見出し画像

「JAMPの視線」No.59(2021年2月14日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
③メディア掲載情報
④お知らせ・ニュースリリース
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2021年2月14日

"Finance, after all, is not a consumer product or service, valued in itself, like a car or a restaurant meal or clothing. No one gets up in the morning and says "I feel like enjoying some financial services today."" Adair Turner 「金融サービスはそれ自体に価値がある消費者向け商材やサービスではない。その点で自動車やレストランでの食事、衣服等とは異なる。誰も朝起きて『今日は金融サービスを楽しみたい気分だわ』なんてつぶやいたりしない」 (アデア・ターナー)
元英国FSA長官の言葉を借りるまでもなく、金融サービスは基本的にはそれ自体が目的となるものではなく、私たちが普段の生活の中での経済的活動を円滑に行なうための手段に過ぎないことは言うまでもないでしょう。最近よくメディア等でも取り上げられる「Embedded Finance(組み込み型金融/プラグイン金融)」という表現は、生活者向けの非金融サービスに金融機能が一体的に組み込まれ、当該非金融サービスを利用する過程で金融機能も一体的かつシームレスに提供されるという体験価値もしくはそのような金融サービスを指していますが、ターナー氏が表現するところの金融機能があくまで経済活動の潤滑剤的手段であるという事実を突き詰めっていった先に現れたものであるとも考えられます。
但し、全ての金融機能がEmbedded Financeとして非金融サービス等にシームレスに組み込まれ易いという親和性を持つわけではなく、敢えて非金融サービスとは独立した形で提供する方が顧客体験価値に資するという種類の金融機能もあり、それが結果的には、BaaS(Banking as a Service/Brokerage as a Service)等の形で金融機能を提供する専門事業者が収益性を確保しながら活動し得る範囲や事業戦略にも影響すると個人的には考えています。
主要な金融機能のうち「資金移転(決済・送金等)」と「資金供与(融資等)」については、利用者がそれら金融機能を用いる目的とする資金需要がまさに現在行っている(行おうとしている)購買活動等に起因することが多く、その意味で当該購買活動のなかに一体的に金融機能を組み入れることに親和性がありますし、顧客体験価値としても向上することが期待されます。例えば、Amazonで書籍を購入するときのクレジットカード決済や電車を利用するときのSuicaのチャージ金額が不足している時の自動チャージ等を思い浮かべて頂ければわかりやすいと思います。
一方、主要な金融機能であっても、「資産運用」と「リスク移転(保険等)」については、利用者の資金需要のタイミングや金額がその時点からは遠い将来であり、金額も未確定であることが多く、主たる経済活動と手段としての金融機能の利用の「距離」が遠いことが一般的であるという特徴があります。例えば、老後に十分ゆとりがある生活を送るために若いうちから資産形成をするとなっても、いつまでに幾らくらいの金額を用意しておけばいいのかということを明確に推計することは簡単ではありません。従って、これら「資産運用」と「リスク移転」については、将来の資金需要をしっかりと推計し、適切なサービス・商品を利用するために、金融専門家のサポートを得ることが重要であり、その意味で、無意識のうちになんらかの経済活動に組み込まれているというEmbedded Financeには親和性がないと考えています(但し、これら金融機能の利用であっても、購買等の主たる経済活動にある程度「距離」が近い、損害保険商品の利用やおつり投資・ポイント運用等は別だとも考えています)。
こう考えると、Embedded Financeの文脈で様々な非金融サービスプラットフォーマーが今後は金融サービスの担い手になるという予想を時々目にしますが、主に「資金移転」と「資金供与」に関してはその通りだと感じるものの、「資産運用」と「リスク移転」については、今後も引き続き金融専門家たる金融機関・事業者が顧客接点の担い手になっていくだろうということを個人的には考えています。従って、旧来の金融商品仲介制度の拡がりや、新しい金融サービス仲介制度のスタートにより、金融サービスの提供接点が増えることが予想されていますが、それら増える提供接点というのも、主な担い手としてはIFAや保険代理店、地域金融機関等の金融機関・事業者が中心であり、よく想像されているような非金融サービスプラットフォーマーが中心的な担い手になるというのは難しいように感じています(もちろん、そこに事業機会を見出し、参入する非金融事業者は数多く出てくると思いますが)。
当社・日本資産運用基盤が資産運用領域の事業基盤を自任しながらも、同領域でのEmbedded Financeの拡がりには慎重な見方を示し、それよりも従来型金融機関の事業ポートフォリオの整理・再構築のご支援や、IFAや保険・保険代理店、地域銀行等が仲介スキームを活用して資産運用サービスの提供主体としての事業構築等を行なう際のご支援に注力しており、そしてそれがゆえに自らは金融機能を持たない(License Holderにならない)のも、こんな考えに基づいています。

