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「JAMPの視線」No.216(2024年2月18日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③お知らせ・ニュースリリース
④メディア掲載情報
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2024年2月18日

 小学校3年生の長男の誕生日祝いのため、今週末は越後湯沢での雪遊び旅行に行ってきました。日本に帰ってきてからしばらくは毎年恒例で訪れていたものの、コロナ禍で昨年までは数年ほど旅行を控えていたこともあり、数年ぶりの実現となりました。長男は初めてのスキーを経験し、幼稚園年少の次男は初めての雪国訪問ということもあり、全身ずぶ濡れになるまで雪遊びを満喫していました。ホテルの露天風呂ですべって転倒して腰を痛めたこともあり、40歳過ぎのなまった身体的には週明け以降の筋肉痛を不安に感じていますが、子供たちが喜んでくれたことが何よりです。
 さて、少し前になりますが、資産運用業界の大先輩とディナーをご一緒した時に、三越伊勢丹の最近の取組みのお話をお聞きしたのですが、それが今後の地域金融機関の今後の成長可能性にも関係するように感じましたので、今日のコラムではそのお話を共有させて頂きます。
 大先輩のお話によると、三越伊勢丹はインバウンド需要の取り込みや都市開発等への積極的な取組みで足もと事業を大きく成長させているとのことですが、富裕層向けの外商事業でも従来よりも踏み込んだ付加価値提供を推進しており、それが成長のドライバーのひとつになっているとのことでした。即ち、これまでの百貨店の外商というと、富裕層のお客様のもとに外商担当者が足を運び、取り扱っている物品やサービスの案内をすることで、ご注文を頂戴するのが主な役割だったところ、「取り扱う物品やサービスを案内する」ではなく、仮に自らが現在は取り扱っていない物品やサービスであっても、「お客様が求めているものを代わりに調達する」ように付加価値をシフトさせてきているということでした。換言すると、これまではあくまで「販売」のプロフェッショナルであったところ、より広くお客様のお困りごとやニーズをくみ上げ、それに対して適切に対応・解決するコンシェルジュ的なプロフェッショナルへの転換と言えるかもしれません。
 この三越伊勢丹のお話はあくまで私が大先輩から間接的にうかがったものですので、実際にそのようなシフトが起こっているのか、もしくは以前から百貨店の外商はそのような役割だったということは正確に把握しているわけではないのですが、いずれにせよ私が感じたことは、地域銀行をはじめとする地域金融機関の役割も今後はそのような方向に大きく転換していくだろうということです。これまでは法人のお客様に対しては必要な事業資金を融資し、個人のお客様に対しては住宅ローンや投資信託等の金融商品・サービスの提供を行なうというのが金融機関の役割でしたが、これからは自らの業態や免許・登録等に関連する金融商品・サービスを「販売」するのではなく、法人・個人を問わずお客様のお困りごとやニーズをくみ取り、金融・非金融を問わずに必要な商品・サービスを調達したり、組成したりし、提供するのが地域金融機関の役割の中心になっていくことを予想しています。つまり、地域のお客様にとっての最初の窓口となる「御用聞き」の役割を担うことが地域金融機関の今後の成長戦略の中心になるのだと考えます。
 「御用聞き」という表現を用いると、その表現が持つ伝書鳩的な響きもあり、ネガティブな受け止めをする地域金融機関の方もいらっしゃるかもしれませんが、全ての物品・サービスがオンライン上に移動した現代においては、お客様の顕在・潜在的なニーズを最初に汲み取り、適切な購買行動に誘導する立ち位置の重要性は非常に大きなものがあり、企業としての提供付加価値はそこが殆ど全てになってくると言っても過言では無いと考えています。これからの地域金融機関にとってその地域における「御用聞き」としての存在感を高めること以上に重要なことはないでしょう。
 金融機関による非金融サービスへの取組み、非金融事業者による金融サービスへの取組みの両方が進むなか、生活者にとっての「御用聞き」の役割を巡る競争はもはや金融機関同士だけのものではありません。これまでお客様の生活支援に真正面から取り組んできた非金融事業者に一日の長があるだろうことは思いつつ、地域金融機関の存在感の大きさは間違いなく、その役割の転換の困難さとともにその先の可能性の大きさを信じています。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2024年2月11日
【福岡県と市、資産運用特区申請へ 13日にも方針公表、金融拠点に】
大原のコメント→
 資産運用特区構想においては、新規事業者の参入支援や金商業登録要件緩和、税優遇等が施策パッケージとして考えられていますが、そのような事業参入・運営面でのコスト引き下げの支援のみでは海外・新興資産運用会社の誘致としては不十分なように感じています。
 国や地方公共団体等の施策としては限界はあるものの、やはり成長可能性の大きな事業機会があってこその新規参入活性化であり、日本やこの地域に新しく資産運用子会社を設立することで、・・・(続きを読む)

