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始まりました!ウマ娘3期!
いよいよTVアニメ「ウマ娘」第3期放送が始まりました!!!!!!!
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今回はキタサンブラックとサトノダイヤモンドがメインキャラということで、「1期&2期は競馬を知らない時期のお話だったけど、キタサンとサトダイはリアルタイムで見てたから楽しみ~」という方も多いでしょう。
一方で、ウマ娘のゲームアプリをきっかけに競馬を始めた方は、「キタサンブラック?あ~イクイノックスの父親ね?」という感じで、現役の時にどんな馬だったかご存知ない人も多いはず。
そこで、弊社・競馬ブックが持っている当時の新聞や週刊誌を使って、あの時のことを振り返ってみようという企画を立ち上げました。生でキタサンブラックを見たことがある人も、そうでない人も楽しめるような記事を作れたらいいなと思っています。
案内人を務めますのは「勝馬」編集部の後藤です。
初回はキタサンブラックの新馬戦~皐月賞前夜までを振り返ります。
(*なお、この原稿はアニメ1話放送前に書き上げました。)
①スパッと切れてデビューV
皆さんは、キタサンブラックについてどんなイメージを持っていますか?
「スピードを生かして先行して、そのまま押し切る」
大体、こんなイメージでしょう。ゲームウマ娘の育成でも、キタサンブラックは「逃げ」や「先行」のスキルと相性が良いですからね~。
ただ、そんなキタサンブラックが直線「追い込み」を決めたレースが生涯に2回あります。それがG1初勝利を飾った菊花賞・そして新馬戦です。
キタサンブラックがデビューしたのは2015年1月。同じ世代の馬と比べてちょっと遅いデビューになりました。デビューの地は拠点としている関西の京都競馬場ではなく、関東の東京競馬場を選択。というのも、キタサンブラックが所属する清水久詞厩舎は関東の新馬戦を使うことが非常に多い厩舎として有名で、今年の9月の中山開催でも厩舎の後輩のシュシュトディエスがデビューVを飾りました。
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2015年1月31日―東京は前日夜更け~未明にかけて少し雪が降り、発走時刻を少し遅らせてのスタートでした(当時のレース映像にもコース脇に雪が残っていますね)。この日、私はたまたま東京競馬場にいたのですが、めちゃくちゃ寒かったことを覚えています。
それでは、当時の新聞を見てみましょう……
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印からも分かる通り、キタサンブラックはまあまあの人気でした。なんてったって勝馬のファンにはお馴染み「山崎武」が◎を打っていますからね。
1番人気は単勝1.7倍という断然の支持を集めたミッキージョイ。
父はディープインパクト・母はG1馬の妹というピカピカの良血馬。
2番人気も同じくディープインパクト産駒の良血ペブルガーデン。
キタサンブラックは上記2頭に次ぐ3番人気でした。
この時代の競馬はディープインパクト産駒やキングカメハメハ産駒の全盛期。父ブラックタイド・母の父サクラバクシンオーという王道から少し外れた血統のキタサンブラックはファンの目から少し地味に映りました。
そうなのです、キタサンブラックは「地味」なのです。
今でこそ、馬主の北島三郎さんのような大スター的な扱いをされているキタサンブラックですが、初めのうちは(少なくともオッズ的な意味では)地味な存在でした。キタサンブラックが初めて1番人気に支持されるのは、キャリア12戦目の2016年京都大賞典。菊花賞を勝っても、天皇賞春を勝っても、1番人気に支持されなかったように、あくまで脇役・よくて準主役級の扱いでした。そう、キタサンブラックは最初から大きな注目を浴びていた訳ではなく、徐々に力をつけて強くなって世間の評判を覆したタイプの名馬です。
デビューする前からクラシック候補と騒がれ、常に人気を集めていたサトノダイヤモンドとは対照的ですね。
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さて、レースではまずまずのスタートを決めると中団待機を選択。しっかり折り合うと、直線では大外から鋭い伸びを披露。最後は断然人気のミッキージョイに競り勝ち、見事デビュー勝ちを飾りました。
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キタサンブラック(1着)後藤浩騎手 力むことなく上手に追走できた。道中、楽をしていた割に追ってからモタモタしていたが、それでも外から2着馬が来るとグッとやる気になってくれた。大きな馬だし、トビも大きいので、これから良くなってくると思う。
鞍上の後藤浩輝騎手は、「これから良くなってくると思う」とキタサンブラックの将来を期待するコメントを残していますね。ちなみに、2着に敗れたミッキージョイは後にオープンクラスまで出世したほどの馬。新馬戦はまさに「相手が悪かった」ということでしょう。
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見事デビューVを飾ったキタサンブラック。なかなか良い勝ちっぷりだったので競馬ファンの中でも少しは注目される存在になったのですが……。
なんと、翌日の東京競馬場で凄い馬が出てきてしまったのです。
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その名はドゥラメンテ
残り200m地点からギューーーーーンと加速すると他馬を置き去りに。
そして走破時計は衝撃の1分46秒9!