News Picks ダイジェスト(2021年2月8日~2021年2月14日)

2021年2月9日
【日本企業を狙うSPACが上場へ 社外取に元ロッテ監督】
大原コメント→
「合併対象のスタートアップとして日本のテクノロジーや金融関連企業を候補に挙げた」「2億5000万~7億5000万ドルの企業価値の会社を想定」とのことですが、これらに該当する金融関連スタートアップ企業ってどこでしょう。
条件だけ考えると数社あるのはあるけど、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5602627?ref=user_121187

2021年2月9日
【ライフネット生命、マネフォと業務提携 「マネーフォワードの生命保険」販売】
大原コメント→
マネーフォワードは会社目的に「銀行、貸金、証券、保険分野における金融サービス仲介業」等を追加する定款変更を予定(2月26日開催の株主総会に付議)しているとのことですが、今回のライフネット生命との提携による自社ブランド生命保険商品の販売(媒介)は今秋スタートする新しい金融サービス仲介業制度を用いるのか、従来制度を用いるのかが気になります。
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/cqer4f/
金融サービス仲介業制度はまさにマネーフォワードのような家計簿アプリ運営業者が各種金融商品・サービスの提供を行なうことを想定して創設されたものですが、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5604209?ref=user_121187

2021年2月11日
【世界最高齢の総務部員は90歳 エクセル駆使「私に定年はない」】
大原コメント→
85歳までは頑張って働き続けたいという個人的な目標を持っていたのですが、勝手に自分で「定年」を設定してしまっていることに気付き、反省しました。
健康に生きている限り、85歳といわず何歳になっても、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5609223?ref=user_121187

メディア掲載情報

■メディア掲載:「ファンド情報」へのコラム寄稿
代表の大原が「ファンド情報」(2021年2月8日号)にコラムを寄稿しました。
「保険チャネルにも広がるラップ事業参入の動き」
https://www.jamplatform.com/news/2021/02/08/1912/

■コラム公開:コンプライアンスチームの連載noteの公開
新興・海外資産運用会社の立上げ等の支援を提供している弊社コンプライアンスチームがnoteに第4回目の記事を公開しました。
「当局届出事項の落とし穴①(純財産額が資本金の額に満たなくなった場合の届出)」
https://www.jamplatform.com/news/2021/02/12/1921/

お知らせ・ニュースリリース

■セミナー登壇:東京都「Tokyo 独立開業道場」セミナーへの登壇
弊社代表の大原が東京都主催の新興運用会社立上げセミナーに登壇します(次回は最終回2月25日)。
「Tokyo 独立開業道場『目指せ!独立系資産運用会社』」
https://www.kaigyo-dojo.com/

■セミナー登壇:リフィニティブ社のWebセミナーへの登壇
弊社代表の大原がリフィニティブ社主催の全3回のリテール金融業界セミナーに登壇します。
第1回(2月17日(水)):「なぜ今、IFAが注目されるのか」
第2回(2月24日(水)):「なぜ地域連合、銀証連合が生まれるのか」
第3回(3月3日(水)):「日本でプラットフォーマーになるのは誰か~ネット証券か、運用会社か、テクノロジー会社か~」
https://solutions.refinitiv.com/japanifalp

インフォメーション

■個別無料相談会
個別のご質問・ご相談会を無料で定期的に開いています。お気軽にお申し込みください。
https://www.jamplatform.com/consultation/

■メールマガジン登録
毎週日曜日22時にJAMPメールマガジン「JAMPの視線」を発信しています。
ご興味のある方は是非こちらから登録をお願い致します。
https://www.jamplatform.com/mailmag/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?