見出し画像

「JAMPの視線」No.208(2023年12月24日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2023年12月24日

 昨日は小学校3年生の長男が入っている野球チームのクリスマスパーティ&忘年会でした。夕方から早めに集まり、野球のルールの勉強動画をまずみんなで視聴してからパーティを開始するという流れを予定していたのですが、賑やかモードの子供たちが集まるおとなしく座ってルールの勉強ということは難しく、なし崩し的に大騒ぎのパーティが始まるという楽しい展開でした。今年は本当に色々なことがありましたが、子供たちの活動を通じて昨日のような地域のパパママ同士の交流が増えたことは嬉しいことだなと改めて感じました。
 さて、今月半ばに発表された「資産運用立国実現プラン」では、「我が国の家計金融資産 2,115 兆円(2023年6月末時点)の半分以上を占める現預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、更なる投資や消費につなげ、家計の勤労所得に加え金融資産所得も増やしていく資金の流れを創出し、『成長と分配の好循環』を実現していくことが重要」(「資産運用立国実現プラン」ペーパーより引用)と述べられており、一連の諸施策を通じて日本国内におけるインベストメントチェーンの活性化の実現を目指すというゴールが掲げられています。
 この「成長と分配の好循環」を実現することの重要性・必要性やそのために今回打ち出された諸施策の方向性及び内容等には概ね違和感はないのですが、私が個人的に懸念をしているのは、活性化をすべきインベストメントチェーンの一部がうまくつながっていない/いかないのではないかということです。具体的には、新NISA等で現預金から移動することが期待される家計金融資産が本当に我が国の企業の事業成長のためのリスクマネーとして本当に向かうのだろうかというその部分についての懸念です。
 来年初から始まる新NISA制度への金融機関の取組みや足もとの生活者の資産運用活動を見ていても、そこで主な資産形成・運用手段として用いられている投資信託商品においては、日本株式へ投資する投信商品ではなく、グローバル株式へ投資する投信商品が人気であるという事実があります。そうなると、家計金融資産から移動した資金が向かう先は日本国内の企業というよりも海外の企業となり、国内の企業の事業成長や企業価値増大には直接的に大きくつながるという絵姿にはなりません。
 もちろん、生活者の資産形成・運用という観点では、日本株式に過度に偏ったポートフォリオよりもグローバル分散がしっかりとされたポートフォリオの方が好ましく、その点で家計の金融資産所得を増やすという意味では上記のような状況は必ずしも悲観・否定すべきものではないことは言うまでもありません。ただ、「成長と分配の好循環」は、資産運用関連のビジネスサイクルを通じて循環する資金を用いて、我が国の企業の事業成長とその結果としての家計の勤労所得及び政府の税収等を目指しているように理解しており、その意味では家計金融資産が海外に流出するという国内インベストメントチェーンのつながりの悪さは「好循環」の妨げになるように思われます。
 この点については、「資産運用立国実現プラン」においてもスチュワードシップ活動の実質化等を通じ、日本企業の企業価値増大と日本株市場の魅力向上等を目指すことが掲げられていますが、投資対象としての日本株の魅力が高まったとしても、家計の運用ポートフォリオが日本株を中心に構成されるべきか否かは別の問題であり、そこのつながりの悪さが解消されないということは変わりないように思います。
 もし本当にインベストメントチェーンが国内でしっかりとつながることを目指すのであれば、個人的なジャストアイデアではありますが、新NISA制度の一部に日本株もしくは日本株式へ投資する投信商品に限定した非課税枠を別途設ける等の対応は効果的ではないかなと思います。このような施策を通じて国内企業に限定した優遇策を取ることは国際法に抵触するので難しいということも聞いたことはありますので、実際には現実的ではないのだろうとは想像します。ただ、本当に「資産運用立国」のキーフレーズの通り、資産運用関連のビジネスサイクルを通じて日本の家計や企業、その他の主体の経済活動を活性化したいというのであれば、そのようなより踏み込んだ手段を取って、私たちがこれまで蓄積した強み、即ち巨額の家計金融資産等を活用するということもアリなのではないかと感じる今日この頃です。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2023年12月18日
【三菱UFJ信託銀、豪年金運営管理会社を買収へ 約1056億円】
大原のコメント→
 金融グループにとって資産運用事業領域への期待が高まるなか、アセットマネジメント(投資運用)を中心とする高付加価値業務に集中するか、ファンドマネジメントを中心とする非高付加価値の「装置」的業務に集中するか、各金融グループの戦略が興味深いです。
 三菱UFJ信託銀行は以前からこの後者に注力する取組みが目立っており、日本勢のなかではかなり抜きん出たポジションを取っている印象です。

2023年12月21日
【ドコモのマネックス証券子会社化、金融業参入も「ドコモ経済圏は夢物語」なのはなぜか】
大原のコメント→
 「資産運用」機能の特徴や事業効率性等を考えると、証券・資産運用会社等の金融機関を自前で持たないNTTドコモの戦略は個人的に理解できる一方、それは単にビジョンや戦略が欠如しているだけなのかなという懸念も正直これまで感じたりしていました。
 金融が「溶けゆく」なか、大きな顧客基盤を有し、顧客の生活の一部を担う非金融事業者が金融サービスを手掛ける流れにあることは間違いありませんが、その参入形態は軽く、柔軟なものである必要があります。
 金融事業が従来ほどに大きな利潤獲得が期待できない一方、これまでのように巨額の先行投資が必要ということになると、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2023年12月19日
【銀行の保険窓販、外貨建て頼み転機 三井住友信託銀行は円建てシフト - 日本経済新聞】
長澤のコメント→
 先日来、地方銀行の外貨建て保険販売自粛や、三井住友信託銀行の目標到達型の外貨建て保険の販売取りやめが報道されていますが、例えば、目標設定型の目標を105%などと到達しやすくした商品設計は、本来長期契約である保険である必要があるのか、コストの安い外貨預金でも十分ではないか甚だ疑問に思われます。保険会社としては、多く販売してくれる金融機関には遠慮があるのかもしれませんが、解約・再加入させるなどの回転売買類似行為を行っている販売金融機関があれば、・・・(続きを読む)

2023年12月21日
【第一フロンティア生命、リモートで保険申し込み可能に 三井住友銀の顧客向け】
長澤のコメント→
 保険加入時のオンライン面談時に、ペーパーレスで申込みができるようになり利便性が高まるのは有難いことだと思います。オンライン面談自体はコロナ禍によりかなり浸透したかと思いますが、高齢顧客など、ご子息などの家族が遠隔地にいる場合にオンラインで同席してもらうようなケースがどの程度行われているかはわかりませんが、・・・(続きを読む)

メディア掲載情報

■セミナー登壇:証券ジャパン様のGBAサービスセミナーへの登壇
 弊社とQUICKが金融機関向けに提供するゴールベースアプローチ型ラップ事業支援サービスについて、2023年2月からサービス提供を開始されている証券ジャパンがGBAセミナーを開催され、弊社代表の大原がパネリストとして登壇しました。

「GBAセミナー 『我が国でゴールベースアプローチは定着するのか?』」

インフォメーション

個別のご質問・ご相談会を無料で定期的に開いています。お気軽にお申し込みください。
https://www.jamplatform.com/contact/

■メールマガジン登録
毎週日曜日22時にJAMPメールマガジン「JAMPの視線」を発信しています。
ご興味のある方は是非こちらから登録をお願い致します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?