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「JAMPの視線」No.189(2023年8月13日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2023年8月13日

 体調を崩していた家族の様子が少し落ち着いたので、3連休の中日にあたる昨日土曜日に家族で映画を観に行きました。小学校3年生の長男が最近読んだ名著「君たちはどう生きるか」と同タイトルのジブリ映画が公開されていたので、それを観に行ったのですが、8歳と3歳の子供達には少し難しかったようで、「クレヨンしんちゃんの映画の方が良かった!」といまいちな反応になってしまいました、残念・・・。まあ、家族でお出かけできたので良しとしましょう。
 さて、先週の日経新聞等でも取り上げられていましたが、地域銀行がスタートアップ企業向けベンチャーデット事業に取り組む動きが広がっているようです。以前から独立系のベンチャーデット会社等が日本でも登場してきていましたが、個人的にはこの領域は地域銀行の今後の事業展開として有望であると以前から考えていたこともあり、前向きに評価をしています。
 弊社もそうですが、スタートアップ企業にとっては、資金調達手段が純粋なエクイティ発行によるものだけではなく、新株予約権付き等の借入れ等にも増えることは、必要な資金を適時に調達することができる可能性が高まるのみならず、議決権の希薄化等を抑えることが可能である等、望ましい流れといえます。スタートアップ育成5カ年計画において政策的にスタートアップ企業の数の増加が目指されるなか、ファイナンス手段の充実はその目標実現に有効に働くであろうと期待されます。また、地域銀行にとっても、各地域における事業会社からの資金需要が低迷し、貸し出し候補先の減少や競争による金利水準の低下等に苦しむ事業環境に直面するなか、新たな事業領域としスタートアップ企業向けベンチャーデットというのはこれまでの延長線上の隣接領域として親和性は高いように思われます。上述のスタートアップ育成5カ年計画の後押し等で貸し出し候補先となるスタートアップ企業の数が増えていくであろうことも事業成長の期待感を高める要因となりそうです。
 一方、地域銀行がこれまで相対してきた事業会社への融資とスタートアップ企業向けベンチャーデットは、同じデットとはいえ、その審査等の事業運営手法は似て非なるものであり、これまでの地域銀行の知見やノウハウ等がそのまま活用することはできないことは注意が必要でしょう。安定したキャッシュフローや返済原資の確認等を前提とする従来型融資とは異なり、スタートアップ企業の事業モデルは、キャッシュフローが安定していないだけではなく、スピード感ある事業成長や将来の大きな果実獲得を目指した積極的なリスク取得等を特徴としています。従来型融資の審査等を前提としていては対応が困難であり、スタートアップ企業の事業性や成長性等を見極める新たな知見の蓄積が不可欠です。また、ベンチャーデットの提供においては、新株予約権を組み合わせる等の手法が一般的であり、そのような株式・新株予約権周りの技術的知見も求められ、この辺りも従来型融資の延長線上では対応が困難なところでしょう。
 スタートアップ企業を対象とするVC会社の数や事業規模が過去数年で大きく増加・増大するなか、地域銀行もVCファンドの資金の出し手としての存在感を大きくしてきていますが、今後はベンチャーデットの提供主体としての取組みを増やしていくなか、VC会社の知見やノウハウを取り込むために、単なる資金の出し手としてのみならず、より積極的にVC会社と連携する動きも増えていくことを予想しています。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2023年8月9日
【社債をデジタル化、1万円から投資可能に 従来の100分の1】
大原のコメント→
 債券商品は個人のお客様のニーズも強いと思われ、ブロックチェーン技術等を用いて発行・管理コストを低減し、利用しやすいように小口化するというのはまさにFinTechサービスの王道ですね。広がる気がします。

2023年8月10日
【地銀、赤字の新興にも融資 リスク踏まえ成長後押し】
大原のコメント→
 事業会社の資金需要が全体として落ち込むなか、岸田政権が推し進めるスタートアップ企業振興政策もあり、地域銀行によるスタートアップ企業向け融資事業は今後も広がっていくことを予想します。
 一方、その融資判断には通常の与信審査とは違ったエクイティ投資的視点での審査が求められ、地域銀行内の知見やノウハウ等のみで対応が難しいとも考えられ、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2023年8月7日
【(地域金融のいま)「誰でも企業年金」全国展開 筑邦銀、導入企業500社に】
長澤のコメント→
 企業型DCの導入企業数は、少々古い数字ですが2022年3月末時点で約4万2700社、加入者は782万人で、ここ10年でそれぞれ2倍超に増えたとのことです。以前、中小企業にこの企業型DCの導入支援を行っている方にお聞きしたのですが、日本の厚生年金適用事業所は約250 万社あるので、65 社のうち1社程度しか導入していない計算になり、結局、導入が大企業中心に留まっており、裾野を拡げることが課題とおっしゃっていました。拠出時、運用時、給付時にそれぞれ税制優遇があり、記事にあるように社長1人の会社でも導入できるそうなので、・・・(続きを読む)

2023年8月8日
【新NISA、回転売買の勧誘は処分対象 金融庁が監視強化】
長澤のコメント→
 投信の回転売買については、2年以上前に監督指針の改正が行われ、「金融商品取引業者の利益を追求する結果として、顧客との一連の取引の経過をみたときに、顧客属性や投資目的に適合しない高頻度の金融商品の売買を勧誘し、顧客に過度の手数料を負担させる行為」は不適当または不誠実な投資勧誘行為とされ、行政処分の対象となり得る建付けとなっています。今回の改正により監督指針がどう変わるかわかりませんが、国の提供する非課税メリットを悪用した勧誘については、・・・(続きを読む)

2023年8月9日
【地銀系証券が「仕組み債」の販売停止で陥った苦境】
長澤のコメント→
 大変興味深い記事だと思いました。自身で接点があったのは、明治中頃生まれの祖父母の代までですが、商売をやっていたこともあり、経済や金銭に関する感覚がしっかりしていたように子供ながら思った記憶があります。もちろん今ほど複雑な金融商品もない時代ですが、金利や家計の管理についての基礎的な知識は身についていたのではないでしょうか。
 以前金融機関の営業員の話として、「お金のリテラシーは大切だけど、リテラシーが高くなればなるほど、うちの商品が売れなくなって困る」というのを聞いたことがあります。こうした発言を口にする営業員は少ないかもしれませんが、・・・(続きを読む)

メディア掲載情報

■連載寄稿開始のお知らせ:直井部長によるニッキンへの連載寄稿開始
 8月14日から弊社金融機関コンサルティング部の直井部長による「再考・預かり資産ビジネス」の連載寄稿がスタートします。

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