恵文社一乗寺店 12月 / 今年の本の話 2023
こんにちは。書籍フロアの韓です。
いよいよ残すところ僅か。今年はどんな一年でしたか?
12月と、2023年の書籍売上ランキングのご紹介です。
まずは今月の売上ランキングから。
////////
本が読めない時に、それでも手を伸ばした本について、拾った言葉やあたためた心の形を一冊にした『鬱の本』。東京のふたり出版社「点滅社」による当書が今月の首席にランクイン。業種も住まう環境も異なる84人もの書き手による、いのちの気配、ひとりのたまらない時間にこの本を手にとっていただければ幸いです。
※現在重版中につき品切れております。再入荷は1月中旬以降。
////////
愉快で奇妙なさまざまな登場人物が登場する漫画作品を14編収録した、圧巻の342Pをほこる『ひょんなこと』が今月も引き続きランクイン。描かれた世界にぐんぐんと引き込まれていく、緻密で日常と非日常を行き来するような画風をぜひお愉しみください。
漫画『いえめぐり』の元となった、40Pほどの文庫サイズの先行販売特典本も、店頭にて若干数のみご用意ございます。
////////
絵本をめくっているだけで心をゆすぶられるような圧倒的な絵と言葉。
文はパンクバンドGEZANのボーカル、マヒトゥ・ザ・ピーポーさん、そして絵は絵本作家・荒井良二さんによるコラボレーション絵本『みんなたいぽ』が今回3位にランクイン。そして当店ロングセラーでもある『のほほんと暮らす』も同位にランクインいたしました。年末年始にぜひお読みいただきたいタイトルです。
当店のギャラリースペース・アテリでは11月28日から12月11日まで原画展を開催。色めき立つ色彩の重なり、こちらにまで物音や話し声までもが伝わってきそうなほど生々しい筆致。荒井良二さんの原画をじっくりとご鑑賞いただける貴重な機会となりました。
////////
寒い寒い冬の日に、ねこの「ゆきちゃん」は散歩に出かけます。雪をつかんだり、落としたり、駆けまわったり。冷たくて、きらきらで、真っ白で、みんなと一緒で、たのしいね。そんなゆきちゃんたちの雪の日を、きくちちきさんが画面いっぱいに描いた絵本『ゆきのゆきちゃん』が今月4位にランクイン。
表紙や見返し、中身をたっぷり彩る美しいシルバーに、ゆきちゃんの赤い首輪と青い瞳がぱっちり映る、この季節にぴったりな一冊です。
////////
5位にはこちらの2タイトルがランクイン。
常識をひっくり返す「やぶってたのしむ」絵本『やぶる うまれる 絵本』と、第一線の活躍を続ける作家・アーティスト15名による描きおろし絵本やたくさんの付録、遊び方をぎゅっと収録したオムニバス雑誌『さがるまーた』が並びます。
『さがるまーた』の刊行を記念した原画展も盛況のうち幕を閉じました。長く読み継がれている絵本を手掛けた作家さん、当店にも縁のある作家さん…。足を止め、それぞれのタッチや技法、色遣いをじっくりと眺めていらっしゃる方が多く、やさしい時間が流れる賑やかな一週間となりました。
////////
さてさて、お待たせしました。
今年を締めくくる、2023年度の書籍売上ランキングをお知らせします。どどんと10位まで。
----------------------------------------------------------------------
1位 くどうれいん『桃を煮るひと』(ミシマ社)
2位 くどうれいん『わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版』(BOOKNERD)
3位 大石直紀『京都一乗寺 美しい書店のある街で』(光文社)
4位 西尾勝彦『のほほんと暮らす 新装ポケット版』(七月堂)
5位 ヘンリ-・スコット・ホランド 高橋和枝『さよならのあとで』(夏葉社)
6位 石黒由紀子 ミロコマチコ『猫はうれしかったことしか覚えていない』(幻冬舎)
7位 甲斐みのり『歩いて、食べる京都のおいしい名建築さんぽ』(エクスナレッジ)
8位 土門蘭『死ぬまで生きる日記』(生きのびるブックス)
9位 外間隆史 著 柳本史 画『雨犬』(未明編集室)
10位 rekko『やぶる うまれる えほん』(さりげなく)
----------------------------------------------------------------------
くどうれいんさんの食エッセイ本『桃を煮るひと』を筆頭に、今年もたくさんの本が旅立ちました。そして驚くことに、2位もくどうれいんさん著『わたしを空腹にしないほうがいい』!今年はくどうれいんイヤーでしたね。
ほかにも赤染晶子著『じゃむパンの日』(palmbooks)、平田基著『雲煙模糊漫画集 居心地のわるい泡』(さりげなく)、巨大な社会のシステムに疑問を持ち、新たな生き方を探求する雑誌『新百姓 2号』、当店ロングセラー『あおいよるのゆめ』や山尾悠子『飛ぶ孔雀』(文藝春秋)、堀静香『せいいっぱいの悪口』(百万年書房)などなど、この場では紹介しきれないほどたくさんの本を手にとっていただきました。
クリスマス以降の数日間、老若男女性別問わずいろんな方が棚を眺めて、思い思いの本を抱えられているところがいつもより印象的に映りました。冬休みに読むのかな、久しぶりに会う家族や親戚への贈りものかな、この3冊!良いチョイスですね…、などと思ったりも(つい口に出してしまうこともありますが)。寒い朝に、炬燵やソファで本を読みつつ、熱いお茶とみかん…何ものにも代えがたい時間ですよね。今の時期が一年で最も好きな気がします。
無事に仕事を納められた方も、まだまだお勤めの方もお疲れ様でした。
来年は2024年。数字だけ耳にすると未来感増し増しですね。できるだけたくさんの楽しいことやうれしいことを抱えて過ごしていたいものです。
本年も格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございました。
2024年は1月2日から営業(2日のみ短縮営業で11時〜17時まで、以降は通常営業となります)。当店イチオシイベントの古本市もまだまだ開催しておりますので、お出かけの際はぜひ。
来年も恵文社一乗寺店をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、どうぞ良いお年を。
(担当:韓)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?