同じ開催の重賞・共同通信杯クラスの時計を叩き出したのです。
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ドゥラメンテ(1着)石橋脩騎手 凄い馬ですね。今日はゲートのことなど不安な面を出さないよう心掛けて返し馬に入りましたが、落ち着いていていい気配でしたよ。厩舎サイドが一生懸命に調整してくれたおかげですね。レースは見ての通り。いつの間にか先頭に立っているような競馬でした。ここではちょっとレベルが違いました。
鞍上の石橋脩騎手もドゥラメンテを「凄い馬ですね」と絶賛。
【次走へのメモ】ドゥラメンテ……クロス鼻革。太目感なし。再審査明け、出は速くなく接触もあったが、ゲートの不安は無事クリア。中団ポケットで手応え十分。坂下で進路を確保すると持ったまま2ハロン標で先頭へ。そこからは文字通り独走、一気に引き離して5馬身差の圧勝。ちょっとモノが違う。
次走へのメモでも「ちょっとモノが違う」と書かれています。
この勝利でドゥラメンテは一気にクラシックの有力候補になりました。
②後の顕彰馬が単勝48倍って本当ですか?
デビュー戦を快勝したキタサンブラック。次戦も東京競馬場を選択して、フェブラリーS当日の東京競馬場に姿を現します。
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この時のメンバー、平場の3歳500万下(現在の3歳1勝クラス)にしては結構骨っぽい相手が揃っていました。
例えば、1番人気に支持されたダッシングブレイズは後に重賞のエプソムCを勝った馬ですし…
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サトノラーゼンはその後、京都新聞杯V→ダービー2着と活躍
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母ディアデラノビアの超良血馬サンマルティンもいました
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このような豪華メンバーの中では、キタサンブラックはやはり「地味」に映るのです。新馬戦を良い内容で勝ってはいたのですが、どうしても血統や1戦1勝という臨戦過程から他馬に見劣ってしまいます。そして、ファンの期待度は単勝オッズという形で表れ、単勝48.4倍の9番人気でした。
引退レースの有馬記念を単勝1.9倍で勝つ馬が、なんとこの時は全く人気がなかったのです。
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しかし、あくまで人気は人気。レースでは初戦と打って変わって「先行」する形を選択すると、直線ではそのまま後続を振り切って勝利。豪華メンバーを相手に堂々たる走りで勝利しました。
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キタサンブラック(1着)北村宏騎手 自分のポジションでスムーズに運べたし、追ってからもしっかりと伸びてくれました。
清水久調教師 イメージと違った競馬になりましたが、前で1頭飛ばしてくれて、2番手で展開も向いてくれました。それにしても思った以上の強い競馬でビックリしましたね。
清水久詞調教師は先行する競馬は想定外だったようですね。この時から鞍上を務める北村宏司騎手によって、キタサンブラックの戦法は「逃げ・先行」で確立されて行きます。
【次走へのメモ】キタサンブラック……体が締まって上昇。マイネルポルトゥスの大逃げを、離れた2番手で上々の行きっぷり。直線は絶妙のタイミングで追い出し、残り1ハロンで先頭を捉えると、最後は後続を突き放した。2番手以降はスローペースで、展開が嵌まった印象はあるが、粒揃いのメンバーに3馬身差の快勝。今後の活躍が楽しみ。
原稿を担当したTMから「今後の活躍が楽しみ」と評価されたキタサンブラック。この勝利でおぼろげながらクラシックの大舞台が見えてきました。
ところで、このキタサンブラックが2勝目を挙げた週は、競馬界にとって重要な出来事がありました。コパノリッキーのフェブラリーS連覇も凄いことですが……
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前日の東京4R障害未勝利戦でこの馬が勝利したのです。
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後に障害レースを勝ちまくるオジュウチョウサンの伝説はここからスタートしたのでした。平地・障害でともに頂点を極めた2頭が同じ週に同じ競馬場で勝利を挙げていたのは、なにか運命的なものを感じますね。
③権利を取って「まつり」の舞台へ!
