コーポレートガバナンス改訂

▪️各界のESG取組み状況とコーポレートガバナンスコード改訂の位置付け
・金融界では、国連が責任投資原則でESGの重要性が打ち出されたり、金融庁でもESGにおける企業開示の充実・市場機能の発揮・金融機関の投融資先のリスク管理などの議論がされている

・産業界でもTCFD原則(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)に賛同する日本企業が世界シェア20%と世界トップの賛同数

・政府においてもグリーン戦略として2兆円の研究開発支援や税制優遇、利子補給付のファイナンスなどの支援も決定

・このような状況下でコーポレートガバナンスコードの改訂も6月に決定し、企業は12月までに新コードの適用をする必要があるなど、待ったなしの状況であルール

▪️コーポレートガバナンスコードとは
・日本語にすると企業統治指針。すなわち、株主、顧客、従業員、地域社会などのステークホルダーとの関係性を良くするため、透明性のある企業内の統治を実施するための原則である。

・過去企業による不祥事や、公害などが起きた。こういった企業の不祥事などによるステークホルダーへの棄損などを回避するために企業統治の原則を定めたもの

・日本ではかつてはメインバンク性によりメインバンクが企業活動を注視し、必要があれば指導することにより企業統治は取れていた。しかし昨今企業は投資が減り、その結果銀行からの資金調達も減ってきたこともあり、銀行が企業を管理するというパワーバランスが崩れてきた。そのため、日本でもコーポレートガバナンスコードを整備する必要性が出てきた

▪️改訂された経緯
・コロナ禍を契機に企業価値向上には課題に対してスピード感をもって対応していく必要

・また現在の株式市場が現在の東証一部、二部、ジャスダック、マザーズなのに対し、 2022年からプライム、スタンダード、グロースに区分変更される。特にプライムでは国際的に魅力的な市場にすべくより一層高水準なガバナンスが必要

・こうした背景から、金融庁及び当取引所が事務局をつとめる「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」からの提言を踏まえ、今回改訂に至った

▪️改訂内容
以下JPXからの引用によると、大きく4点が今回変更される。

1. 取締役会の機能発揮
・プライム市場上場企業において、独立社外取締役を3分の1以上選任(必要な場合には、過半数の選任の検討を慫慂)

・指名委員会・報酬委員会の設置(プライム市場上場企業は、独立社外取締役を委員会の過半数選任)

・経営戦略に照らして取締役会が備えるべきスキル(知識・経験・能力)と、各取締役のスキルとの対応関係の公表
 
・他社での経営経験を有する経営人材の独立社外取締役への選任

2. 企業の中核人材における多様性の確保
・管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標の設定

・多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表

3. サステナビリティを巡る課題への取組み
・プライム市場上場企業において、TCFD 又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実

・サステナビリティについて基本的な方針を策定し自社の取組みを開示

4.上記以外の主な課題

・プライム市場に上場する「子会社」において、独立社外取締役を過半数選任又は利益相反管理のための委員会の設置

・プライム市場上場企業において、議決権電子行使プラットフォーム利用と英文開示の促進

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