ESG〜TCFDとは何か

昨今ESGに関するニュースを度々目にしている。その中には色々と勉強しないとわからないことも多く、ニュースを流し読みしただけでは、前提や背景がいまいち理解されない。そのため、ESGに関する前提や背景、定義など複数回にわたって共有したいと思う。

本日はTCFDとは何かについてである。TCFDとは2015年に民間主導の「気候関連財務情報開示タスクフォース」の略で、銀行や保険、年金基金、エネルギー、運輸、素材などに属する32名のメンバーから構成される機関である。

これは世界のESG投資が拡大するなかで、金融機関の投融資先の気候変動に関する情報開示が整備されていないため、金融機関が適切に投融資先の評価ができない。その結果、将来資産価値が急変した際に金融の安定性が損なわれる可能性があるということで、金融安定理事会がTCFDを設置して情報開示のフレームワークを検討させた。

金融安定理事会(FSB)は、金融の安定化を目的に構成された主要25の国・地域の中央銀行等の代表から成る組織

TCFDは、上記の通り2015年に設置され、2017/6月にいわゆるTCFD提言と呼ばれる企業の気候変動関連の情報開示フレームの提言書を示した。

TCFD提言への賛同する機関は設立当初102機関から2020/7月時点で1350機関
このような状況下で、日本も取組みが加速してており、日本の賛同機関数は290機関と世界全体の20%以上を占める。また、環境分野の情報開示やパフォーマンスにおいて先進的な企業を示すCDP Aリストに日本企業は38社と世界一位であり、情報開示の内容面においても充実が見られる。

TCFD提言は、上記の通り企業の気候関連の情報開示のフレームを提言する内容となっており、主に4つのテーマ(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)から成る。TCFDは企業が情報開示するにあたって、以下の簡単で情報開示をすべきと提言している。

1. ガバナンス:企業の気候関連取組みにおける取締役の監視体制のことを提言している。取締役がどのように報告を受けるのか、全体戦略の中で気候変動がどのように監督すべきか、進捗状況をどのようにモニターすればいいのか。また、取締役又は委員会なのか、どこが取組みの責任を負っているのかなど。以上のような観点を開示すべきと提言している

2. 戦略:気候変動において短期・中期・長期においてどのようなことが自社にとってリスクなのかを識別し、それがどのような影響があるのか、またそれに対する対応方針を開示すべきと提言している。

3. リスク管理:戦略のなかで識別したリスクが、そもそもどのように評価・優先順位付けされたのか、どのようにリスク管理していくのか、自社全体のリスク管理とどのように統合的に管理されているのか

4. 指標と目標:上記のリスクをどのような指標を用いて定量的に管理されているか。そしてその指標を用いて何を目標としているのか。またその目標に対する十隻管理をしているか。

以上がTCFDが企業の気候関連情報開示において提言している観点である。投資家が特に気にするのは、戦略とガバナンスだろう。つまり、その企業にとってどのようなリスクあるいは逆にビジネス機会があって、それが財務面で定量的にどういう影響があるのか、そしてそれらの対応方針を進めていくためのガバナンスは実行可能な体制にあるのかである。

日本では東洋経済が企業のESG取組み状況を評価しているが、正直言ってこれら投資家がかにする観点の分析が見えてこない。かなり膨大な調査をしているようだが、要するにリスクや機会が何で、それの対応方針と体制はこれで、ロードマップとしていつ頃にはこういった状況になり、結果こういった財務改善がされますといった調査結果を見える化する必要がある。ESGについては引き続き注視していきたい。

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