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「JAMPの視線」No.203(2023年11月19日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2023年11月19日

 シンガーソングライターのKANさんがお亡くなりになりました。代表作の「愛は勝つ」以外にもたくさんの名曲を世に出されましたが、私は「よければ一緒に」や「世界でいちばん好きな人」が特に大好きでした。この週末に改めてKANさんの歌を聞き返しながら、歌詞や曲で描かれる世界観に浸ったり、昔を思い出したりし、ゆったりと幸せな気持ちを感じることができました。私もこれからどれくらい元気に活動できるかわかりませんが、自分以外の誰かが幸せな気持ちを感じられるような仕事がしたいなと改めて思いました。
 さて、岸田政権が「資産運用立国構想」を海外金融機関向けに積極的に打ち出しているからか、もしくは弊社が日本版ファンドマネジメントカンパニー(FMC)ソリューションを介したことに関心を持ってもらったからか、それとも単にたまたまなのかはわかりませんが、先週は海外資産運用会社から日本進出のご相談のミーティングが連続しました。いずれも既に日本の公的年金から運用受託の実績もある北米の大手資産運用会社でしたが、日本市場での次の展開として、日本拠点の設立もしくは拡大や日本での投資運用業のライセンス取得、日本籍投資信託ビークルの設定等の選択肢のメリット・デメリットやそこでの課題等について意見交換をさせて頂きました。
 海外の資産運用会社にとってFMCソリューションは「ManCo(=Management Companyの略)」ソリューションとして馴染みのあるものであるため、「おお、JAMPはManCoソリューションを提供しているんだね」「日本でも中立的なManCoが出てきたのは良いね」という反応を頂いたり、弊社のFMCソリューションを使わずに自ら投信委託業のライセンスを取得する場合も弊社がご支援させて頂く等をお話させて頂いたりし、日本での更なる事業展開の「手段」という意味ではそれほど高いハードルは無いということを感じて頂けたのではないかと思います。最近の岸田政権の積極姿勢についても認識されており、仮に自らライセンス登録をするとなった場合も、サポーティブな環境になっているという認識はお持ちなようでした。
 ただ、やはり海外資産運用会社のハードルになっているのはビジネス面での「果実」にどのようにアクセスできるかが不透明であるというところが大きいと改めて感じました。個人向けの資産運用商品の提供を行なうためには日本の証券・銀行等の販売チャネルに入り込む必要がありますが、日本でも既に様々な資産クラス・戦略の商品は飽和状態にあり、販売金融機関は逆に取扱い商品を絞り込む動きにあることに加え、馴染みのない海外資産運用会社の投資運用能力を正確に把握し、商品入替えまでを判断するような販売金融機関が稀であることを考えると、個人向けビジネスに海外資産運用会社が今から入り込むのはかなり難易度が高いと言わざるを得ません。
 一方、機関投資家向けビジネスにおいては、大手公的年金へのアプローチについては、先週に私がお話した北米の資産運用会社がそうであったように、日系資産運用会社をパートナーとして案件を獲得することは、資産クラスや戦略にもよりますが、決して不可能ではありません。ただ、日系資産運用会社とのパートナーシップでは当該日系資産運用会社が自社で対応困難な資産クラスや戦略における提携に限られていたり、営業戦略に制約がかかる等もあり、そのパートナーシップのみに依存した事業戦略はスケーラビリティが限られてしまいます。
 この辺りの次の事業展開の可能性がより大きく見通せるか否かが海外資産運用会社が日本への進出もしくは事業拡大の決断をする際の鍵であり、「手段」面でのサポートよりも重要度は大きいことを感じます。公的年金基金の運用資金を恣意的に海外資産運用会社や新興資産運用会社に優先的に運用委託するまでは必要ありませんし、そこまでは不適切であると考えますが、少なくとも投資運用パフォーマンスを始めとするサービス水準によって事業機会が等しく与えられるような適正な競争環境を整えることが海外・新興資産運用会社の参入活性化には必要と考えます。その意味で、政府がいま検討している年金基金の投資運用方針や実績等のディスクロージャーの充実は、迂遠ではあるものの、必要かつ重要な第一歩の施策であるように感じます。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2023年11月11日
【金融庁、資産運用の新規参入容易に 管理部門の分離容認】
大原のコメント→
 この記事は「資産運用会社」の機能を「資産運用」と「資産管理」に分離をするという表現をしているので、あたかも「資産運用会社」の管理部門を完全に外部委託することが可能となるというような誤解を生じさせますが(足もと資産運用タスクフォースで確かに資産運用会社の管理部門の外部委託の柔軟化は議論されていますが、完全外部委託までは認められない方向性であると認識しています)、記事全体の文章や挿入図表から推察すると、正確には「投信委託会社」がこれまで一体的に担っていた「投資運用(アセットマネジメント)」業務と「投信設定・運用(ファンドマネジメント)」業務を分離し、・・・(続きを読む)

2023年11月11日
【言うはやすしの運用立国 投資信託の二重計算解消に3つの壁 - 日本経済新聞】
大原のコメント→
 既に基準価額の一者計算を標準装備している実体験からコメントさせて頂くと、1点目の公販ネットワークの利用を投信委託会社(資産運用会社)側で利用する負担は確かに今後の展開において課題にはなるものの、必ずしも一者計算特有の課題ではありません。二重計算をしている従来投信委託会社も公販ネットワークを利用せざるを得ないことや負担が重いこと等は共通しており、これはこれで独立して業界全体として解決に取り組むべき課題と考えます。
 一方、2点目と3点目は確かに一者計算に特有の課題ですが、これは業界全体で取り組まなければ何にもしようがないというものではなく、・・・(続きを読む)

2023年11月12日
【「ぎょうざの満洲」小規模なのに根強い人気のワケ】
大原のコメント→
 「ぎょうざの満州」は私の自宅の最寄り駅の駅前にもありますが、週に1回は家族で訪れるくらいにヘビーユーザーです。
 記事にもある通り、「旬の素材を生かしたヘルシーなメニュー、毎日食べられる飽きのこない味」が満州の最大の魅力のひとつであり、家族が帰省していてひとり暮らしが続く時とかは、何日も連続で満州に通っても飽きが来ません(私も他の人と同様にチャーハンは玄米で注文します)。
 飲食業界で働いたことはないのですが、いつか金融・資産運用業界以外で働く機会があるのであれば、「ぎょうざの満州」のような会社で働きたいなあといつも考えています。

2023年11月14日
【日本株の運用会社「空洞化」 非効率な慣習、参入阻む - 日本経済新聞】
大原のコメント→
 日本の資産運用業界の大きな非効率のひとつは、アセットマネジメント業務とファンドマネジメント業務の区別が曖昧で、これらの分業がなされていないことだと長らく強い問題意識を持っています。
 日経新聞等でも足もと頻繁に目にする「基準価額の二重計算」問題は確かに投信ビジネスにおいて投資信託委託会社の業務・コスト負担につながる非効率な慣行であることはその通りなのですが、それ以前にまずアセットマネジメント業務とファンドマネジメント業務を分離し、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2023年11月18日
【生保協、代理店の評価運営見直し 「顧客本位」新設を検討】
長澤のコメント→
 生命保険協会が行っている生命保険乗合代理店の「業務品質評価運営」については、恥ずかしながら初めて知りました。昨年から始まったようですが、協会のHPには約200項目の「業務品質評価基準」をクリアした認定代理店として42社が掲載されていました。一方、金融庁が公表している「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針を公表した乗合代理店は572社となっております。掲載基準が違いますので一概に比較はできませんが、・・・(続きを読む)

インフォメーション

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