デビュー2連勝を飾ったキタサンブラック。次走は皐月賞トライアルのスプリングSに出走します。このレースでは1~3着までに皐月賞の優先出走権が与えられます。管理する清水久詞調教師も
○キタサンブラック(権利取りたい) 清水久師--イメージした競馬と違いましたが、前走は展開が向いたとはいえ、終いまでしっかり。あの内容ならコーナー4つの中山もこなせるでしょう。動きも良かったですよ。皐月賞の権利を取りたいです。
と、コメント。皐月賞への出走したい気持ちが伝わります。
ただ、この年のスプリングSはメンバーが揃っていました。
1番人気に支持されたのはリアルスティール
前走の共同通信杯ではあのドゥラメンテを撃破しました
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2番人気は前年の朝日杯FS勝ち馬ダノンプラチナ
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3番人気は京成杯勝ち馬ベルーフ
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このように重賞勝ち馬が上位人気を独占。
ここまで2戦2勝とはいえ、重賞勝ちのないキタサンブラックは5番人気。またしても「地味」に映ってしまうのです。
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当時の勝馬の紙面を見ても、◎はリアルスティール・ダノンプラチナに集中。キタサンブラックは△印を集める脇役的な存在でした。
ところが、またしてもキタサンブラックは周囲の評価を覆す走りをします。前走と同様に2番手でガッチリ折り合うと、4コーナーで早めに先頭に立ってスパート。最後は外から伸びてきたリアルスティールをクビ差抑えて重賞初勝利を飾りました。
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キタサンブラック(1着)北村宏騎手 ストライドが大きい馬なので、スタートしてからスムーズに走らせることを心掛けていました。いろんな形の競馬を想定していたので、2番手からでもありだと思いました。先頭の馬が早目に下がってきたし、直線では鳩を見て驚いてしまいましたが、それでも最後まで頑張ってくれました。毎回関西から輸送してくるんですが、しっかり体調を整えて競馬に臨むことができています。まだ緩い面はありますが、これまで経験したいろんな競馬をこれから先に生かしていきたいと思います。
皐月賞への権利を「重賞初勝利」という最高の形で獲得することができたキタサンブラック。しかも、ダノンプラチナ・リアルスティールといった実績馬を相手にしての勝利です。これで、胸を張ってクラシックの大舞台へ駒を進めます。
④いざクラシック!
スプリングSから4週間後、キタサンブラックは再び中山競馬場に姿を現します。今度は重賞ウィナーという勲章を携え、堂々の登場です。
この年の皐月賞は 「三強対決」 といった様相でした
1番人気は東スポ杯・弥生賞を連勝で臨むサトノクラウン
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2番人気は共同通信杯勝ち馬のリアルスティール
3番人気は好時計でセントポーリア賞を勝ったドゥラメンテ
キタサンブラックはこれら3頭とは少し離れた4番人気9.7倍
またしても「脇役」なんですよね……
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当時の勝馬の紙面を見ても、◎の数はサトノクラウンが4名、リアルスティールが5名、ドゥラメンテが2名。キタサンブラックは大体の人が△くらいの評価に留まっています。
自分の記憶を全て消して、もう一度このレースを予想することになったらどの馬に◎を打ちますか?私だったら……◎ブライトエンブレムかなぁ……。
皐月賞は衝撃的な結末で幕を閉じるのですが、結構長くなってしまったので今回はここまで。次回はキタサンブラックの前に現れたライバル・サトノクラウンについて少し掘り下げてみたいと思います。
(*記事内で出てきた画像は全て転載禁止です*)