『地元民』と『移住者』(地元ネタ)

移住して来てある地域に住み始めると、当たり前のことではありますが『地元民』の人たちからは『移住者』というカテゴリーに入れられてしまいます。

私なんかは、小さいころから父の仕事(営林署)の都合で情け容赦なく転々として。18歳くらいで親元を出てからも北海道に住んだり、沖縄に住んだりと転々としています。なので、生まれた場所でずっと住み続けるという人とは、なにか生きる心構えなんかが全然違ってるのではないかと思うのです。
人間関係を軽く見ている気はないのですが、小学校や中学校で築いた人間関係は引っ越しの度にぶった斬られたので、「このお友達ともいつかはお別れなのね」「この場所ともいつかお別れなのね」と言う思いが根っこにあります。気持ちを割り切ってるわけではなく、残念ながらどうにもならないという思いなのです。

ある地域に移住するというのは住むってだけの話ではなくて、地域に入るってことでもあるようです。人の多いところなんかでは、まわりに住んでいる人に関わらないような生き方が必要だったりしますが、私の住みはじめたのはどの建物に誰が住んでいるかを把握されるくらいの地域なのです。なのでクールに「自分はまわりの人にどう思われたって関係ないですから」という姿勢で生きていくのは難しいようです(やってもいいが、出ていくことになることが多いみたい)。

そこでまず、すんなり理解し合えないのが『地元民』と『移住者』だったりします。
私という『移住者』はできるだけ地域に入ろうと努力はしますが、(しばらく仕事などで別の地で生活したりはしていても)基本的にこの地域で生きてきた『地元民』の人たちにとって『移住者』ってのは「わけのわからない人たち」なのではないかと思うのです。極端に言ってしまえば不審者と言ってもいいのかもしれない。
「いい加減な人生を生きてきたから住むところを転々としているんだろう」「どうせすぐにまた別のところに行くんだろう」「なにを考えてるかわからないから信用できない」「家の中でコソコソとなにやってんだ(普通に住んでるだけです)」と酒を呑んでる場ではありましたが、住みはじめの頃はさんざんな言われようでした。
かといって「あなたたちに『移住者』の気持ちがわかってたまるか」などと言って泣くわけにもいかないので、じっと本音を聞くのみです。転校初日の休み時間にずらりと周りを囲まれて、容赦ない質問攻めを受ける感じを思い出しました。『移住者』はつらいのです。

私はこの地に住み始めてしばらくしてから、家からすぐ近くのスーパーマーケットのレジで働きはじめました。毎日のように買い物にくるおじちゃんおばちゃんとだんだん会話するようになって、なんでもない世間話なんかで笑うようになってくると、やっと私に対する警戒心みたいなのが溶けてきたような気がしました。

「限界集落」の発祥の地が私の住む大豊町です。
知り合いが増えていって、その知り合いがどんどん亡くなっていきます。
『地元民』だ『移住者』だなんて言ってる場合じゃないのです。私はこの場所が好きですし、縁があってみなさんこの場所に住んでるわけですから、仲良くしたいし、困ったことがあったら助け合っていきたいのです。

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