競馬の調教タイム 2歳 美浦南W編

※一度公開したが、一部データの母数に間違いが見つかったので傾向は変わらないものの修正して再公開。

調教タイムについて、早そう、遅そうは感覚的に何となく分かってはいても詳細は全然把握できていないので、調教データを集計して調べてみた。但しこれは良馬場で馬ナリなのか一杯なのかも混在した特殊な条件での集計値。実際の調教タイムを見る際はもっと複雑な工程が必要だと思う。この数値が絶対的なものではなく参考程度に見てもらいたい。

まずは美浦南のウッドチップコースについて。2019年9月に改修工事が完了。右回り左回り両方で行えるようになったものの、これまであった高低差がなくなったため、調教タイムの傾向に変化が出てくる可能性があると思うし、過去と現在では調教技術の変化もあるので本来では期間を限定する方が良いと思うが、この集計調査では特に期間の切り分けはしないで行った。ちなみに集計期間は2007年10月から2020年5月末。

1.調教タイムについて

最初に確認してみたのは調教タイムの中央値や平均値。
 青色:2歳戦全体の追切調教タイム
 赤色:特別戦やオープンに出走した馬の追切調教タイム
 グレー:重賞に出走した馬の追切調教タイム
 黄色:デビュー戦で勝った馬の新馬戦の追切調教タイム
 水色:ダービーまでの期間に2勝以上した馬の新馬戦の追切調教タイム
についてそれぞれ調査してみた。

美浦南W6Fグラフ

美浦南W6F表

のっけから何だが、美浦南ウッドチップコースの6Fのデータ、特に重賞出走馬と新馬勝ち・2勝馬新馬戦のサンプル数が少なくて信頼性に欠けるので、ひとまず5Fに移ろう。

美浦南W5Fグラフ

美浦南W5F表

当然だが、全体より特別オープン、特別オープンより重賞に出走する馬の調教タイムの方が良くなってる。中央値で比較すれば0.8秒もの差が出ている。全体以外は第一四分位数(早い方の25%)が67秒台になってるので、美浦南ウッドチップコースの追い切りで5F 67秒台前半が出てれば統計的にも優秀のよう。新馬勝ちしたダービーまでに2勝を上げるような馬で5Fの追切が70秒を超える馬もいることはいるが、そのような馬は25%以下と少数派。新馬時点でも追切では70秒を超えて欲しくないといったところか。
また、四分位範囲(25%~75%までの50%、上記グラフの真ん中のBOX)が長めなのでバラツキが多いのも特徴。重賞出走馬グレーの四分位範囲が比較的狭めだが、新馬クラスでは5Fの全体時計はそれほど厳密に評価する必要はないのかもしれない。基準となるタイムをもし設定したとしても多少のオーバーは評価を落とすことにならないか。
もう一つ、新馬勝ちやダービーまでに2勝するような馬の新馬戦の調教タイムでは極端に早いタイム(上記箱ひげ図の外れ値になるようなタイム)はあまり出ていないのも特徴。全体時計が早すぎても良くないのかもしれない。

美浦南W4Fグラフ

美浦南W4F表

4Fは53秒後半が出ていれば平均的、52秒半ばが出ていれば統計的にかなり優秀そう。ここでも重賞に出走するような馬の中央値は2歳全体の中央値よりグッと下がる。当たり前だが。。。
四分位範囲(25%~75%までの50%、上記グラフの真ん中のBOX)も狭くなってきたが、まだ広い方。ここでもそれほどの厳密さは必要ないと思われる。

美浦南W3Fグラフ

美浦南W3F表

3Fになるとかなり四分位範囲(25%~75%までの50%、上記グラフの真ん中のBOX)が狭まってきた。39秒半ばくらいが統計として平均的、38秒半ばくらいのタイムが出てれば優秀そう。逆に40秒を超えるようなタイムは統計的には少ない部類になるようだ。

美浦南W1Fグラフ

美浦南W1F表


そして最後に1F。四分位範囲(25%~75%までの50%、上記グラフの真ん中のBOX)は狭まり、あまり許容値がない状態。13秒2くらいが平均的で、できれば12秒後半が統計としては優秀のよう。12秒半ばから前半が出ていればかなり良いと思われる。2歳の時点では最後1F11秒台のような飛び抜けたデータはほぼない(あっても11.9まで)。私の持っているデータがそうなっていた、あるいは私の集計ミスかもしれないが。1Fくらいになると外れ値があまりないのも特徴的。

美浦南ウッドチップコースのタイムとして
2歳全体としては、
      69.2 - 54.1 - 39.8 - 13.4 が平均的なタイム
新馬勝利やその後の勝利も望むような馬としては、
      68.7 - 53.7 - 39.4 - 13.2 が平均的なタイム
      67.5 - 52.6 - 38.6 - 12.8 といったタイムが出ていると優秀な部類
といった感じの結果でした。

