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アジアエクスプレスのトリセツ(前編)~早熟馬の利点と危険性~

依然無観客競馬が続くがその中でも日々競馬界は動き続け気づけば夏競馬が終わり舞台は再び関東、関西が舞台へ(ただし今年関西は中京での開催ですが)と移りいよいよ秋のG1シーズンの前哨戦なども近づいてきた。

さて、新馬戦が始まり早3ヶ月が経ちました。毎週いや毎日のように若駒が中央、地方問わず日々デビューをしては勝ち上がり様々なレースに向けての戦いも進んでおります。

今回はそんな中であまり皆さんが注目をしていないであろう新種牡馬に注目して特集をしていき秋以降の新馬戦、未勝利戦、はたまた重賞レースの役に立つ情報を発信していければと思います。

さて、今年はモーリス、ドゥラメンテといった優秀な馬たちの子供たちが次々にデビューしていき秋以降にもスタンバイしております。そんな中で取り上げたいのはこの馬。

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アジアエクスプレスです。「お前そんな馬特集して何の役に立つんだよ」と思うかもしれませんが、今年の新種牡馬として主にダート戦線での活躍が中央、地方競馬で目立つ新種牡馬です。そしてドゥラメンテやモーリスと違って新馬戦や未勝利戦で非常に妙味のある馬だと個人的に思っている一頭でもあります。

実は既に新種牡馬では最初となる重賞勝利を記録していることを皆さんはご存知でしょうか?

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先日行なわれた門別競馬の重賞リリーカップにてソロユニットという馬が勝利をしました。「なんだ地方の重賞かよ・・・」と思うかもしれませんが、この馬の姉は昨年の地方交流重賞エーデルワイス賞(G3)にて中央馬にも先着し現在地方の古馬相手に強い競馬を続けているアザワク。そしてこの馬もまた現在デビュー2戦目から4連勝中で秋にはホーム門別にて中央勢相手に好走する可能性も高いだけに注目しておいたほうが良いだろう。

この他にも門別2歳重賞の1つ栄冠賞で2着のスティールグレートなど実は中央競馬しか見ていない人たちの知らないところで重賞や2歳戦で活躍する馬が次々に出てきているのを見逃してはいけません。

低額の種付け料と取引額ながら初年度にしてその期待値を超える活躍が目立つアジアエクスプレス産駒ですがどういう特徴があるのか?そしてどんなときに馬券妙味があるのか?その辺なども徹底的に探りながら解説していければと思いますので最後までよろしくお願いします。

※ 解説に入る前に

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それではまずはこの馬の解説から入ろうと思います。

♯1 馬を知ろう。

<1>アジアエクスプレスとは?

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通算 4勝 主なタイトル 朝日杯FS、レパードS

2歳時にダート馬でデビューし連勝で挑んだ朝日杯では初の芝レースながらG1を勝利。3歳時の皐月賞6着後はダートに専念。重賞勝利後に骨折をし休養を挟み6歳まで現役後に引退。ヘニーヒューズ産駒はその特徴として成長と共に筋肉が硬くなり距離幅が狭くなり短距離路線になる馬が多いが、現役時は最後までマイル路線を中心に活躍をした。

全弟には2020年のマーチS3着のレピアーウィットがおり母は北米で現役時に9勝をマークした。現在は日本に繁殖牝馬として導入されており現在1歳馬に全妹がおりシルクレーシング所有馬として順調にいけば来年デビュー予定。

現在は優駿スタリオンステーションにて種牡馬として活躍をしております。

<2> 血統構成と種付け近況

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主にダートの活躍馬が多いヘニーヒューズの後継種牡馬でルーツとしてはストームバード(ストームキャット)の系譜を辿る。

ヘニーヒューズを種牡馬として日本導入前にマル外としてデビューした馬ということもあり母系も米国系でガチガチに固めている。この点が現在日本で多く活躍するヘニーヒューズ産駒とは少々異なる点でもあり早熟性がより高い一因でもある。

初年度に種付け料60万円で募集をされると非SS系でヘニーヒューズの後継ながら低額かつ芝での実績がある点、ダート種牡馬の代表格であったゴールドアリュールやサウスヴィグラスの死去なども重なったことから2017年175頭、2018年205頭と順調に数を増やす。

2019年以降は産駒デビュー前にも関わらず種付け額は倍の120万円に設定となったが昨年も172頭の種付けをしており毎年のように数を落とすことなく勢力を拡大しつつある。

今年より同じヘニーヒューズ産駒でフェブラリーSを勝利しているモーニンが低額の50万円にて種付けを始めたことや、今年G1かしわ記念を勝利し先々種牡馬入りをするであろうワイドファラオといった馬たちと母馬の取り合いになる可能性もあるがその馬たちの先駆けとして後継種牡馬になれたことがこの馬最大の幸運だっただろう。

