「JAMPの視線」No.87(2021年8月29日配信)
次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】
目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④金融専門人材募集情報
⑤インフォメーション
JAMP 大原啓一の視点 2021年8月29日
色々な金融機関の皆さまとファンドラップやロボアドバイザーサービス等について意見交換をさせて頂いていると、少なくない方々が「リスク許容度」と「推奨リスク水準」を混同し、同じ意味として使用されていることに気づきます。
例えば、「お客様へのヒアリングの際にリスク許容度診断をさせて頂き、その結果として示されたリスク許容度のポートフォリオ(資産運用商品)を提案させて頂きます」等、リスク許容度診断で得られる結果が即ちそのお客様にとって最適なリスク水準(=「推奨リスク水準」)であるかのように話されるケースです。
お客様の資産状況や収入・支出状況等によって診断される「リスク許容度」は、その表現の通り、当該お客様が取り得ると考えられる「リスク水準の度合い」、つまり「上限」を示すものであり、当然ながら「取り得るリスク水準の『幅』」を含意するものです。従って、仮にお客様のリスク許容度が10段階のうち「6」と診断されたとしても、そのお客様にとって最適なリスク水準が「6」を意味するものでは無く、お客様にとって最適なリスク水準は「1」から「6」の間に存在するであろうというガイダンスでしかありません。それにも関わらず、いまの例でいうと「6」のリスク水準をお客様に推奨するということは、お客様の状況や目的によっては、不必要なリスク取得を提案することに他なりません。
このような混同/勘違いが散見される理由のひとつとして、従来の資産運用サービスにゴールベースの観点が欠けていたことがあると考えます。お客様のライフプラン上のゴール(目標)を達成するために資産運用計画があり、その実行手段として資産運用商品(ポートフォリオ)があるというゴールベースアプローチの考え方に立てば、リスク許容度が10段階の「6」であったとしても、それはあくまでお客様が取り得るリスク水準の上限に過ぎず、それを前提にお客様のゴール達成に必要かつ最適なリスク水準を探るという提案になります。例えば、リスク許容度(上限)は「6」だけれど、お客様のゴールを達成するためには「6」のリスク水準までは必要なく、「4」のリスク水準で十分ですよという提案になる等です。
つまり、ゴールベースアプローチの考え方に基づかない「リスク許容度診断」とは、お客様に寄り添い、ひとり一人に最適な提案をしようとしているように見えるものの、実際にはお客様に不必要なリスク取得を強いる可能性をはらむことになり、本質的には「顧客本位の業務運営」とは離れてしまう懸念があります。これはリスク水準のみならず、資産運用に投じる資金額についても同じことがいえ、仮にお客様にとって最適なリスク水準を探り当てられたとしても、ゴールの考えがない提案では、「そのゴール達成に必要な最低資金額は」という導出が存在しないため、お客様が幾らの資産運用が必要なのかまでも提案することができません。
ちなみに、「リスク許容度診断」は本来的にはお客様の現在のプロフィール・状況等に基づくものと、ゴール(目標)に基づくものの2種類が存在し、前者は上述の通りお客様の資産状況や収入・支出状況で基礎的に導出されるものですが、後者については、そのゴール(目標)までの期間が長いか、短いかによって、その基礎的なリスク許容度が調整されることになります。換言すれば、「推奨リスク水準」のみならず、「リスク許容度」という「上限」を探るプロセスにおいても、ゴールベースアプローチの考え方が不可欠であると言えます。
お客様にとって必然性と納得感を伴う提案に不可欠なゴールベースアプローチの考え方が普及するにつれ、「リスク許容度」と「推奨リスク水準」の混同が少なくなっていくことを祈念しています。
News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)
2021年8月23日
【みずほ・第一生命、「アセマネOne」ですきま風】
大原のコメント→
かつて興銀第一ライフアセットマネジメント及びDIAMアセットマネジメント時代にお世話になり、私の資産運用業界でのキャリアの基礎を鍛えて頂いた会社がこのような記事に取り上げられるのは悲しいばかりです。
アセットマネジメントOneの現状が記事の通りかどうかは私は存じませんが、一般的論として、資産運用会社が規模の拡大を追及したり、金融グループのなかにおいて株主利益の重視を求められるようになったりすると、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6123062?ref=user_121187
2021年8月23日
【地銀、相次ぐ地域商社への参入 域内の好循環に高い壁】
大原のコメント→
地元や他地域の企業とのネットワークや信用補完を始めとするファイナンス機能、企画機能人材等を有する地域銀行が担うべき「地域商社」の役割は、単なる地元名産品の開発企画や販売支援に留まらず、川上から川下までのバリューチェーンの機能提供としての事業インフラの役割ではないかと思います。
地方の中小企業の多くがその商品開発・販売にも課題を抱えていることはそうかもしれませんが、より多くは経営企画や財務等のコーポレート機能、PR・マーケティング、調達、輸送等の各工程で自社がバラバラで担うことの非効率性等であり、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6122876?ref=user_121187
News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)
2021年8月22日
【金利から年金の仕組みまで、知っておくと絶対にトクをする「お金のカラクリ」4つ】
長澤のコメント→
金利、株式投資、税金、年金といった生活に深く結びついたお金に関連する話を大変わかりやすく解説された記事だと思います。金融リテラシーの向上については、いろいろなところで議論がされておりますが、例えば、金融庁が6月に公表した「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」の中で、この種の調査でよくある回答者の金融リテラシーを調査する項目がありました。質問は、①金利と債券価格の関係、②金利とインフレ率の関係、③分散投資の効果、④積立投資の効果についてで、4問とも正解したのが、投資経験者では23.1%、投資未経験者では4.8%で、全問不正解は、それぞれ10.2%、37.1%だったとのことです。
金融リテラシーと投資経験の有無の関係については、「卵が先か鶏が先か」の問題のようですが、投資未経験者の多くが投資をしない理由として知識がないからを挙げていることから、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6120795?ref=user_6551307
メディア掲載情報
■メディア掲載:「ニッキン投信情報」への匿名コラム寄稿
代表の大原が「ニッキン投信情報」に匿名コラムを寄稿しました。
「資産運用サービスにゴールベース型の「必然性」を」
https://www.jamplatform.com/news/2021/08/25/2397/
金融専門人材募集情報
日本資産運用基盤グループが採用をご支援している金融機関の人材募集情報です
1)独立系資産運用会社 - コンプライアンスオフィサー/~800万円
https://www.jamplatform.com/hr/job/2415/
2)大手外資系金融グループ - クライアントサービスVP/~1,500万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2416/
3)日本資産運用基盤グループ - 経営企画部門マネージャー/600~850万円(賞与及び株式報酬別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2419/
4)大手アセットマネジメント会社 - 若手運用マネージャー/~1,500万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2394/
5)大手証券会社 - カバレッジバンカー/~3,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2408/
6)独立系資産運用会社 - ミドルバックオフィス統括役/~2,000万円
https://www.jamplatform.com/hr/job/2409/
ここに掲載している情報以外にも多くの人材採用ご支援をさせて頂いています。
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