歌の生み出す波紋
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北メキシコの砂漠に浮かぶ小さな村に滞在している時のこと。
砂漠なのでもちろん波の音など聞こえないけれど、住処の前にある大きな木が風でシャラシャラ揺れているのを目を閉じて聴いていた。
そこに確かに潮騒を聞いた。
言いようもない大きな安心感に包まれた。
どんなに遠くに来てもあなたの上だねと感じた。
いつでも見守っていてくれている大きな存在を感じた。
そしてその時の溢れた気持ちをそのまま子守唄という歌にした。
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月日が経ち、友人がこの歌に舞をつけてくれた。
ある日、友人が偶然撮ってくれた映像がFBにあがった途端ものすごい拡がりを生んだ。
CDをアメリカやドイツに送ることになったり、カナダの人とはメープルシロップと交換した。(しっかりおっきな缶入りメープルを送ってくれた)
毎日えらい数のメッセージが知らない人から届いた。
フランスのダンススクールでは授業の教材に使われたらしい。
自分の深いところで生まれた形のないものが心から心へ伝わって拡がってゆく様子は、なんだか生きてゆくことをとても肯定された気分だったし、人間がとても愛しく思えた。
歌や舞は 国を超え 海を渡り 時を超え 人種 宗教 イデオロギー
人がつくった幾多の垣根を軽々超えてゆく。
そういう力をなんと呼べばいいのだろう。
愛 なんだろうか。
わからないけど 美しいうねりをいまだに僕に味わせてくれている歌。
あらためて この歌に舞をつけてくれた友人と
この歌を愛してくれている人に感謝を送りたい。
ありがとう。
=子守唄=
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