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大塚海渡騎手、木村哲也調教師パワーハラスメント問題に対する個人的見解

1月13日(水)の夕方、突如オンラインサロンに「なんかやばいことになってる」というコメントとURLだけが貼られておりクリックすると以下の記事が出ていた。

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引用元 Spnichi Annexs

JRA騎手の大塚 海渡が師匠であり所属先の調教師の木村 哲也をパワーハラスメント(以下パワハラ)に対し損害賠償を求めるということらしい。

記事の内容を読むと木村調教師は2019年より数回にわたり大塚騎手への暴言、暴力行為があり精神的ショックを受けたという報道で紛れもないパワハラだろう。

しかし、これに対し競馬界のOBからは「俺が若い時はもっと酷かった」「言われてるのも殴られるのも当たり前の世界で何を言ってるんだ。実力で見返せば良いだろう」、「〇〇騎手はそうやって育っていったのを見てきた」など同業者からは通る道ゆえか辛辣な意見が多い。

世間の声も様々で全般的には木村調教師が悪いという声が大半も「騎乗するたびに制裁されているようなセンスのない人間だから当然」、「技量もない大塚が殴られる、暴言を言われても仕方ない」などという声もある。

だが実際、そうなのだろうか?と個人的には思うところもある。もちろん大塚騎手は下手なのは自分も納得だ。2020年新年早々の落馬事件で騎手としては危なすぎるという事に関しては一票を投じたいが、パワハラとして訴えられた以上は話は変わってくるのではないだろうか?

ご存じの方も多いと思いますが、自分は2019年に会社内の金銭トラブルの末に上司に顔面を殴られ眼下の骨折及び、裂傷を負った過去があります。その際に被害を加えた上司は即日で解雇となるも現在も自分の目の下には当時4針縫った傷跡は残っています。

さすがにここまで来ると誰もがパワハラと認めるかもしれませんが、果たしてパワハラの定義、レベルとはどの程度なのだろうか?そんなところにも考えを回しながら話を進めていこうと思う。

大塚騎手が受けてきたパワハラ内容

① 忘年会出席時に祝儀袋を渡され名前を書いて持っていくように指示を受け記載も「字が汚い」と叱責され頭部を叩かれる
② 自転車で転倒し頭部をぶつけ緊急で搬送され安静を医者より指示される。しかし退院後に調教を見学していたところを木村調教師に見つかると直ちに呼び出し頭部を叩かれる
③ 日常的な叱責や暴言

この他にも厩舎全体としては担当厩務員が担当馬のオーナー宛てに感謝の手紙を書かせることを義務付けしたり、そりが合わない厩務員とは一方的に関係を遮断し辞める人が後を絶えないなどの報道もあるがこれはあくまで厩舎の方針であるため今回は触れない。

さて、これがパワハラかどうかについてだが皆さんはどう思うだろうか?

「部活でそんなこといくらでもされていた」「会社員として上司からそんなこと何回もあった」「今のゆとりは・・・」などと思う人もいるだろうし、「暴力を与えてる時点で木村調教師が全部悪い」「時代遅れの指導法しかできないのか」と思う人もいる。

パワーハラスメントの定義とは以下の通り

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。

結局のところパワハラというのはその中身ではなく受け取る側がそう思うか否かに全てはかかっている

叱責する側のことを「この人は自分のために言ってくれている」「自分が悪いから叩かれているんだ」「絶対にこの人を将来見返す」と思えばそれまでの話であり恐らくだが競馬界はこれで今までまかり通ってきたのだろう。そして競馬ファンの自分たちとしても「そういうのが当たり前ではないが当たり前の世界」とどこか共通認識として感じている人も多く、今回の報道が出たときにも心のどこかで感じたという人も多いだろう。

パワハラは以下のような内容の法律が適用・該当することが多い。

 名誉毀損罪(刑法第230条)
 3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金。
 侮辱罪(刑法第231条)
 拘留または科料
 脅迫罪(刑法第222条)
 2年以下の懲役または30万円以下の罰金。
 暴行罪(刑法第208条)
 2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金
 傷害罪(刑法第204条)
 15年以下の懲役、または50万円以下の罰金

法律的観点で見てもこの部分というのはかなり曖昧である。そして日常で起こりうる上司や社内トラブルの多くというのは訴えてしまえば裁けてしまうようなことが多い

何とも難しい問題ではあるがこのように法律を設けないと今度は無法地帯になってしまうし結局は対峙する人間同士の信頼関係と時に厳しく、時に甘くのさじ加減がトラブルを減らすきっかけになるのだろう。

実力がないから罵倒されるのは当然?


