世にも珍しい河童祭りの話⑥〜挑戦者〜

次の挑戦者は、女性だった。

バルーンアートで河童のお皿とくちばしをつけて登場した。

見た目は河童に近づけようと努力されており、さっきの子供グループよりモノマネが期待出来そうな感じがする。

…と思っていたら、

「いやー最近の河童もね、芸をしないとねー」とおもむろに、3個のお手玉を操る!

こっこれは!!

さらには、無言で、中国ゴマをくるくると操る。

モノマネじゃない!!!

「モノマネじゃないよねー」「そうですねー」

とまた私たちは同じ感想をもっていた。

我々が待っていたのは、これなのか?と何がなんだかわからないので、笑うしか無い。

2組目からの判定は、審査員の札はチャンピョンと挑戦者の2つの札を持ち、良い方をあげるという方法に変わっている。

彼女がチャンピョンに相応しいと思えば、挑戦者という札をあげられ、新チャンピョン誕生というシステムだ。

結果は、
チャンピョン2票
挑戦者1票

チャンピョン暫定!

暫定ボックスにいる、真ん中に座っているチャンピョンの男の子はふてぶてしい表情で、早く帰りたいな〜とでも思っている感じだ。

「チャンピョンの顔を見て下さい」

「あれは、早く終わって欲しい顔だねー」

と私たちはまた同じ感想をもっていた。

もはや、モノマネの趣旨は無視をされている。次の挑戦者に期待しよう。

大道芸も子供の可愛さには勝てない。

次の挑戦者はおじさんだった。

この方は、広島でアイドルをプロディースしている方らしい。

それにちなんだ替え歌を作ってきたとの事。嫌な予感がする…。

聞き覚えのある、AKB48のヘビーローテーションのイントロ。

「河童だったー河童だったー河童だったー♪イエス!河童だったー河童だったー河童だったー♪イエス!!僕はー♪」

観客席も突然のおじさんのAKBの歌に、沈黙が訪れ、みな言葉を失ってしまった。

司会者の方もフォローをいれている。

その隣で、先輩が笑いをこらえていた。

「いやー河童だったーの最後のところが、ちょっと響いて切なかったねー」と

「確かに!そういわれてみれば、響いていましたね!」と私も笑った。

おじさんの鋼のメンタルに感心していると、審査が始まっていた。


チャンピョン2票
挑戦者1票
チャンピョン暫定!!

私はまた気付いた。
「見て下さい!チャンピョン暫定ボックスで寝ていますよ!」

「あーもう。本当にどうでもいいんだろうねー」

と笑う事が我慢出来ず、かなり大きい声で笑った。

次は最後の挑戦者だ。

続く

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