恵文社一乗寺店 5月の本の話 2024
こんにちは。書籍フロアの韓です。
5月の書籍売上ランキングと、おまけの本の話。
今月もよろしければどうぞお付き合いください。
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作家・歌人として活躍の場を広げる小原晩(おばらばん)さんによる初のエッセイ集が1位にランクイン。彼女の描く日常のシーンは、ついつい自分の生活と重ねてはいとおしさを覚えてしまいます。
社会人一年目の夏、仕事をサボり食べた唐揚げ弁当のこと、亡くなった父と最後に食べた回転寿司、眠れない夜を少し明るくしてくれるおまじない、愛してやまない喫茶店で頬張るシナモントースト、目も眩んでしまうような恋のこと、女三人で始めた同居生活のこと…。一生懸命生きれば生きるほど空回ってしまうすべての人たちへ。
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イラストレーター・彦坂有紀さん、もりといずみさんによるユニット彦坂木版工房。こちらの絵本には、ホットドッグやおにぎり、オムライスなどとっても身近な、そして子どもたちが大好きな食べ物が登場します。食パンにジャムを塗ったら…?うどんにお揚げさんをのせたら…?一緒に考えながらページをめくってみましょう。
「この絵本を読んだあとに、親子でごはんを作ってもらえたら」という思いも込められた一冊です。
同月、書籍フロアでは当絵本の刊行を記念した原画展、5/25には著者・もりといずみさんと絵本のつなぎて・ふわはねさんのトークショーも開催いたしました。何度見てもおいしそうな香りが漂いそうな原画、いつまでも眺めていられそうでした。
お立ち寄りいただきましたみなさま、ありがとうございました。
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フランスのイラストレーター、イザベル・ボワノさんの最新作が3位にランクイン。1月から12月までの日常を、日記 / ブーケ / ワードローブ / お出かけ / お買い物 / 雑貨コレクション / レシピなどの10のテーマで紹介。心を動かされたもの、心を満たしてくれるもの、ささやかな愛おしさを集めた一冊となっています。
現在、生活館ミニギャラリーで好評開催中の原画展も引き続き6/7までご覧いただけます。イザベルさんの筆跡や色遣いから、何気ない日々への慈しみが感じ取れます。
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思わずタイトルを声に出して読み上げたくなる、作家・くどうれいんさんのエッセイ集が先月につづきランクイン。
月刊文芸雑誌『群像』(講談社刊)で連載していたエッセイ「日日是目分量」を書籍化した一冊。ささやかな日常に笑い、喜び、ときに沈みながらも愛でていく。たよりない一日の傍にある親身なきらめき。気持ちいい風が吹く日、台所で思わずしてしまう小躍りのようなエピソードの数々をおさめます。
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当店のロングセラー、詩人・西尾勝彦さんの散文と詩をおさめた『のほほんと暮らす』、絵本のつなぎて・ふわはね(内田祐子)さんが一年半をかけて足を運んだ全国の絵本屋さんを紹介する『えほんとりっぷ』が同時に5位にランクイン。
ページをめくり、読み進めていくだけでほっと胸をなでられるような2冊。どこで読もうか、どこに行こうか、思いを馳せるのも楽しい。そろそろ梅雨にも入り、心にかろやかな風を取り入れたいとき。ほんの少し肩の力を抜きたいひとときのお供におすすめします。
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みなさんはエリック・サティをご存知ですか?
名前にピンとこなくとも、この曲聴いたことある!という方は多くいらっしゃるのでは。
自ら手掛けた楽曲に「(犬のための)ぶよぶよとした前奏曲」「嫌らしい気取り屋の3つの高雅なワルツ」「胎児の干物」と名づけたり、枠を超える洒脱で自由な音楽性から「音楽界の変わり者」と呼ばれていた彼のエッセイ集『卵のように軽やかに』を紹介します。
音楽評論にはじまり、講演原稿、エッセイ、詩、戯曲らを収載。キッチュさも皮肉さも含みながら、ときどきあらわれる閑かで鋭いまなざし。どこまでが冗談で、どこからが本気なのか。
終始つかみどころのないナンセンスさと諧謔で、文体を変えながら展開されていくページをめくっていくと、だれかが書きなぐったメモの端を覗き見ているような感覚を覚えます。
一日の行動を分刻みで記したタイムテーブル、サティがおもう本屋の愉しみ、芸術家としての横顔…。サティとは一体どんな人だったのか?この本を読むと理解できるどころかどんどん混乱してしまいそうですが、そのウイットさに惹かれてふと何度も手に取りたくなる一冊です。ふと目に留まったページから読み進めるのもたのしみ方のひとつ。
音楽を聴くだけではたどりつけない彼の魅力と側面を存分にあじわえます。
余談ですが、わたしの好きなサティの曲は「梨の形をした3つの小品」です。現代音楽の父とも呼ばれるサティですが音楽自体はまったくむずかしくなく、集中したいときや一息つきたいときに流すと良いです。
後半は本の話というより音楽の話となってしまいましたが…
それでは、また来月お会いいたしましょう。
(担当:韓)
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