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と、まずは簡単にこの馬についての紹介をしてきましたが、ここまでを読んでどのような印象を持たれたでしょうか?血統について詳しい人なら恐らくこのような感想を持たれたと思います。

「THEヘニーヒューズ産駒じゃん!!!」

ヘニーヒューズは現在日本に種牡馬として導入されて時間が経過したこともあり芝を走れる適性を上げるために母父にディープインパクトがいる馬を種付けしたり、距離適性や成長幅を伸ばすために色々な血を混ぜていることで従来より早熟性やダート色が薄くなった馬や距離適性の融通が利く馬が増えたように感じます。しかし、このアジアエクスプレスはいわゆる初期型のヘニーヒューズのイメージをそのまま表した馬であるということを認識して欲しいです。

そしてこの馬の面白いところは芝のG1を勝利しているという点。現在ヘニーヒューズ産駒で芝の重賞レースを勝利しているのはアジアエクスプレスとワイドファラオの2頭のみ。そしてまだまだ確率は低いが芝を走れる適性は受け継がれている部分は感じるだけに今後どこかで強い芝馬が誕生してくる可能性を秘めている魅力は他のダート血統の種牡馬とは異なる点だろう。(例 パイロ、フリオーソ、スマートファルコンなど)

そしてかつてのヘニーヒューズ産駒のような超早熟色な部分が強く遺伝がされ新馬戦、未勝利戦の好走につながっているのは見逃せない点です。

では次は実際どのような条件で活躍が目立つのかについて解析していきます。

♯ 2 得意な条件と今後の注目馬

<1>芝、ダートの成績比較(ダートは中央のみ)

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芝成績

0.1.2.18

勝率 0% 連対率 4.% 複勝率 14.3%

ダート成績

3.0.0.5

勝率 37.5% 連対率 37.5% 複勝率 37.5%

芝のレースにて新馬戦、未勝利戦を使う馬もいますが現状好走率が高いのはやはりダートだろう。ただし芝で全く無視するのも怖い一面もあるだけに注意が必要な場合もある。

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実際これまで3回馬券に絡んだうちの2回は人気を落とした際の好走とダート馬というイメージが先行してのしてやったりのレースが目立った。

父が芝の2歳G1を制覇しているというポイントを考えると芝が走れないということはなく同時に完成度では他の馬に勝っているというアドバンテージを生かせるメンバー内なら芝のレースでも充分通用するだけのポテンシャルはあるので人気薄の際は馬券の相手として「早熟だしもしかしたら・・・」という気持ちで入れておくと良いかもしれない。

そして今度はダートの好走例を分析していく。

これまで中央競馬でマークした3勝の内容は以下の通りとなる。

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まず大きなポイントとしてはスタートが上手い馬が多いという点。

ヘニーヒューズ産駒にも共通しているのだが新馬戦や未勝利戦に強い最大の要素はスタートが上手い良い馬が多いことが一つの理由として挙がる。特にダートの場合はスタートでハナを奪いどれだけ二の脚でいけるかがカギとなるのだが完成度が高いうえにスタートが上手いのであれば初戦から押しきれてしまうのが最大の魅力だろう。

そして道悪馬場も得意としているので脚抜きが良くなれば良くなるほどそのポテンシャルを人気関係なく発揮できるのはまさしく馬券妙味のある一頭といえる。現状では持ち前のスピードを生かして逃げ、先行する競馬をする馬が大半だが3歳以降に成長を促して差しや追い込みでも競馬が出来る馬が出てくるとまた違った可能性が広がるかもしれない。

次に短距離に強い馬が非常に多いという点。

ヘニーヒューズ産駒の場合はデビュー時から短距離系の馬も多いがマイル程度であれば距離の融通が効く。これが成長と共に筋肉が硬くなることで身体が詰まり短距離馬にシフトしていくのだが、アジアエクスプレス産駒は初期値から筋肉質で胴が詰まったような馬が多いのが特徴。

筋肉質で完成度が高いのであれば前述したスピード力と前進気勢を生かして短距離戦でなら新馬、未勝利戦から活躍できる条件は揃えている。

その一方で活躍できる場所が限定されてしまうというマイナス点として挙がる。中央競馬の場合ダートの短距離の番組は特に少なく使えるところが無いからと無理に距離延長をしたり、芝のレースを使うことで馬が低迷してしまう可能性もある。また最大の問題点として成長力が乏しそうな馬が多いことからいざ条件が増えてくる3歳夏以降には能力の劣化、成長力の限界で低迷して最後まで力を出し切れず枯れてしまう馬が今後続出する可能性もあるのではないか?と個人的には懸念している。

