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レーザーディスクは何モノだ!

いつからか、「家電製品は修理するくらいなら、買い替えた方が安い」が常識になってしまったせいか、私の家では壊れた家電製品を修理するのを見た覚えがない。

実家の屋根裏に上がると、父親のレコードプレーヤーもついたステレオのセットが3セットくらいあって、たぶんカセットかレコードプレーヤーかチューナーの、どこか1箇所でも壊れた結果、新しくセットで買い替えているようである。
私があげたレーザーディスクプレーヤーも紙袋に入って屋根裏にあるし、プレゼントしたDVDプレーヤーも動かなくなったまま、テレビの下に埃をかぶって放置してある。
壊れてしまうともちろん修理はしないが、新しいのも買うでもなく、ただ使わなくなる。だから買ったレーザーディスクとかDVDソフトなんかは、もう再生されなくなって、屋根裏行きだ。

私の家ではなにか一つでもしくじると、もうなにもかもがお終いなのである。こっちでしくじったから、その分をこっちで挽回するって考えがないのである。まあ家って言うよりか、父親がそういう考えっていうだけのことであるが。

なので屋根裏にある家電製品は、なにかつまずいた結果、お払い箱となってしまったのであるが、決して「もう家電としての人生がお終い」ってわけではないんじゃないか。
そう思ってレーザーディスクプレーヤーを、(父はショートステイだったので)母に了解を取って、私のところに持って帰ってきた。「どうせもう使わないから、できたら処分してくれ」ってなものだ。

レーザーディスクプレーヤーの外側を外して中を見てみた。なんか黒い輪っかが溶けてベトベトになっている。これはどうやらゴムベルトみたいなのが歯車の動力を伝えていたようだ。これがディスクを回すとこで、もう1箇所はディスクの出し入れのとこで、これも黒く輪っかにベトベトになっている。
「もしかして、これ交換したら動くんじゃねえ」とか思い、輪っかの長さを洋裁で寸法図るメジャーで測ってみた、だいたい14センチだけれど、ゴムベルトは広がるんで、これより小さい必要がある。

ネットで調べると、セットでいくつかのサイズのゴムベルトが30本くらい入って500円ほどだった。
もう少なくとも20年以上(1987年発売でした)経つので、他の部分も錆びて動かないとかあるんじゃないかと思っていた。なので適当に小さいサイズのゴムベルトをはめて、クルクルと動き出したので、驚いた。ディスクを回す部分は、再び動き始めた。トレーを動かすところは、なかなかうまくゴムベルトが入らなかったが、なんとか引っ掛かり、トレーを前後に動かし始めた。しかし、最後に「ギギギギギーッ」と鳴ってしまう。

どうやら、すぐ横の細い丸い部分もゴムが溶けていて、ここはトレーを出し切る最後に使うようで、そこがうまく回って最後まで押し出せないようであった。そこだけ手で引っ張ってやったら、なんとかトレーは最後まで出すことができた。
「もしかして、これで再生するするんじゃねえ」とレーザーディスクを載せて、押し込んでみた。するとうまいことトレーは押し込まれて、なにやらディスクもクルクルと回りはじめたっぽい。
そこで、ちゃんとセッテイングしてみた。映像コードも差し込んで、もしも万が一映像が出てきても、モニターに映し出されるようにした。再度電源を入れて、ディスクを押し込んでみた。

「うおお、再生しとる!」と声が出た。キュルキュルキュル、カサカサカサと音がして、当時やっとのことで買った、大好きなイギリスバンドのプロモーションビデオ集が再生された。もう何年ぶりの再生であろうか。また生きてる間に再生する瞬間が訪れたのであった。

レーザーディスクはビデオと違って劣化しない。だから頑張ってこのプレーヤーを買って、キラキラと七色に反射するこのディスクも、結構高かったが買ったのであった。もう夢のレーザーディスクなのである。今のDVDとかは、簡単に映像も価格も追い越してしまったが、あの頃のレーザーディスクの存在はかなり凄いところに存在していたのであった。これからの時代はレーザーディスクで、私が生きてる間はレーザーディスクが頂点に居座り続けると思い込んでいた。

「まだ終わっちゃいねえよ」なのである。
まだまだこれからなのである。なんなら中古の新しいレーザーディスクを買ってきて再生もできるのである。しかも当時は高価でなかなか買えなかったが、今はかなり買いやすくなっているのである。

最近レコードプレーヤーをもらって、これもゴムベルトが溶けていたので、アマゾンで注文したのがもうすぐ届く。

一度はつまずいて屋根裏送りになった家電製品たちを、薄暗い屋根裏から、陽のあたるところに出していきたい。また新たな家電人生を、はじめれたらいいんじゃないかと思う。とまあ、なんだかトイストーリーみたいな想像が爆走してしまった。

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