半導体の動向

昨年の秋頃から半導体不足が発生しており、その結果自動車メーカーでは減産なども起きている。

半導体はパソコンやスマホ、自動車など様々な製品に使われている。そしてその半導体を生産しているのが台湾などで日本の生産シェアはグローバルで10%程度だ。かつては日米ともに自国内で半導体を生産していたのが、半導体の設計だけは自国で行い、生産は台湾などより安価なところにアウトソースするというやり方をとってきたため、自国での生産が低下した。

したがって、台湾などに半導体の生産を依存せざるを得ないが、台湾の企業も生産工場の拡張をしていない。その結果、スマホやパソコン等の需要が増加しているにもかかわらず、生産体制が追いついていないため、不足が生じている。

半導体の原料はシリコンである。シリコンの生産は世界シェアの大半を中国が占めており、次いでロシアや米国、ブラジルなどが生産をしている。ちなみにシリコンは地球で一番多い元素である酸素とその次に多いケイ素からなる珪石を燃やして生産する。地球上で最も多い酸素と次に多いケイ素からできているため、十分な資源量があると言われています。

半導体のプレイヤーとしては、半導体の一連の製造工程において、設計は米国のアップルやエヌビディアなど、製造は台湾のTSMCや韓国のサムスンなどが主力である。ただし製造するための部材となるシリコンウエハと呼ばれる基板は日本の信越化学と住友・三井系列が合併したSUMCOだけで世界シェア6割を占める。

冒頭で述べた通り半導体需要増加や供給逼迫、そして半導体は安全保障にも関係することから、各国は自国生産に回帰させるようさまざまな振興策を打ち出している。日経新聞によると、米国では5.7兆円の関連法案成立、韓国では設備投資の20%税額控除、中国では10兆円規模の補助。一方で日本では2000億円規模の研究開発支援と他国では兆円規模に対して見劣る。

半導体の設計は米国が強く、製造は台湾や韓国が主力に対し、日本はシリコンウエハなどの基幹部材など高度な技術が必要とされる領域が得意である。今後の戦略として、日本はお家芸である技術力が活かせられる領域により特化するか、あるいは設計は製造などにも手を広げていくか。個人的にも引き続き検討していきたい。

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