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SNSの話(丹羽崇彰)/週刊トレセン通信

少し前になりますが、2月25日(日)の阪神競馬終了後に、私はXにて以下のポストをしました。原文ママです。

「今週の阪神競馬場は不自然な叫び声が多かった印象です。
とにかく声を出したいだけ、みたいな。

フリーパスの日だったからですかね。

応援のスタイルは人それぞれですが、どれだけ叫んでも着順に影響しないことは確かです。」

普段は大したことをポストしないのであまり反応がないのですが、このポストに対しては思いのほか反響がありました。

現場にいた方から同意の返信を貰う一方、

このポストを引用して、
「マナー講師?」
「好きな馬を応援しているのを嘲笑うのはどうなの?」

「競馬記者までもこんなこと言い出したら終わりよもう 競馬場で叫ぶなって? どんな倫理観してるんだろうね」

というコメントもありました。

正直な私の感想を言うと、読解力なさ過ぎだろう、と思う反面、私の書き方にはトゲがあったな、と反省もしました。

2月の阪神開催はお客さんがそれほど多く入らない分、ひとりひとりの歓声がよく聞こえます。

この週は特に気になったのですが、レース中にまだ馬群が勝負どころにも差し掛かっていない段階から騎手の名前を連呼したり、明らかに上位進出は厳しそうな脚勢の馬の名前を絶叫したりというお客さんの声が多く聞こえました。

他のトラックマンとも、変な歓声だね、と話していました。基本的に毎週競馬場に勤務しているので、言葉ではなかなか表現しづらいのですが、何というか、歓声に違和感を覚えたというか、そんな週でした。

それで文頭のポストをしたわけです。

つまり「変なタイミングでの絶叫に興醒めした」と個人的な気持ちを表現しただけですが、エラそうに口を出すな、と感じた方も多かったわけですね。私は毎週競馬場に来られますが、そうではないファンの方の気持ちをスルーしていました。フリーパスの日云々が反感を買った部分もあるでしょう。

「今週の阪神競馬場は不自然なタイミングで、不自然な叫び声が多かった印象です。

馬券や馬・騎手の応援で熱くなっているというよりよりも、とにかく声を出したいだけ、みたいな。

応援のスタイルは人それぞれで、声援があるからこそ競馬も盛り上がることは確かです。
一方で、どれだけ叫んでも着順に影響しないことも確かです。」

こう書けば、少し柔らかかったかな?

ともあれ、私のような普通の一般人でも、「競馬新聞記者」という肩書きで発信する限り、より一層の注意が必要だと痛感しました。
分かってはいたつもりでしたが、何気なくポストする際に気が緩んでしまいました。

最後になりましたが、レース中の歓声については私はまったく否定していません。歓声があるからこそ、熱いレースになると思っています。それは偽らざる本心です。

コロナの無観客競馬のとき。奥深い阪神外回りの3角で発せられた騎手の声がスタンドまで聞こえてゾッとした覚えがあります。競馬場は広くてにぎわっている印象しかなかったので、お客さんがいないとこんなにも寂しいものかと思いました。

節度ある歓声で、今後も競馬を盛り上げていきましょう。

「当たらない競馬記者が偉そうに言い訳してんじゃねえよ」と思う方がいることを承知のうえで、このブログを書きました。

あ、ちなみにこの2月の第4週は月火に私の体調不良で下準備ができず、水曜になると妻が急性扁桃炎で行動不能に陥り、仕事と家事と育児を並行してこなしていました。おまけに土日ともラジオの仕事があって、娘を寝かしてから連日深夜まで働いていました。2月25日、日曜日の開催が終わって心底ホッとしたことで、気が緩んでしまったんですね。

(本当に言い訳してんじゃねぇよ)

(いや、本当に言い訳したかったのではなくて、読んでくださる方にクスッとしていただきたかっただけで、「あ、ちなみに」から始まる部分は冗談で書いています。)
(私と妻の体調不良は本当です)

栗東編集局 丹羽崇彰


丹羽崇彰(調教担当)
1989年2月1日生まれ。岐阜県出身。2013年、キズナがダービーを勝った年にケイバブックに入社。普段は栗東坂路の調教や編集作業を担当。夏場は北海道に出張します。そろそろ北海道に向けてそわそわし出す時季になりました。
このブログを書くにあたってXで「丹羽崇彰」とエゴサしようとしたら、私の名前を騙った偽アカウントがありました。ただ、フォロー3人、フォロワー0人、ポストも0。いったい私のドッペルゲンガーは何をしたいのでしょうか。

本稿は2024年4月17日に「競馬ブックweb」「競馬ブックsmart」に掲載されたコラムです。下記URLからもご覧いただくことができます。


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