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「JAMPの視線」No.79(2021年7月4日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④お知らせ・ニュースリリース
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2021年7月4日

先月6月25日に金融庁から「資産運用業高度化プログレスレポート2021」が公表されました。商品面では公募投信が主な調査・分析対象だった昨年のレポートに比べ、今年は私募投信や投資一任(ラップ)サービスが対象とされていたり、ESG・SDGs投資、資産運用業サービサー等も取り上げられたりしている等、より幅広い網羅的な内容になった印象です。
今回のレポートでも、資産運用会社の経営のガバナンスや親会社金融機関からの独立性等が重要視されているとともに、昨年と同様に「プロダクトガバナンス」という切り口で重要な問題提起がなされています。アクティブ運用商品であることを謳いながら実際にはパッシブ運用並みのリスクしかとっていないクローゼット・トラッカーの問題や、同様の資産運用内容の商品でありながら、手数料が異なるものを同じ運用会社が提供している「一物多価」の問題等、いずれも見逃せない重要な問題であり、今回のプログレスレポートでの問題提起をきっかけに、改めて業界内での議論が深められることが期待されます。
「プロダクトガバナンス」という視点については、資産運用会社単独で解決すべき/し得る問題ももちろんあるものの、日本の資産運用会社においては販売会社との関係性の文脈でとらえるべき問題が多いというのが以前から弊社も問題提起してきたものです。即ち、特に個人向け資産運用商品の開発・提供において、いかに資産運用会社が良いと考える商品があったとしても、それが販売金融機関に採用されなければそもそも個人のお客様の手元に届くこともかなわず、結果的に資産運用会社の商品開発・運用は販売金融機関の言いなりになってしまってきたというのが残念な日本の資産運用業界の実情です。昨年のプログレスレポートでも分析がされていた日米の公募投信のリスク調整後リターンの差は、投資運用技術の巧拙の差というよりも、販売金融機関の売りやすさという視点でのベータ/テーマ選定に依存していることの表れであるように考えています。
この点、今回のプログレスレポート2021でも少し触れられていましたし、今年1月の「顧客本位の業務運営の原則」改訂でも求められていたように、資産運用会社側がより積極的に自らの商品の想定顧客を明示し、それを販売金融機関に働きかけるという動きを取ることを求める動きが出て来ているように感じられます。もちろん、実際の現場では、まだまだ販売金融機関の意向ありきで商品設計等が決まってしまうところは多く残るとは思いますが、これまで全くといっていいほどに最終顧客である個人生活者のプロファイルやニーズを意識することがなかった資産運用会社のプロダクトガバナンスにとっては大きな一歩であるように感じています。
資産運用商品そのものの付加価値がコモディティ化するなか、資産運用会社も個人生活者との接点やコミュニケーションに付加価値創出を求めなければならない現状、プロダクトガバナンスに顧客ニーズの視点を取り込むことは不可避ですが、ここまで追い込まれる前にそのような問題意識を自発的に持てなかったことが少し残念です。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一) 

2021年6月24日
【【金融ビジネス/最前線の変革者達 No.19】 STOCK POINT株式会社「金融マーケティングの"見えざる革命"」】
大原のコメント→
過去に読んで感銘を受けた書籍のひとつにピーター・ドラッカー氏の「見えざる革命」があります。この書籍は、1970年代以降の米国における社会構造の変化によって年金基金、即ち労働者が最大の資本家になったというパラダイムシフトを観察したもので、資本主義の躍動的な変遷を感じさせるものです。
STOCK POINT社が提供する株価連動型ポイント運用サービスはその革新性ゆえ以前から密かに注目をしていましたが、今秋提供開始予定の「ある会社の商品やサービスを購入・利用すると、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5962657?ref=user_121187

2021年6月30日
【ファンドラップ競争過熱、預金膨張の地銀に攻勢】
大原のコメント→
ファンドラップ(投資一任)サービスは投資信託と同様に個人向け資産運用サービスであることは間違いないものの、提供し得る付加価値が異なる点が特徴であり、足もと広がっている理由もそこにあります。
資産運用とは本来的に短期のリターンを期待するものではなく、比較的遠い将来のライフプラン上の目標(ゴール)を経済的に達成する手段である一方、その過程で時価が変動するという特徴を持っているため、当初の目標設定や運用手段・商品の選定のみならず、継続的なアフターフォローが機能の一部として本来的に必要になります。
しかし、投資信託という形態では、個々のお客様のライフプランに応じた継続的なアフターフォローを契約約款に盛り込むことは困難であり、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5975774?ref=user_121187

2021年7月3日
【ゴールドマン・サックス、オフィス復帰はバンカーに絶対必要-報道】
大原のコメント→
外部のお客様・取引先との意見交換や社内の定例ミーティング等はZoom等のリモート会議が効率的なのは間違いありませんが、新しいサービス・ビジネスの立ち上げや交渉ごと、チームビルディング、人材育成等に関しては、やはり対面で顔を合わせ、同じ空間を共有することの重要性は否定できないと思います。
コロナ禍収束後もリモートワーク中心を継続するという考え方も多くあるようですが、ある程度のリモート環境を残しつつ、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5984625?ref=user_121187

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2021年6月29日
【ESGにバブルの兆し、GPIFは収益性の分析を-平野・前経営委員長】
長澤のコメント→
主に個人向けとなる公募投資信託の世界でも、ファンド名にESGを掲げる投資信託が増加しておりますが、金融庁が先月公表した「資産運用業高度化プログレスレポート2021」では、ESG・SDGsに関連したアクティブファンドのパフォーマンスは一概に評価することが難しい一方で、コスト(信託報酬)水準はアクティブ全体の平均より高い傾向にあるとの指摘がなされております。
 さらに、同レポートでは、ESG関連ファンドの銘柄選定基準は、個々のファンドによって大きく異なり、基準が明確でないとの指摘があるとされ、また、ESGスコアそれ自体にも様々な種類があり、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5973898?ref=user_6551307

メディア掲載情報

■メディア掲載:「Investment Japan」への英文コラム寄稿
法務コンプライアンス担当の岩渕が「Investment Japan」に英文コラムを寄稿しました。
「FIBO Managers Beware: When Officers or Important Employees Change」
https://www.jamplatform.com/news/2021/06/28/2230/

■メディア出演:KPMG「フィンテック・イノベーション2030『資産運用』」
代表の大原がKPMGコンサルティング株式会社の対談インタビューに出演させて頂きました。
https://www.jamplatform.com/news/2021/07/01/2242/

お知らせ・ニュースリリース

■地域銀・信金向けミニセミナー開催
7月6日(火)夕方に地域銀・信金限定のミニセミナーを開催させて頂きます。
「地域金融機関でファンドラップ導入が進む背景と導入検討の際のポイント」
https://jamp-fundwrap.peatix.com/view

■「投資信託等の販売会社による『顧客本位の業務運営』」に関するセミナー開催
7月15日(木)夕方に「顧客本位の業務運営」に関するセミナーを開催させて頂きます。
「投資信託等の販売会社による『顧客本位の業務運営』~金融庁のモニタリング着眼点の変化と原則の公表・改定について~」
https://jamp-fdseminar1.peatix.com/view

インフォメーション

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