見出し画像

飛び込みのお客さん(地元ネタ)

朝ご飯を食べてたらドンドンッとドアをノックされて、驚いてドアを開けたら見たことある顔のおばちゃんが「電話が使えなくなって」と言った。
朝から急に電話が使えなくなったとのことで、携帯はスマホではなくガラケー(開く式の番号ボタンのある携帯電話)であった。
「ここに持ってきたら、なんとかしてくれるって聞いた」らしくて、「友達に車を待たせてるから、すぐ直るだろうか」とのことだった。

おそらく電話をかけるためのカード(SIMカード)がうまく接触していないのだろう。だから、一回カードを引っこ抜いて、接触不良が復活するCRC(KURE556)でも塗って、差し直したららいいのではないかと思った。
後ろのカバーを外して、バッテリーを外そうとすると「息子が前にここを外して、直してくれた」と言った。カードの向きを確認して、引っこ抜いた。CRCを吹きかけた綿棒で、カードの接触面の金属を掃除した。それでまた、最初の向きで差し込んだのだが、蓋を閉めて電源を入れてもカードのとこに×(バッテン)が出て、電話をかけられない状態。

アララと思い、電源を切ってまた蓋を開ける。「お友達を待たせてるのもなんだから、家はどこですか?あとで持っていきますけど」と言うと。おばちゃんはドアの外に出て、山の方を指差して言った「あの赤い花のある家が家だから」。
確かに小さくだが、家の横に赤い花のある家が見える。「直ったら、持っていきますので、そんなに時間はかからないです」と伝えた。
「いくら払いますか?」と言うので、「すぐだからお金はいらない」と言ったが、「そうはいかない」ということで500円だけいただいた。

最初に差してたカードの向きが逆であった。それでよく使えてたものだが、そのせいで中の支えが少し曲がっていた。それで正しい向きで差しても、カードをうまく固定できていなかった。
小さいドライバーみたいなもので、カードの当たってるとこを直した。それでやっと差したカードを、しっかり固定することができた。
蓋をしてバッテリーも入れて、電源を入れると無事にカードを認識した。ちゃんと電話もかかるようになった。

家の外に「スマホやパソコンの困りごと解決します」とか書いたものを出したのは6ヶ月くらい前だったろうか。
少し恥ずかしかったが、こういうのを掲げていたらどうなるか、半分実験のような気持ちでやってみた。そしたらいつのまにか知られてきていたようで、最近では電話で問い合わせ受けたり、今回のような飛び込みが出てくるようになった。

お客さんが言うには「今までは車で30分以上かけて、街まで出ないとどうにもならないし、出張を頼むと、それだけで一万くらいかかった」そうである。なので、近くに相談できるところがあると助かるらしい。

繋がるようなった携帯をバイクで山の上の方の家に届けに行った。おばちゃんは喜んでくれて、「カレー作ったから」とタッパに入れたカレーと果物のプラムをくれた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?