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いつだって日々は大変だし、マクドナルドは美味しい

 ”わたしと、一年目の劇団ノーミーツ”というテーマでnoteを書くことになった。
 正直なところ日記のような、そういう自分の脳みそにある考えを書き記すという事をしたことがない。あの半角280文字以内のテキストをつぶやく鳥さんマークのSNSでさえ2020年になってようやく始める有様だ。
 だから自分に文章を書く力が備わっているのか、才能があるのか、はたまた絶望的にセンスがないのか未知数だ。
 そんなことを思いつつ、劇団ノーミーツ&個人的な話を綴っていこうと思う。

※このnoteは劇団ノーミーツ1周年記念企画「劇団員24人全員がnote書く」のひとつです。劇団ノーミーツ俳優の上谷圭吾が書いています。その他の劇団員のnoteはこちら。

劇団ノーミーツとの出会い

 2020年4月上旬の夜。都内1Kの賃貸で一人暮らしをしている私は、たしかテリヤキマックバーガーとMサイズのポテトをお供にハイボールを飲んでいた。トイレに行く際に、Dr.スランプアラレちゃん走りで便座へ特攻するくらいの酔いだったと思う。キーーーーン!である。

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 そんな時に、オツハタという髭があったりなかったりする大学からの同期から「いま暇?」というLINEと共に、なにやら怪しい長めのURLが送られてきた。
 えっ?なに?スパム?と思ったけれど躊躇なくクリック。ハイボール片手にアルコールで最強になっている私はさながらジョン・マカフィー。PCウイルスの一つや二つ蹴散らしてくれようぞと意気込んだが、どうやらZOOM部屋だった。
 そこには劇団ノーミーツ主宰の3人がいて(その時はまだノーミーツという名はなかったと思うけど)、オンラインで芝居をつくろう!と言う。
 よしやってみようということでつくりはじめ、あれよあれよという間に短編作品を撮影したり、長編公演を行ったりした。

芝居にたくさん触れた1年だった

 短編作品を何十本もやったし、公演にも3本出演できた。そしてたくさんの方々と一緒に芝居をすることができた。魅力的な俳優さん達、一線で活躍しているアイドルやお笑い芸人、youtuberの方々。これまでの僕の人生では出会えなかったような憧れにも近い人たちと芝居ができたことが心の底から嬉しい。本当にありがとうございます。
 そしてもちろん、劇団ノーミーツの皆さんと出会えて本当に良かった。本当に。

芝居を通して自分を探ってみる

いくつかこの1年で思ったことを書いてみようと思う。

■セリフよ、ありがとう
 先ほど感謝の言葉を書き起こしたけれど、たぶん面と向かってこの思いを、口から発する音声としてみんなに伝えることはなかなか難しい。
 自分は昔からおそらくそうだろうという自覚はあるが、好きな人に好きと言えたためしがない。誰かに何かを伝えるということの難しさには本当に頭を抱える。
 子供の頃、バレンタインデーで男子にチョコを渡す女子を尊敬していたし、愛の告白をした人を本当に崇拝している。
 自分にそれができる日がくるのだろうか。
 でもまぁだから芝居をしているのかもしれないとも思った。脚本がセリフなり行動なりを用意して頂ける。こんなにありがたいことはない。正々堂々思いを伝えることができる。脚本家さんありがとう。

■映画よ、ありがとう
 芝居をしている最中はとても楽しいのだけれど、終えた途端に自己嫌悪することがとても多い。自分の芝居のつまらなさにズーンと落ち込む。あの人はあんなに素敵な面白い芝居ができるのにそれに比べて自分は…としょげる。
 隣の芝生は青く見えるというけれど、青く見えるなんてもんじゃない。隣の芝生にはコスモスが咲き乱れているし、エーデルワイスが生い茂っているし、桜の花びらがきらびやかに舞っているように見える。
 自分の持つ良いところをもっと尊重していきたいと思うが、どうにもダメな所を見つけ出し、他人の良い所と戦わせてしまう。脳内負け戦のオンパレードだ。
 そうして感情がマイナスに向かってしまった時は、よく映画を見る。なぜだか良い映画をみると心が元気になる。そういう心の栄養を心臓にぶちこみながらなんとか生活できている。映画、ありがとう。

■マクドナルドよ、ありがとう
 注射が苦手だ。
 正確には注射をした後の、腕の針の刺し跡が苦手だ。何を言っているのか分からない気もするが続けてさせてもらう。
 採血を行った後は、注射針を刺したところに絆創膏を貼ってもらえると思う。ちょうど先日、健康診断で採血をしてもらったのだけれど、その絆創膏を貼ったまま3日が経った。不衛生に違いないのだけれど、どうにもこのホットケーキにちょこんと乗ったバターのような2センチ角の絆創膏をはがす勇気がでない。もし針の刺し傷が完全に閉じる前に剥がしてしまったら、そこから血液がピューっと飛び出し、体中の血という血が垂れ流れてしまう気がするから。
 こんな感じで(こんな感じなのかは微妙だけれども)、自分は臆病だし心配性だなと思う。本当に厄介だ。芝居をするにしても、稽古の直前や舞台本番の前日は本当に気が億劫になることも多い。
 過去を振り返ったり、未来の心配をするな、今を頑張れ。といわれるが、どうにも自分は昨日の失敗を引きずってくよくよしてしまうし、明日の仕事に対して不安になってしまう。もちろん明日のための最善の準備はするのだけれど、それでも不安なものは不安だ。
 そんな時はおいしいものを食べる。夜にマクドナルドへ赴き、テリヤキマックとポテトとコーラゼロを机に広げる。このジャンキーな具合が良い。
 そうして明日の朝を迎える。机の上に散らかったままの、独特の香りを漂わせるマックの紙袋を片付けながら、頑張れるか分からないけれど頑張ろうと気合を入れる。
 こうやってなんとか必死に生きているんだと思う。

おわりに

 ”わたしと、一年目の劇団ノーミーツ”というテーマのはずが、なんだか個人的なエッセイのようになってしまった気がしなくもない。でもまぁ劇団ノーミーツでの怒涛の一年を通して考え出たことでもあるから良しとしておこう。
 冒頭にも書いたのだけれど、こういう文章を綴ったことがほとんどない。書き終えて見返してみると、まぁ絶望的に酷くはないとおもうけれど特別才能があるとも思えない。どうせならどっちかであってほしかった。
 どっちつかずの自分にテンションが下がっている。すぐ落ち込む。けれど、マックに駆け込み映画を見ながらバーガーとポテトを食べなければいけないほどのダメージは負っていないようで、少し、安心した。

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