さて、今回の問題だが数多く聞こえてくる意見は「大塚は下手だからそれくらいあっても当たり前」、「インタビューを聞いてても常識が無いのはわかる騎手云々以前に人間としてダメなんだと思う」などという意見についてだ。

改めてだがここで大塚騎手のこれまでの成績を振り返る

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大塚 海渡(おおつか かいと)

2019年にJRAの騎手としてデビューし2021年で3年目を迎える。同期には岩田 望末、斎藤新、団野 大成など既に活躍している騎手も多い35期生にあたる。

2019年は160回の騎乗で3勝を記録も翌2020年1月5日の中山7Rにて落馬事故を起こし頭部を強打で緊急搬送され一時は意識不明の重症。びまん性索損傷、高次脳機能障害を患うもその後は改善傾向。

現在は慢性硬膜下血種の回復を待ちながらトレーニングをして騎手復帰の道を模索。

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この落馬の件に関しては昨年も話題になった通りだが馬が左に向かってヨレているのに騎手が右で鞭を打って自ら左に促すような形で進んでいき落馬をしている。

そして落馬に巻き込まれる形で後方にいた三浦騎手も落馬をして骨折の大怪我を負ったことから当時大塚騎手の症状の方が遥かに重症ながら批判の声が相次いだ。

特に大塚騎手はこれ以外にも危険なレースをしたとして以前より制裁点を累積していたこともありその技量を疑う声も多く、現在騎手として復帰をしようということが分かった際には個人的には納得できない点でもあった。

しかし、いくら下手でどうしようもない騎手であったとしても人間としての権利は尊重される。それゆえに「下手だから罵倒されても仕方ない」と言いだしてしまうとこの世のすべてのパワハラを肯定することにもなりかねなくなってしまう。

そもそも仕事が出来る出来ないの基準とは非常に難しいものである。どれだけ優秀な成績を残してた自分が思っていても人の目からしたらどうしようもない、全然ダメと思えばダメなものである。

例えばJRAのリーディングを争う川田 将雅騎手は誰の目から見ても毎年優秀な成績を残しているといえる。しかしあれだけの成績を残してたとしても「全然ダメだ」と思われて調教師などに罵倒されることだってあるのかもしれない。

もし仮にだが川田騎手が誰かをパワハラだと訴え罵倒されたことを告発したら多くの人は「あれだけの成績を残している騎手を罵倒するとはいい身分だな」と感じるだろうが理屈としては大塚騎手だって同じなのである。

いくら下手だろうがどうしようもなかろうが騎手である以前に人間である以上は罵倒されてる相手を「〇〇だから」という理由では本来は通してはならない

もちろんそれを我慢できる出来ないという本人の気持ち的な問題も大きく反映されるので非常に難しいところではあります。

今後の方向性


さて、今後だがどのようにこの問題が進んでいくのか?

大塚騎手の父親は木村調教師と同じ美浦トレセンの関係者であり大塚騎手は木村調教師の弟子にあたる関係である。それを今回の一件で木村調教師の不当な態度、発言に納得がいかないで訴えるという行動に出た以上は示談金で納得・・・という方向に落ち着くことは恐らく無いだろう。皮肉な話だが騎手という商売はお金には苦労しないので・・・。

ただし、この問題は長引けば長引くほど大塚騎手が本当に騎手として復帰をしたいのであれば無駄な時間だけが過ぎていくことになり、木村調教師も訴えられている立場でありながら同時に馬を管理する業務がある。そして何より問題なのは木村調教師は主にノーザンファーム生産の馬を多く預かっている。そしてその大半はサンデーレーシングやシルクレーシングといった一口会員のクラブ馬がメインだ。現状預かってもらっている関係者からも不満の声が続出しており今後は2歳馬も多く入厩されてくるが果たしてこのような状況でどうなっていくのだろうか?(ノーザンファーム側からしたら木村調教師との関係を遮断するという選択肢が濃厚ではあるが)

そしてこのような問題の被害者でありながらも決して技量が無い、騎乗に問題のある大塚騎手を引き取ってくれる厩舎があるのか?という点も気になるところである。

大塚騎手の父親のコネでどうにかなるのかもしれないが今後騎手としてやっていけるのかはかなり怪しいところでは?と個人的には考察したい。

どう転んでも大塚騎手は腫れ物扱いとなってしまうだけにこのまま騎手を諦めるのも一つの選択肢な気がするがそれはあくまで私の意見であり茨の道を覚悟して本人が続けるのではあればそれまでの話ではある。

パワハラで上司を辞めさせた後、自分は会社に残った経験があるが何よりその会社へ対しての思い入れというものは完全に失せどうでもよくなった時期があった。その年に会社が潰れ現在はライターとして日々仕事をしているが現在の充実度を考えると2年前の自分がいかに日々に色が無かったかを最近は特に感じる。

そしてこの問題だがどこまで進んでも木村調教師が勝つという事は皆無である以上早急にお金で解決させるのか?それともグダグダ長引かせて結論を後にさせるのか?そんな点も追いかけていきながら行く末をまた記事として出せればと思います。

人と人との付き合い方、上司と部下の関係性・・・改めて難しい問題だと個人的にも感じる一件でした。


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