ヘニーヒューズ産駒は一説によると10戦前後を使うと枯れ始めるという話があるが、アジアエクスプレス産駒もそれと同等もしくはそれ以上に早く成長の限界点を迎えるかもしれないのでこの点を乗り越えることが出来るか否かなども長いスパンで見ていく必要がありそう。

そして完成度が高い=強い というわけでもないのが競走馬の難しい点でもあり父親が早熟で完成度だけが高い質の悪い馬が増えて大敗をするシーンも今後目立っていくことも予想される

<2>注目馬の紹介

① キモンブラウン(牝馬)

馬主 小林 詳晃 氏(Dr.コパ)

厩舎 手塚 貴久(美浦)

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新馬戦は福島ダート1150mでデビュー。12番人気という低評価ながら内枠から絶好のスタートを切ると、重馬場、小回り逃げ有利の福島競馬場の恩恵もあり見事に勝利。

前走は芝のダリア賞に挑むと最後の直線にて失速し大敗。現在は放牧に出ており今後はダートの短距離路線に活路を見出す可能性が高いとみている。

牝馬で短距離スピード特化していることから体調が合うなら10月に門別競馬場で開催される交流重賞エーデルワイス賞(G3 1200m 牝馬限定)なども候補としては面白く、馬主の小林氏は門別とのコネクションも強いことから今後この馬の活躍の場を広げるために移籍を行う可能性も充分に秘めている。

再びの芝路線or小林氏の馬に多い短距離ダート路線に舵を切るのか次走以降に要注目。

② シングフォーホープ(牝馬)

馬主 大塚 亮一 氏

厩舎 清水 久詞(栗東)

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母セイユウヴィーナスは現役時は地方競馬の下級条件で走っていた馬で実績はないが兄弟にはビーチサンバの母親でもありフサイチエアデールがいる良血馬でその初仔になる。

8月19日にゲート試験を合格しておりこの度馬名も設定される運びとなった。恐らくだがコロナウイルスの影響で始まった「上を向いて~SING FOR HOPE プロジェクト」に掛けて名付けられた馬なのだろう。

これから調教などを詰めて行きデビューを迎えることになるがゴール前に坂がなく持ち前のスピード力が生かせる京都開催が候補になりそう。

ワールドプレミアの馬主で最近アドマイヤ冠の馬の大半を引き取ったことでも話題の大塚 亮一氏の持ち馬という点でも注目。

③ キミワテル(牡馬)

馬主 浦邊 輝實 氏

厩舎 武藤 善則(美浦)

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中央競馬に現在登録されている2歳馬全44頭中ノーザンファーム生産のアジアエクスプレス産駒は全部で3頭いる。その中で一番注目されているのはフェアリーテールという馬(これ書いたあとに新馬戦で大敗しました)、これはあくまで一口馬主の馬であるという点が大きいのでまったくノーマークな馬に注目してみた。

母ラインダールは新馬戦2着も勝ち上がることなく引退し即繁殖入りをしてその初仔にあたるのだが注目したいの母系の血統面。

祖母のチアズメッセージは現役時京都牝馬Sを勝利しその他にも愛知杯、マーメイドS、チューリップ賞などでの好走歴もあり桜花賞にも出走。繁殖面では2012年に目黒記念を勝利したクリプトグラムを輩出しており、その他にも親戚に条件戦で長距離戦を使われているロビンスソングがいる。母親の血が上手く遺伝すれば芝の適性が強く出た上で距離幅が出るアジアエクスプレス産駒になる可能性を秘め亜種になる条件は揃えているだけにどういう使い方をしていくか?など他のアジアエクスプレス産駒より気になるところが多い。

もちろん芝の適性がある馬にダート寄りの馬をつけると器用貧乏になるリスクはあるがこればかりはやってみないとわからないため現状では評価を控えたい。

ノーザンファーム生産馬ということで恐らくデビューは芝になる可能性が高く現在は放牧に出ていることからデビューまでは時間を要しそうだがその際は初戦から注目をしてみたい。

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当初この後に地方競馬編を記入していたのだがパソコンの突然のアクシデントでデータが全て飛んでしまう悲劇で気持ちがバキッと折れてしまいました(´;ω;`)ウゥゥ

また、前半で既に5000文字以上を打ち込んでいることから前後編という形で後編にて地方競馬の注目馬などを紹介していければと思います。

後編の公開は早ければ9/3(木)から9/4(金)を予定しております。場合によっては来週以降にずれ込む可能性もありますがなるべく早めに公開できるよう製作を進めてまいります(''◇'')ゞ

後編もこうご期待🐎!

もしこの予想を読んで的中した!大きな何かがあった際にはぜひお願いします。 図々しいかもしれませんがサポート大歓迎お待ちしております。