これまでも繰り返し言われてきたことでありますが、本当に「待ったなし」の状況です。
2023年3月16日
【米本・地銀協会長、SVBと国内地銀は構造が大きく違う】
大原のコメント→
破綻したシリコンバレーバンク(SVB)と日本の地域銀行はその事業モデルや有価証券運用状況等の点で異なっており、日銀の金融政策の転換が予想される状況でも同様の事象が起こる可能性は低いという見解には同意です。
ただ、今回のSVB破綻を受け。金融政策の転換局面では金利リスクを抱える金融機関に不測の事態が生じ得るという認識が金融関係者に広がったことは間違いなく、今後の金融政策の方向性に関する議論への影響は一定程度あるでしょうし、・・・(続きを読む)
2022年3月16日
【業績アップの先行指標「NPS」 上げると株主にも恩恵(写真=共同)】
長澤のコメント→
金融機関でも現場における顧客本位の業務運営の浸透・定着状況のモニタリング指標としてNPSを利用しているところもあるようですが、お金の話が絡むので友人に勧めるものではないとの考えを持っている人が多く、NPSがマイナス50~60になってしまう傾向があります。そこで友人に勧めるかではなく、自身の話としてもう一度取引をしたいと思うかなどの追加購入意向を併用することもあるようです。結果はあまり変わらないようですが。
個人的には、顧客本位の営業を行っているとNPSは高くなるとは思いますが、・・・(続きを読む)
2023年3月16日
【金融教育の取り組み、積極的な高校4割弱】
長澤のコメント→
金融教育に熱心ではない理由として、大学受験の科目より優先度が低いということですが、やむを得ない面はあるとは思いますが、将来社会で生きていくために必須の知識なのでちょっと残念な気がします。
また別の理由として、教員のスキル不足があるということですが、逆にスキルを身に着ければ、重宝され引っ張りだこということでしょうか。教員の方も多忙と聞きますので、全員がスキルを身に着けるというのは現実的ではないかと思いますが、・・・(続きを読む)
■ゴールベース型ラップに関するWebセミナー開催
3月9日(木)に開催したWebセミナーの資料と動画を弊社HPで公開しました。
「虎の巻!ゴールベースアプローチ営業の実践 ~アドバイザー育成の現場から考える~」
■メディア掲載:ニッキンONLINEでのインタビュー記事の掲載
「ニッキンONLINE」で金融機関コンサルティング部長直井のインタビュー記事が掲載されました。
「バンカーを輝かせる業績評価 特別編 JAMP・直井氏に聞く」
■メディア掲載:弊社代表の大原のセミナー登壇に関する記事掲載
「ニッキンONLINE」で、QUICKと弊社が提供するゴールベースアプローチ型ラップ事業支援サービスの提供を開始した証券ジャパン主催の資産形成セミナーについて紹介いただきました。「証券ジャパン、新しい資産形成セミナー GBA型ラップを訴求」
個別のご質問・ご相談会を無料で定期的に開いています。お気軽にお申し込みください。
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