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いまいる場所だけが世界ではない。

心ある方が航空券をくださり、二泊三日の弾丸フィジー旅行に行ってきました。フィジーの人口はおよそ90万人、大きさは日本の四国くらいの国です。5月にワクチン接種証明の提示義務が撤廃され、ワクチンを一度も打っていなかった私は狂気乱舞して「一ヶ月に一回は海外に行きたい!」と吠えました。その吠え声を聞いた方が「広い世界を見てこい」と、航空券をプレゼントしてくれたのです。航空券のみだったので「夜は野宿なのかな」と思っていたのですが、これまた心ある方がホテル代金をくださいまして、人間が眠る場所で眠ることができました。コロナ以降海外はご無沙汰していたので、出発前は緊張しました。荷物は軽い方がいいと思い、スマホと財布とパスポートと充電器と海外用のコンセントと着替えだけを詰めたら、不安になるくらいに軽くて「これで大丈夫なのかな」と怯えましたが、結果的に大丈夫でした。

飛行機の中で印象的な出来事が起こりました。私は四人座席の一番左に座り、間二席が空席、一番右に日本人男性が座りました。フィジーまでのフライトは9時間かかるので、できることなら横になりたい。離陸後、私はガラガラの空席にささっと移動して、横になるスペースを確保しました。これを、私はファーストクラスならぬファストクラスと呼んでいます。横になれる喜びは大きく、私はすやすやと眠りました。途中、トイレに立った時に「私の隣に座っていた男性はどうしてるかな?」と思いました。私がいなくなったから、その男性も横になることができます。しかし、私が戻ってくるかもしれないと思うと、横になりづらい状況でもあります。横になってもいいですよと言っておけばよかったなあと思いながら様子を見に行ったら、そこには、驚くべき光景が広がっていました。

なんと、若い日本人男性は自分の席でおとなしく眠り続け、残り三席をフィジー人の男性が遠慮なく占領し、ものすごいニコニコしながら眠っていたのです。これを見た時は笑いました。日本人的な思考だと「怒られると面倒だから自分のスペースを守ろう」となる気がするのですが、フィジー人的な思考だと「怒られたらどけばいい」くらいの軽やかさで、あらゆるスペースを自分のものとする心の広さを感じました。ニコニコしながら寝てたのが、なんとも言えずナイスでした。真面目な顔をして怒られないように生きるより、ニコニコしながら怒られようと思いました。ナンディ空港に到着すると、眼前には青い空が広がっていました。それだけで感激した私は「俺の旅は終わった」と満ち足りてしまい、残り時間全部がボーナスタイムになりました。自由になるお金はホテル代を含めて一万五千円でした。私は、特にやることもないので空港からホテルまで三時間歩くことにしました。歩くことでフィジズムを体内にインストールしようと思ったのです。そして、滞在中の食事は全部果物で済ませることに決めました。

車では見逃す風景に出会えるのが徒歩の良さだと思います。靴のない私は下駄を履いて行ったため、トータル百五十回は道端で声をかけられました。炎天下の下駄ウォークはそれなりに過酷でしたが、歩いて行けない場所はないというガッツを得ました。フィジーは世界幸福度ランキングで一位になったことがあるのですが、過去にイギリスの植民地になって奴隷になるはずのフィジー人たちが、あまりにも働かないものだから仕方なくイギリス人はインド人を連れて来ました。そのため、フィジー国民の四割はインド人となっております。適当さを学ぼうと思って来たのですが、ホテルが早速適当でした。レビューを見ると「お湯が出ない」とか「フロントに人がいない」とか「プールの水が腐ってる」とか、散々なことが書かれていました。これがまたその通りで、私は愉快になりました。適当な国に自国のルールを持ち込んで「けしからん」と眉間に皺を寄せるのは、何かが違うと思いました。正しさと心の狭さは紙一重。適当を許せる方が、心が広い世界だと思いました。

世界幸福度ランキングなんてあてにならないもので、最も幸せな国と言われる北欧諸国は、最も抗うつ剤が処方されている国でもあります。経済的に破綻しているアテネには意外と元気な人々が多く、実際に自分の目で見てみないとわからないことばかりだなあと思いました。フィジーはとても良かったです。笑顔がよかった。行かなきゃよかったなんて思う国は一つもないから、私はやっぱり人間が好きなんだなあと思いました。日本人として行けば異国人に出会いますが、人間として行けば人間に出会います。お金は全然なかったけど、たくさん食べ物をもらったり、車にただで乗せてもらったりして、五千円くらい余りました。余ったお金でお土産を買ったので、熱海でお会いできる方はお会いしましょう。フィジーのお土産をプレゼントします。海外から戻ってくると「言葉が通じるだけで日本は最高」と、割と心底思えます。海外に行きたいと思う理由はたくさんあるけれど、大きな理由は二つあると思います。一つは、いまいる場所だけが世界ではないということを、自分に思い出させてやるため。もう一つは、日本を好きになるため。フィジー人の平均月給は3万円と言われています。しかし、あちらこちらにフルーツが実るから飢える心配がない彼らは、明日を思い煩うことが少ないように見受けられました。初対面にも関わらず「素敵な靴だね」と声をかけて握手までしてくる彼らの笑顔は、とても大きなものでした。人類皆兄弟を、自然に体現しているように思いました。私を含め、なぜ、日本人はよそよそしいのだろう。お互いの間にある壁を取り払って、今よりも少しだけ歩み寄って優しさを示し合えたなら、ずっと素晴らしい場所になるような気がしました。

おおまかな予定

5月27日(土)静岡県熱海市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)

連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com

SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z

バッチ来い人類!うおおおおお〜!