電気自動車は本当にエコなのか?

▪️9/7の日経新聞の記事で、EUが2035年までに車のCO2排出をゼロにするようにする規制案を示した。

・車の二酸化炭素排出の規制には二つあり、燃料規制とガソリン車販売規制である。もっとも厳しい規制を実施しているのは欧州。

・前者は、欧州では2021年に走行1キロあたりの排出量を95グラム以下にし、30年にさらに厳格化

・後者は、英国が30年、フランスは40年までに販売禁止するとのこと

・そしてガソリン車の販売を禁止し、電気自動車にシフトすることで二酸化炭素排出量を減らすことを見込んでいる

▪️そもそも電気自動車はガソリン車よりもエコなのか?

・結論から言うと、発電源が再生エネルギーの場合は二酸化炭素排出量は削減でき、火力発電発電など石炭に依存している場合は電気自動車のほうがむしろ二酸化炭素排出量は増える

・「Nature Sustainability」によると、エクセター大学(イギリス)、ナイメーヘン・ラドバウド大学(オランダ)、ケンブリッジ大学(イギリス)の研究者チームらが、世界59のうち53の地域で、電気自動車と家庭用ヒート・ポンプのCO2排出量が、化石燃料を動力源とする車両やボイラーの排出量よりも少ないことが確認されたとの研究を発表

・再生エネルギーが普及しているスウェーデンや、原子力発電を使用しているフランスでは従来のガソリン車よりも70%の二酸化炭素削減効果がある。一方で石炭に電力を依存しているポーランドではむしろ電気自動車のほうが二酸化炭素排出ガスは多くなる

・また京都大学の藤森や広島大学の張らの研究によると、日本においても石炭による発電に依存している現状では電気自動車のほうがガソリン車よりも二酸化炭素排出量は増える。ただし自動車をすべて電気自動車にして、発電システムを再生可能エネルギーに置き換えることで、CO2 排出量は 2 割程度削減できるとこのこと

▪️部門毎の二酸化炭素排出割合は?

・日本における二酸化炭素排出割合は、国土交通省によると、工事など産業部門が35%、ついで自動車などの運輸部門が19%だ。

・したがって、電気自動車を導入し、再生エネルギー由来の電力を使うことで、この19%が2割削減できる可能性がある

▪️何をすべきか
効果の大きいところから着手するのが先決。したがって、優先順位としては、以下の通り。

・まずは再生エネルギーを拡大し、火力発電を限りなく少なくすること

・もっとも二酸化炭素排出割合が高い産業部門で、今取組みがはじまっているように、サプライチェーン 全体で二酸化炭素ネットゼロを実現すること

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