コロナ禍の日本経済総論

2019年の12月に中国の武漢でコロナの感染者が報告されてからおよそ2年近く経つ。コロナ前と現状を確認し、今後の日本経済動向を考察したい。
(以下三菱総合研究所による経済レポートから抜粋)

▪️実質GDP
2019年560兆円から2020年は500兆円と−10%程度落ち込み、2021年6月は540兆円と2019年比-4%程度とマイナス幅が縮小している。

背景としては、2020年は外出抑制が強かったことに対して、2021年は緊急事態宣言が発令されていてもそこまで外出抑制につながらなかったことから、消費が増加したことが背景としてある。

▪️消費動向
服などの買い物や娯楽などの消費が依然2019年比でマイナスだが徐々にマイナス幅が縮小している。つまり、時間の経過とともに、外出抑制が減退し、買い物などの消費をする人が増えていることがデータからもわかる。

▪️家計動向
消費抑制されたこと、また10万円の給付金により、家計貯蓄は増加している。経済を回すうえで重要なのは、その増加した貯蓄の使い道だが、アンケートによると旅行などの室外娯楽に回す割合が高い。また、外食についても減少幅は回復していることから、今後旅行や外食については回復が見込まれる。

▪️雇用動向
2020年に正規雇用じゃあ数は特に変化がなかったのに対し、非正規雇用者数が5%程度減少し、現状もそのままの状況である。

▪️企業動向
消費の回復に伴い生産もコロナ前にほぼ戻りつつある。海外需要の回復により輸出はすでにコロナ前よりも増加している。したがって企業活動は概ね持ち直したと言ってもいいだろう。

▪️設備投資動向
コロナを機にオンライン化や非接触型などの新たな生活様式やDX関連への投資が堅調であり、企業は事業の構造転換や生産性向上につながる投資を優先しているようだ。また、全体の3割は脱炭素関連投資を拡大する方針であり、今後の投資下支えが見込まれる。

▪️物価動向については、2020年に比べマイナス0.6%と低下。その最大の要因は携帯料金の引き下げだ。携帯料金引き下げによりマイナス1.1%の押し下げに寄与している。

▪️まとめ
これまで抑制されてきた消費、生産いずれもコロナ前に戻りつつあり、来年には積み上がった貯蓄が一気に旅行や外食に向かう可能性が高い。

一方で非正規雇用者数が回復していないことから、非正規雇用者にとってはもう少し耐える必要が出てくるかもしれない。

企業活動としては、引き続きDX関連、脱炭素化関連への投資需要が強く、投資の下支えとなる。

したがって、全体として経済的には上々の状況であり、引き続きコロナ対策を継続しつつ、経済は回復し、非接触・オンライン化などの新たな生活様式は一定程度維持されるといった状況だろう。

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