競馬の調教タイム 2歳 美浦坂路編

美浦南W編に続いて美浦坂路編。同じように調教データを集計して調べてみた。前回も書いたように、これは良馬場で馬ナリなのか一杯なのかも混在した特殊な条件での集計値。実際の調教タイムを見る際はもっと複雑な工程が必要だと思う。この数値が絶対的なものではなく参考程度に見てもらいたい。

美浦の坂路も工事が行われ2022年には高低差が栗東と同じレベルになるとのこと。そうなったときにはまた坂路の調教タイムも変化が出てくるかもしれないが、2004年の改修以降は特に変更は起きていない。なお、過去と現在では調教技術の変化もあるので本来では期間を限定する方が良いと思うが、この集計調査では特に期間の切り分けはしないで行った。ちなみに集計期間は2007年10月から2020年5月末。

1.調教タイムについて

最初に確認してみたのは調教タイムの中央値や平均値。
 青色:2歳戦全体の追切調教タイム
 赤色:特別戦やオープンに出走した馬の追切調教タイム
 グレー:重賞に出走した馬の追切調教タイム
 黄色:デビュー戦で勝った馬の新馬戦の追切調教タイム
 水色:ダービーまでの期間に2勝以上した馬の新馬戦の追切調教タイム
についてそれぞれ調査してみた。

美浦坂路4Fグラフ

美浦坂路4F表

美浦南Wのときと同様、四分位範囲(25%~75%までの50%、上記グラフの真ん中のBOX)が広めなので4Fだと比較的ブレが大きい。少し美浦南Wと違うのは重賞に出走する馬でもそれほどタイムは速くないこと。また、ダービーまでに2勝を上げるような馬の新馬戦での坂路タイムが一番速いこと。53秒半ばくらいが平均的、52秒から52秒前半くらいが出れば統計的には優秀な部類。坂路のタイム全般に言えることだが、南Wと比べ早い方の外れ値が少ないのも特徴的。

美浦坂路3Fグラフ

美浦坂路3F表

3Fでも重賞に出走するような馬のタイムはそれほど速くはならない。38秒後半が平均的で、38秒を切ってくるようだと優秀な部類に入ってくる。40秒を超えてるようだとあまり期待はできないか。ダービーまで2勝を上げるような馬の坂路3Fタイムは遅くとも追切は3Fで39.5秒くらいは欲しいようだ。

美浦坂路2Fグラフ

美浦坂路2F表

2Fは四分位範囲(25%~75%までの50%、上記グラフの真ん中のBOX)も狭まってかなり限定的。早い方のひげもそれほど長くならず、中央にぎゅっと詰まっているグラフになってくる。25秒前半が平均的で、25秒を切ってくれば優秀な部類。

美浦坂路1Fグラフ

美浦坂路1F表

ラスト1Fは全体以外はほぼ同じで、12.7秒前後が平均的で12.3秒を切れば優秀な部類になってくる。13秒を超えるのは少ない部類のようだ。

美浦坂路のタイムとして
2歳全体としては、
      54.1 - 39.4 - 25.8 - 12.9 が平均的なタイム
新馬勝利やその後の勝利も望むような馬としては、
      53.4 - 38.7 - 25.3 - 12.6 が平均的なタイム
      52.0 - 37.8 - 24.7 - 12.2 といったタイムが出ていると優秀な部類
といった感じの結果だった。

2.加速ラップについて

美浦坂路加速ラップ勝利表

美浦南Wと同様に坂路でも加速ラップについて集計してみた。美浦南Wに比べると加速ラップを出して結果を出している馬たちの比率は45%もあるので、坂路における加速ラップについてはある程度信頼性がある要素のようだ。美浦南Wでは傾向が掴めなかったが、同じような切り口で集計をしてみた。

美浦坂路加速ラップ1Fグラフ①-1

美浦坂路加速ラップ1Fグラフ①-2

美浦坂路加速ラップ1Fグラフ①-3

美浦坂路加速ラップ1Fグラフ①-4

上記の表の11.9は11.9以下全てを含み、13.6は13.6以上全てを含んでいる。

①-1が加速ラップで勝った馬の1Fタイム。12.7秒以内で80%になるため、加速ラップで勝つなら12.7秒以下にはなっておきたいところ。ただ①-2を見れば分かる通り、加速ラップで12.7秒以下を出していたからと言って油断できない。加速ラップを出して着外になった馬でもラスト1F12.7秒以下の馬は60%もいる。12.1秒とか12.2秒とかを出して着外になった馬は20%に満たないようなので、加速ラップで12.2秒以下が出ているようなら安心度が増すといったところか。
①-3/①-4は加速ラップではなく勝った馬の集計。いずれも比較的均等的でこれといった傾向はないが、件数的には①-4が①-1や①-3に比べて少ないので、美浦南Wと同様に加速ラップでないとしてもラスト1Fだけ垂れるような調教の方が可能性としては高そうだ。加速ラップでなくラスト1Fだけ11.9秒とか急激に早くても、勝率が高くなる訳ではない。

では念のため4Fについても確認。

美浦坂路加速ラップ4Fグラフ②-1

美浦坂路加速ラップ4Fグラフ②-2

美浦坂路加速ラップ4Fグラフ②-3

美浦坂路加速ラップ4Fグラフ②-4

これも1Fのときと同様、52.4は52.4以下全てを含み、54.6は54.6以上の全てを含んでいる。

美浦南Wと同じような傾向だが、②-2を見ると加速ラップにも関わらず54.5秒を超えると着外になる馬は50%もいるので、加速ラップだったとしても54.5秒以下であった方が安心はできそうだ。同様に加速ラップで52.4秒以下を出しているにも関わらず着外になったのは10%以下。52.5秒くらいの加速ラップを出しているのであれば少なくとも馬券に絡む率は高いと言える。
また②-3にあるように加速ラップで最後1Fだけ垂れたとしても52.4以下のタイムであれば約40%は勝ち、52秒台であれば50%以上が勝っているのでこの辺りも一つの目安になりそうだ。②-4でも若干数値は下がるが同様の傾向が見られる。
できれば美浦坂路であれば加速ラップであることに越したことはないが、加速ラップの有無に関わらず52秒台があると可能性が高まるようだ。

2歳 美浦坂路の調教の調査はここまで。次回は栗東CWについても同様の調査をしてみる。

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