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恵文社一乗寺店 1月の本の話 2024

こんにちは。書籍フロアの韓です。

2024年はじめての書籍売上ランキングと、おまけのお話。
今回もどうぞお付き合いください。

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1位 岩谷香穂『渡り鳥』(さりげなく)

“閏年”にだけ現れる本『渡り鳥』。4年の時を渡って再びやってきたこちらが1位にランクイン。青色の表紙をひらけば、冒頭に岩谷香穂さんの「見えないものと見えるもの」をテーマにしたエッセイ8ページ、そして残りは膨大な余白。4年間の思い出を書いても良いし、何も書かなくても良い。見えないものにちょっと思いを馳せてみる。そんなきっかけを齎してくれるうつくしい一冊。

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2位 ネルノダイスキ『ひょんなこと』(アタシ社)

ネルノダイスキさんによる待望の新作『ひょんなこと』。まだまだ勢い衰えず、今月も2位にランクインいたしました。
緻密に描かれたディテール、現実か非現実か、はたまた現実世界で見る夢なのか。一度目にすると忘れられない愉快な登場人物たちも魅力的。唯一無二の世界観をぜひお楽しみください。

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3位 『鬱の本』(点滅社)

今日も終わる。日が暮れスマートフォンの液晶だけ光る。さあそろそろベッドから起きて皿を洗おう。炊いた白米3合、海苔、キムチで使った皿を。今日のうちに洗おう。これでまだ人間。

柿木将平「ポジティブ。」より

ふとしたときにひょっこりとその顔を出したり、物陰に隠れていたり。日々を重ねていくうえでどうしても付き合わなければならない「憂鬱」の感情。84名による、本が読めないときに手に取った本のこと、拾った言葉やあたためた心の形を束ねた『鬱の本』が3位にランクイン。
当店でも瞬く間に完売し、今月半ばに2刷目が到着いたしました。どうしようもない感情に寄り添う、たのもしい灯りを纏った本です。

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4位 エリザベス・コーツワース 詩 / 藤田嗣治 絵 / 矢内みどり 訳『夜と猫』(求龍堂)

画家・藤田嗣治と児童文学者 / 詩人・エリザベス・コーツワースの二人が織り成す夢のような絵本『夜と猫』が今月4位にランクイン。
等身大で落ち着いた感性でとらえらた詩は、時には猫の目線で静かな生活を観察し、ある時は人間のまなざしで母猫子猫の様子をながめ、また双方の目をもち、生活する同士として、ここにある生命として猫と人間を描きます。僅か2日間の内に描かれたとされる、藤田の挿絵を12枚を掲載した見事なコラボレーション作品。
数量限定にて特典のメッセージカードもお付けしています。贈りものにぜひ。

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5位 『Spectator vol.52 文化戦争』(エディトリアル・デパートメント)

同性婚、人種差別、ジェンダー平等、個人の自由…。多様性を謳う時代にはなれど、受容れるというムーブメントには至らない。内なる絶対的な正義を貫き、自身と異なる立場や考え方を持つ相手を攻撃し、争い合い、ときには激しく発展する。何故争いははじまり、何をめぐり、何を求めて私たちは声を上げているのか。カルチャー・マガジン「スペクテイター」52号目となる「文化戦争」特集号が今月5位にランクイン。
私たちや世界が日々目にする、激動する社会に秩序と平衡を取り戻すための、小さな灯火のような糸口を探ります。


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さて、おまけのお話。
今月は少し変わった?めずらしい?本が入りましたので少しご紹介を。

韓国のイラストレーター、キム・ドゥマンさんによるリトルプレス。その名も『夢のような職場』です。ハムスターのようなクマのような、絶妙な表情を浮かべたキャラクターたちのやりとりがなんともいえない良さ。ドゥマンさんによる愛らしさ全開な翻訳も見どころです。

一日だけでもいいから職場体験してみたい…とつい思いを馳せてしまいます。仲の良い職場の上司や同僚、社長に贈ってみると笑いを誘えるかも。

すこし昔、この大きさ・仕様のなぞなぞの本がありましたよね。ミニサイズなので、通勤かばんにぶら下げてよし、家の鍵につけてよし、果たしてこのような使い方が許されるのか…という気持ちではありますが、自由に読んで欲しいというドゥマンさんの想いを汲んでお楽しみください。

日々お勤めの皆様、本当にご苦労さまです。


それでは、また来月お会いいたしましょう。


(担当:韓)


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