2.回った位置について

さらに回った位置の違いによるタイム差についても調査をしてみた。

美浦南W回った位置違い5Fグラフ

美浦南W回った位置違い3Fグラフ

美浦南W回った位置違い1Fグラフ

一番内側の1と一番外側の10では、5Fタイムだと傾向として2~2.5秒の違いが見受けられる。回った位置が1つ違う毎に0.2秒くらいの差を見込んであげれば比較ができるようだ。3Fタイムにも1~1.5秒ほどの差が見られる。つまり回った位置1つ毎に0.1秒ほどの差、残り1Fでは全体で0.1~0.2秒ほど、つまり回った位置1つ毎に0.02秒ほど差を見込んであげれば良さそうだ。1Fであればほとんど差は出ない筈だが、外を回る分キツい調教になるのでそれが1Fにも影響を出しているのかもしれない。

3.加速ラップについて

美浦南W加速ラップ勝利表

加速ラップについても調査をしてみた。加速ラップが良いという話はよく耳にするが、こと美浦南Wに関して言うとそこまでではない。美浦南Wでは全体に対して加速ラップを出した馬の1着~3着はいずれも3割程度という結果となった。つまり、美浦南Wで加速ラップを出したとしてもそれが直ぐ勝利に繋がる訳ではないということだ。この加速ラップについてもいくつか集計をしてみた。

美浦南W加速ラップ1Fグラフ①-1

美浦南W加速ラップ1Fグラフ①-2

美浦南W加速ラップ1Fグラフ①-3

美浦南W加速ラップ1Fグラフ①-4

ちなみに、上記の表の11.9は11.9以下全てを含み、13.6は13.6以上全てを含んでいる。

集計すれば加速ラップで勝つ負けるの傾向が読めるかと思ったんだけど、、、それほど傾向は分からなかった笑
追切という1側面だけで判別が付くことではないということだろう。傾向っぽいこととしては、ラスト1Fは12秒台が目安ということくらい。当たり前と言えば当たり前だがいくら加速ラップでもラスト1Fが13秒台ではない方が良さそうだ。
①-2が加速ラップでも着外に沈んだ馬の1Fラップタイムだが、勝った馬に比べて若干山が右寄りで13秒以上の件数が多くなっているのも同様の傾向と言える。
また、①-3/①-4は加速ラップではないのに勝った馬のラスト1Fをチェックしたものだが、まず①-4は圧倒的に件数が少ない。つまり、加速ラップではない馬でも基本的には最後1Fだけが垂れるような馬が勝っていて、全体的にラップがバラバラしている馬は勝つ傾向が薄いということが分かった。つまり最後1Fは垂れたとしても全体としては加速ラップを踏んでいる方が良さそうだ。また、①-3を見る限り最後1F垂れたとしても約70%は13.5秒以内だったこと。加速ラップではなく且つラスト1Fが13.6秒以上だと勝つ率は少なくなる、ということは統計上出ているようだ。

では、5Fのタイムに違いが出ているかも念のため確認する。

美浦南W加速ラップ5Fグラフ②-1

美浦南W加速ラップ5Fグラフ②-2

美浦南W加速ラップ5Fグラフ②-3

美浦南W加速ラップ5Fグラフ②-4

これも1Fのときと同様、67.9は67.9以下全てを含み、70.1は70.1以上の全てを含んでいる。

こちらも明確な傾向が出ている訳ではないが、②-1を見ると約20%は67秒台で約80%は70秒以下である。②-2を見ると加速ラップにも関わらず70秒を超えると着外になる馬は50%もいるので、加速ラップでも70秒以下であることは必要そうだ。同様に②-2を見ると加速ラップで67秒台を出しているにも関わらず着外になったのは約10%。67秒以下の加速ラップであれば少なくとも馬券に絡む率は高いと言える。
②-3/②-4は加速ラップではなく勝った馬のグラフだが、特徴的なのは最後1Fだけ垂れた馬で、5Fタイムが速く68秒以下だった馬が40%以上であること。最後1F垂れたとしても68秒を切っていれば勝つ可能性は高くなる。一方1Fのときにも書いた通り加速ラップではなく且つ1Fだけ垂れた訳ではない馬は絶対数が少ないので、ラップがバラバラな馬は勝つ可能性が少ないと言える。例えバラバラだったとしてもせめて70秒以下でないと更に可能性が狭まるようだ。

ひとまず、2歳 美浦南のウッドチップコースの調教の調査はここまで。引き続き美浦坂路や栗東CW、栗東坂路についても同様の調査をして見る。

また、これ以外にも血統の調査とか、騎手の調査とかやってみたいことがあるので、ネタが溜まったら書いてみようと思う。


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