2024年2月12日
【【バブル後高値】S&P500をもぶっちぎる「日経平均の正体」】
大原のコメント→
 過去最高値を更新といっても、35年前の時とは構成銘柄も大きく変わっており、その最高値に何の意味があるのかという意見も聞かれますが、足もと個人投資家が新NISAやインフレ環境等を背景に投資・資産運用への関心を高めているなか、このままのペースで日経平均株価が4万円を超えるようなことが実現すると、その上昇相場による熱気の高まりが新たな上昇相場をつくるような流れになるのではないかと予想しています。
 資産運用は将来の資金需要の備えを行なうというのが本来的な機能であり、短中期的な「儲け」のために行なうものではありませんが、・・・(続きを読む)

2024年2月13日
【新NISA 投資信託に1兆3000億円近く流入 約16年ぶりの高水準に】
大原のコメント→
 昨年末に発表された「資産運用立国実現プラン」では、「我が国の家計金融資産 2,115 兆円(2023年6月末時点)の半分以上を占める現預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、更なる投資や消費につなげ、家計の勤労所得に加え金融資産所得も増やしていく資金の流れを創出し、『成長と分配の好循環』を実現していくことが重要」と述べられており、一連の諸施策を通じて日本国内におけるインベストメントチェーンの活性化の実現を目指すというゴールが掲げられています。
 同プランでは、スチュワードシップ活動の実質化等を通じ、投資対象としての日本企業株式の魅力も高め、動き出す家計金融資産の資金が日本株式に向かうような流れを創出することを目指しているように見受けられますが、・・・(続きを読む)

2024年2月13日
【三菱UFJ、ウェルスナビに150億円出資 資産形成で連携】
大原のコメント→
 顧客カテゴリーでいうとシニア富裕層・準富裕層のストック取込みは大手証券や信託銀行、外資系PB等が競争を激しくする一方、資産形成層のキャッシュフロー取込みはSBI証券・楽天証券の2強が寡占する方向に勝負が決まりつつあるように見受けられます。
 三菱UFJとしては、三菱UFJアセットの低コスト投信で資産形成層のキャッシュフローは取り込んでいるものの、低コストゆえに収益性は厳しいことに加え、傘下のauカブコム証券のみでは太刀打ちできないと判断し、ウェルスナビとの連携で資産形成層のキャッシュフロー取込みにおける収益性成長可能性に厚みをもたせたいとの判断でしょうか。
 個人的にはこれからの資産運用ビジネスのスイートゾーンは、競争が激しい割に収益性が限定的な資産形成層ではなく、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2024年2月15日
【新NISAで国富が流出? - 日本経済新聞】
長澤のコメント→
 新NISAは税制優遇があるのだから投資対象を日本に限定すべきという意見に対し、日本企業が投資対象としての魅力を高めることが本筋というのは、国民目線に立った正論だと思います。先日の講演会で、金融当局の幹部も、新NISAが始まり、最近海外株式投信に資金が向かって、資金流出を懸念する声が聞かれるが、国際分散投資の観点から否定的ではなく、現時点ではこれを止めるつもりはない旨の発言をされておりました。

お知らせ・ニュースリリース

■代表の大原がUCDA主催のセミナーに登壇します
 代表の大原が一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA)主催のセミナー『資産運用立国における「わかりやすい情報提供」とは』に登壇します。

メディア掲載情報

■メディア掲載:対談記事の公開
弊社代表の大原とPwCコンサルティング合同会社 ストラテジーコンサルティング(Strategy&) パートナーの堤氏との対談記事が「Strategy&」のサイトで掲載されました。

「新NISAと目覚める金利が迫る資産形成事業の変革 ―地域金融機関への処方箋を示す―」

インフォメーション

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