競馬の調教タイム 2歳 栗東ポリトラック編

今回は栗東のポリトラック編。
栗東のポリトラックコースは美浦導入から2年後の2009年に導入された。Dコースの内側が芝、外側がポリトラックコースとなっている。どこかで記事を書こうと思うが、美浦も栗東もポリトラックでの追切は本数がどんどん減ってきているので、近年に限定してしまうと集計の母数が足りない。
過去と現在では調教技術の変化もあるので本来では期間を限定する方が良いと思うものの、こういった母数の問題もあるのでこの集計調査では特に期間の切り分けはしないで行った。ちなみに集計期間は2007年10月から2020年5月末。
なお、これまでの記事と同様に、良馬場で馬ナリなのか一杯なのかも混在した特殊な条件での集計値。実際の調教タイムを見る際はもっと複雑な工程が必要だと思う。この記事の集計値が絶対的なものではなく参考程度に見てもらいたい。

1.調教タイムについて

いつも通り先ずは調教タイムの中央値や平均値の確認。
 青色:2歳戦全体の追切調教タイム
 赤色:特別戦やオープンに出走した馬の追切調教タイム
 グレー:重賞に出走した馬の追切調教タイム
 黄色:デビュー戦で勝った馬の新馬戦の追切調教タイム
 水色:ダービーまでの期間に2勝以上した馬の新馬戦の追切調教タイム
についてそれぞれ調査してみた。

2歳栗東P5Fグラフ

2歳栗東P5F表

従来であれば重賞出走組の調教タイムが一番良くなるが、重賞のグレーの四分位範囲(第一四分位数である25%~第三四分位数である75%までの全体の50%、上記グラフの真ん中のBOX部分)が上下に長く、バラツキの傾向が大きい。ポリトラックコースも2歳に限定すると比較的母数が少ないので少しデータとして安定していない。
栗東CWと比べると1.5~2秒くらい早いタイムが出ている感じだ。66秒くらいが出ていれば標準的、64秒前半が出ていれば優秀な部類と言えそう。

2歳栗東P4Fグラフ

2歳栗東P4F表

5Fも含め早い方での外れ値が少ない。あまり極端に早いタイムが出ない特徴があるのかもしれない。また、栗東CWと比較するとここでも1.5~2秒くらい早いタイムが出ているようだ。
51秒半ばくらいが出ていれば標準的、50秒前半が出ていれば早いタイムの部類と思われる。

2歳栗東P3Fグラフ

2歳栗東P3F表

遅い方の外れ値が多いため、どうしても中央値より平均値が引っ張られて遅くなりがちだ。ウッドチップコースと比較すると四分位範囲が若干広め。ポリトラックは3Fでもかなりバラツキの多いという特徴がある。
38秒くらいが出ていれば標準的、37秒前半なら優秀な部類と思われる。

2歳栗東P1Fグラフ

2歳栗東P1F表

最後の1Fはさすがに四分位範囲も狭まってタイムもかなり限定的になった。12秒前半が出ていれば標準的、11秒後半が出れば十分優秀なタイムと思われる。

栗東ポリトラックコースのタイムとして
2歳全体としては、
     66.0 - 51.5 - 38.1 - 12.2 が平均的なタイム
新馬勝利やその後の勝利も望むような馬としては、
     65.8 - 51.3 - 38.0 - 12.1 が平均的なタイム
     64.3 - 50.3 - 37.3 - 11.8 といったタイムが出ていると優秀な部類
といった感じの結果だった。


2.回った位置について

次は回った位置について確認。

2歳栗東P回った位置違い5Fグラフ

2歳栗東P回った位置違い3Fグラフ

2歳栗東P回った位置違い1Fグラフ

冒頭に書いたとおり、Dコースの内側は芝コースのため、ポリトラックコースはコースの外側5分どころから9分どころで回っている。
全体的に外側なのでそれほど差がないかと思ったが、5Fだと5分どころから9分どころで概ね1秒くらいの差がある。1つ外側になる毎に0.2~0.3秒くらいの差があるようだ。
3Fだと差はほとんどなくなり、内外で概ね0.5秒ほどの差。1つ外側になる毎に0.1秒程度の差がある。
そして美浦ポリトラックでもあった通り不思議な現象。1Fでは外側の方が早くなり内側の方がタイムが遅くなる傾向がある。その差は内外で僅か0.2~0.3秒(1つ内側になる毎に0.05秒程度)ほどだと思われるが、確かに外側の方が全体的にタイムが速くなっている。


3.加速ラップについて

2歳栗東P加速ラップ勝利表

最後に加速ラップについてだが、ポリトラックコースで追切を行った馬で勝利した馬のうち、6割以上は加速ラップを出していた馬である。加速ラップは重要な要素と言えそうだ。

2歳栗東P加速ラップ1Fグラフ①-1

2歳栗東P加速ラップ1Fグラフ①-2

2歳栗東P加速ラップ1Fグラフ①-3

2歳栗東P加速ラップ1Fグラフ①-4

上記の表の11.9は11.9以下全てを含み、13.6は13.6以上全てを含んでいる。

パッと見て気が付くのは①-3の少なさ。加速ラップで最後1Fだけ垂れる馬よりは全体的に加速ラップではない馬の方が勝利が多い。それでも①-4を見ると13秒台は20%にも満たないので、もし加速ラップでないとしてもラスト1Fは最低限12秒台を出しておきたいところだ。
加速ラップで勝った馬は、ラスト1Fも12.5秒以内に入っていることが大半だが、①-2を見ると加速ラップでラスト11.9秒を出しながら着外になった馬も多数いる。①-1と①-2のオレンジの折れ線グラフを見る限り、若干①-1の方が左側に寄っているため早いタイムに越したことがないが、それほど早いタイムにこだわる必要はない。12.5秒以内なら合格ラインと観点で考えれば良さそうだ。

念のため5Fもチェックしてみよう。

2歳栗東P加速ラップ5Fグラフ②-1

2歳栗東P加速ラップ5Fグラフ②-2

2歳栗東P加速ラップ5Fグラフ②-3

2歳栗東P加速ラップ5Fグラフ②-4

これも1Fのときと同様、64.9は64.9以下全てを含み、67.1は67.1以上の全てを含んでいる。

②-3/②-4を見る限り、加速ラップではなく勝つ馬は64.9秒以下であることが多い。もし加速ラップでない場合は5Fタイムをチェックするのが良さそうだ。
また、①-2を見ると加速ラップにも関わらず着外なった馬の40%以上は5Fで67秒を切ることができていない。もし加速ラップでも全体時計が遅いときは怪しんで見るのも1つである。

以上が栗東ポリトラックコースの調教についての考察。次回は栗東ダート編を書いてみる。


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