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一人じゃやらないことをやろう。

東京在住の女性N様から「坂爪さん、これからお時間ありませんか?池袋まで移動できませんか??還暦を過ぎた私の、夢(のひとつ)を叶えるお手伝いをしていただきたいのですが。それは、せんべろ酒場のはしご酒です!そういうお店、小心者のおばさん一人ではどうにも入りにくくて…飲食代と交通費はお支払いします」とご連絡をいただいた。そんなもの、行くに決まっているじゃありませんかということで池袋を目指した。無論、N様とは初対面である。ハニートラップかもしれないと思ったが、ハニートラップ上等である。男たるもの、己をはちみつ漬けにすることで永遠の命を得るのである。

当然ハニートラップなんてことはなく、我々は一軒目を探した。N様は「理想を言えば三軒ぐらい巡りたい」と言った。よっしゃ。巡りましょう。一軒目は、大通り沿いにある鳥貴族みたいなチェーン店に入った。私は「こんなところでいいのですか?」と聞いた。せっかくなら、もっと場末のディープな場所に行ったほうが面白いかと思ったが、そもそもで酒場に不慣れなN様にとっては準備体操の時間が必要だった。鳥貴族的な場所でしっかりと若者たちの喧騒に疲れた私たちは「次に行きましょう」と、二軒目を目指した。二軒目は坂爪さんが決めてくれと言われたので、個人経営のボロくて汚くて美味い飯を出しそうな場所を選んだ。そこが正解だった。ピーマンの煮浸しを頼んだら、N様のテンションがあがった。ナスの煮浸しはよく聞くけど、ピーマンなんてはじめてです。今度作ってみようかな。そんなことを、N様はなぜか異様に笑いながら言う。なんでそんなに笑うのですかと尋ねたら「なんだかすごい楽しいからです」と言った。楽しいなら、何よりである。

最後の三軒目は、一人じゃ絶対行かないゾーンに行こうということでソープ街を目指した。薄汚れた沖縄料理屋に入ったら、目の前にどーんとハブ酒が置かれていた。我々のテーマは「一人じゃやらないことをやろう」である。無難なことをやっても意味がない。冒険にならない。能動的にぼったくられるくらいのマインドが大事だ。私がハブ酒を頼んだら、N様も「私も頼もうかな」と言った。結構酒を飲んだ後だったので「俺は責任持てませんよ」と言った。その言葉がN様のツボにはまったみたいで、しばらくN様は笑い続けた。そして、ハブ酒を注文した。一人だったら絶対こんな店は入れない、ハブ酒を飲むことも絶対にない、だからこそ今日はハブ酒を飲むのです。そのようなことを高らかに宣言するN様を見て「いいな」と思った。最初はガチガチに緊張していたN様だったが、徐々にリラックスして身の上を語ってくれた。そして、驚きの話を聞かせてくれたのである。

十年以上前、私は料理教室を主宰していた。童心を爆発させることを目的として、専門家が見たら舐め切った内容の企画を連発していたのだが、なんと、N様はその頃から私を知っていたと言う。しかし、シングルマザーであるN様にはその頃お金が全然なく、参加費の二千円が出せないばかりか、開催地である渋谷までの交通費さえなかった。リアルで会うのは今回が初めてだが、過去に一度だけ私にメールをしたことがあるらしい。私の記憶からは完全に消えていたが、お金も食べるものも無くなって娘と家で二人きり、いよいよ私たちは死ぬのかしらと思った時に「あ」と思って、私に連絡をくれた。坂爪さん、お腹が減って眠ることさえできないのですがどうすればいいと思いますか。そんなメールを送ったら、私から「炭酸水を飲め」と言われたらしい。パンがなければゲロルシュタイナーを飲めばいいじゃない。そんなことをほざく坂爪圭吾に触発され、たまたま家にあった炭酸水を飲んだら本当に空腹感が消えてびっくりした。あの節はありがとうございましたと言われたので、私は私に関心した。よく、追い込まれた人にそんなことを言えるなと関心した。私も私で金がなかった(家もなかった)。金も家もない人間からそんなことを言われたら、元気になるしかなかったのだろう。素晴らしい。

N様は言った。実は、人が怖くて最近クリニックに通っている。だから、一人だったら絶対こんな場所には来れなかったのだけど、坂爪さんとなら大丈夫かなと思って連絡をしたのだと。私は「坂爪圭吾は自立した犬みたいなものなので、その判断は正解です」と言った。ちょうど馳星周の『少年と犬』を読み終えたばかりだったので、N様に本をプレゼントした。この本に出てくるシェパードの雑種は俺です。俺はこの本をドトールで読みながら泣きました。とても美しい涙だったと思います。動物はいいぞ。言葉ではなく、眼差しや態度や体温からメッセージを伝えてくる。何もしないで、何も言わないで、ただ、一緒にいてくれる。ただ、そこにいてくれる。逞しい筋肉に覆われた体が、その体温と共に恐れる必要はないのだと伝えてくる。俺からのメッセージは明確だ。お前はお前の人生のボスなんだからボスらしく振る舞え。そして、我々は長めの握手をして別れた。令和の野犬(私)は、再び夜の闇に消えたのであった。

坂爪さん

今日はわざわざ池袋くんだりまでお越しいただき、私のお願いを聞いてくださって 本当に本当に ありがとうございました!
ほんわかとあたたかい気持ちでガーベラをながめつつ、今日の命があることと坂爪さんに感謝しながら…




家で呑み直してます!!笑笑笑

これでもう怖いもの無いです! 明日から どこのお店にも一人で入れます! しますよ?冒険!やったね!

いろいろいただいて ありがとうございました!季刊誌 (← 字  合ってます?) も本も、ゆっくり読ませていただきますね〜
お米は近々お送りします。なんか無理矢理引き取らせてしまう形になって申し訳ないですが、有効にご活用していただけたら幸いです。

機会がありましたら  また是非!
今日は本当にありがとうございました!
2杯目 おかわりしまーす!(ただの飲んだくれババアww)

追伸
ハブ酒を頼んだ時の、
責任持てませんよっ!  がツボでしたw
あー面白い!!!

おおまかな予定

8月10日(木)東京都渋谷区界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)

8月27日(日)日曜礼拝&わたり食堂【0円食堂】
https://note.com/keigosakatsume/n/n87cc274ca81e

連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com

SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z

バッチ来い人類!うおおおおお〜!