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「JAMPの視線」No.243(2024年8月25日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2024年8月25日

 家族が妻の実家(滋賀)に帰省しているため、この土日はオフィスにこもって溜まっていた仕事や原稿や資料作成等に格闘していました。おかげでかなり未対応タスクが減りましたので、なんとか8月は乗り越えられそうな気がします。ふう。それにしても2015年に最初の起業をした頃からちゃんと夏休みを取っていないので、家族で帰省や旅行もまともにできていないなあとオフィスで仕事をしながらふと気づきました。子供たちが小さいうちに本当のハワイに家族みんなで行けるよう、来年は夏休みを取ることを目標にしたいと思います。
 さて、以前からずっと「証券・資産運用事業の手数料低下」と「販売バリューチェーンのガラガラポン(販販分離等)」が金融業界の事業モデルの再構築を余儀なくしているということを申し上げていますが、足もと感じているETFの成長可能性についてもこの販販分離の文脈で整理することができるなあと最近考えています。
 ETFというと投資信託と比べて日中いつでも取引可能であることや売買注文の自由度の高さ等の商品性で語られることが多いように感じますが、金融機関の事業展開のあり方の観点でもそこには大きなメリットがあり、その理由で今後は金融機関によるETF事業への参入が増えていくように感じています。
 2019年8月26日に公表された野村證券と山陰合同銀行の包括的業務提携で始まった証券・資産運用業界の「販販分離」とは、投信等の金融商品の販売事務を担う金融商品プラットフォーム事業者の役割と、実際にお客様に対峙し、提案・勧誘・販売行為を行うアドバイザー事業者の役割が分離していく流れを表すために私が勝手に作った表現ですが、証券・資産運用業界全体の運用報酬の低下の流れや、「顧客本位の業務運営の原則」強化等の規制面での動きもあり、ここ数年でその動きは加速度的に進んでいくように感じています。
 この動きがいずれ到達するであろう状況のひとつとしては、直接お客様に接し、その資産を大きな規模でお預かりするアドバイザー機関が、自ら金融商品ポートフォリオの運用・提供に乗り出すことが考えられます。既に多くの金融機関で取り組みが進んでいるように、お客様に単品の株式や投信を提案・販売するのではなく、ポートフォリオとして提案することが一般的になってくると、自らのそのポートフォリオ組成を付加価値とし、フィーを徴収するために金融商品組成側にアドバイザー機関が入り込む動きというのは自然な流れだと思います。
 この流れの表れのひとつが足もと広がってきている、IFA事業者(金融商品仲介事業者)によるファンドラップ事業への参入だと思います。これまでは連携する所属証券会社で取り扱う投信等の金融商品の販売仲介のみを行ってきたIFA事業者が運用会社出身のポートフォリオマネジャーを雇用し、投資助言ライセンスに登録し、自らが投資運用するポートフォリオを用いたファンドラップサービスを提供する動きがこの数年で日本でも広がってきたように認識しています。
 ただ、通常のファンドラップだと小口での提供や積立・取崩、NISA等への対応もできないため、次の展開として、投資信託商品の開発・運用に乗り出すことの検討が増えてきているように感じます。ところが、非上場の公募投信の場合、IFA会社が助言に携わる投信商品をうまく設定できたとしても、販売会社の役割を担う証券会社等に個別に提案してまわり、そこで採用してもらわなければならないという手間が生じます。また、お客様への提案・勧誘・販売行為はIFA事業者自らが行い、「販売会社」である証券会社等は実際には販売活動には携わらないのに、公募投信の場合はそこに代行手数料という販売手数料が発生してしまいます。このように公募投信はIFA事業者等のアドバイザー機関による金融商品組成側への入り込みには使い勝手が悪いというデメリットがあります。
 この点、ETFであれば、いったん上場してしまいさえすれば、全ての証券会社で売買することが可能となりますし、実際には販売を行わない証券会社による手数料の中抜きも発生しないというIFA事業者にとっては小さくないメリットが存在します。
 米国のようにお客様と直接接するアドバイザー機関が自ら金融商品の組成・運用の役割を担う動きというのは日本ではまだまだこれからですし、時間はかかるものだとは思いますが、「販販分離」の流れのなかで規模を拡大するアドバイザー機関は間違いなく増えている現状、そのような動きが増えてくるのは間違いないと思いますし、そのなかでファンドラップでもなく、公募投信でもなく、ETFを選択するということもまた合理的なものではないかと考えています。
 弊社・日本資産運用基盤が提供する日本版ファンドマネジメントカンパニーソリューションも、このようなIFA事業者のETF組成等の取り組みに活用頂けるよう、ETFホワイトラベルソリューションへの展開等、今後も付加価値の向上に努めてまいりたいと思います。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

【金融庁、イデコ拡充を要望へ 税制改正、老後の資産形成後押し】
大原のコメント→
 金融庁が所管外のiDeCoの拡充に関する要望を出すという点に「家計の安定的な資産形成」を内容のひとつとする資産運用立国実現プランに対する同庁の本気度がうかがわれる気がします。総理・自民党総裁が交代にはなりますが、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

【家計が生保離れ、1.8兆円流出 16年ぶり高水準、円安が影響 1~3月】
長澤のコメント→
 昨年6月に金融庁から公表された報告書によると、仕組み債に対する金融庁の厳しいスタンスを反映して、22年上期には仕組み債の販売が大幅に減少する一方、外貨建て一時払い保険の販売額が大幅に増額していました。その後金融庁の関心が、ターゲット型の外貨建て保険の乗換販売に移ってきたことにより、足元では大幅な資金流出となったものと思われます。
 10年ほど前を振り返ると当時はテーマ型の毎月分配型投信がやり玉に挙げられていましたが、このように金融庁が問題視すると、新たな収益源を求めて、・・・(続きを読む)

メディア掲載情報

■メディア掲載:ニッキンオンライン
執行役員・金融機関コンサルティング部門長の直井がニッキンオンラインに寄稿しました。

「原点回帰~預金は信用の証~」

インフォメーション

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