見出し画像

馬房のハナシ

こんにちは!栗東の青木です😊
今年も12月に突入し、2024年まであと少し。
社会人1年目、時間の流れが尋常じゃなく早いな~と感じながら日々過ごしています。

さて、またまたトレセンに取材しに行ってきましたので楽しくお読みいただけますと幸いです🙇🏻‍♀️




取材の誘い📝


栗東を囲む山々の色づきもだいぶ進んできた11月中旬、とある知り合いの方から「馬房に敷くマットの取材をしてみない?」と声をかけていただきました。
「馬房に敷くマット、、、?🤔」と思いましたが、疑問は一瞬にして興味に。二つ返事で引き受け、紹介していただいたのがアバンティオン株式会社 Global Selleria代表の北川信介さん。
北川さんの会社は厳選した馬具を扱っている馬具屋さんです。

連絡先をもらってお電話したところ、新谷厩舎でそのマットが実際に使われているようで「もう先生には話をつけてあるので、取材は来週で大丈夫ですよ。」と、早くも新谷功一調教師に話を通して下さっていました。(ポンポンと話が進みすぎて内心びっくりしました😲)

コンフォートストール🐎


まずはそのマットについての説明を。
新谷厩舎で取り入れているのが「コンフォートストール」というもの。
馬房に二層になっているポリエチレンで出来たクッション材を敷き、ラバーシートを被せて使うものでかなりクッション性が高いそう。

下に敷かれているポリエチレンのクッション

北川さん曰く「オガチップ(木を削ったもの)が要らないくらいのクッション性です。おしっこを吸収するために入れていますが、それでも馬房に入れる本来の量の1/5~1/6程度で済みます。」とのこと。
馬房に入らせてもらい実際に踏んでみましたが、人間の私でも気持ちいいと感じるくらいでした😳
(下の写真はサイトからお借りしてきました。)


コンフォートストール

新谷調教師に聞いてみた👂🏻

実際に厩舎で導入している、新谷功一調教師にお話を伺いました!

ーー基本的に馬房に敷かれているのはオガチップか寝藁だと思いますが、そもそも二つはどう違うのですか?

両方ともホコリは出ますけど、オガチップの方が作業が簡易的です。
寝藁のほうが小さい傷や爪に対して優しいという利点はあるけど、食べてしまって体重管理に影響が出ることもある。
その点オガチップは食べられないから体重管理がしやすいですね。ただ、馬の皮膚はデリケートだから傷などに対して刺激になるリスクもあります。

馬房内の掃除はオガチップのほうが圧倒的にしやすいです。
寝藁は値段が高いから天日干しして再利用しないといけないし、その労働時間があるなら馬に使いたい、と考えてますね。

横から見るとかなりチップの量が少ないのが分かります👀

ーーコンフォートストールを導入した理由は?

例えば人間って年を取るほど畳がいいと思ってて。
理由としては、硬い地面や床で生活するよりも関節に優しいから。
特に馬はアスリートだから、いかに関節を休息させるかという点で選びました。トレセンで取り入れたのは、美浦と栗東の厩舎を通してうちが初めてですね。

昔から馬房の地面はベトン(砂を押し固めたコンクリートのような材質)に寝藁を敷いて排泄物を吸収しているけど、ソエとかが出るのは地面の硬さで関節や骨が休息できていないからだと思う。もちろん出る馬もいるけど、うちはソエが出る馬は本当に少ないかな。
ベトンだと馬が地面を掘ってデコボコになってしまって、結果関節に良くない。ゴムマットだけを敷いても、硬い地面に敷いたところでよっぽどの厚さと質がなかったらそこまでの緩衝もないからね。

あとは蹄にもいいのかなと感じています。外を歩かせたら痛そうにしてても、馬房に入れたらそうでもなさそうだなとなる。それだけクッションが効いているんでしょうね。
チップの量が減らせることで馬房を掃除するときの作業効率も上がるし、最近は物価が高騰してるからそこも抑えられていいなと思ってます。

日本の競馬は海外に比べて出走する頻度が高いんですよ。
馬主さんとしても、年間5回は走ったほうが嬉しいはず。いかに効率よくレースに出るか、というのが日本の競馬。
出走させて勝たせて、賞金も獲らなければならないという仕組みのなかで、どれだけケアをして競馬に繋げられるかが重要かなと思います。

ーー取り入れて変わったことや良かったと感じる点はありますか?

うちの厩舎は出走回数が特別に多いわけではないけど、在厩実馬出走頭数というのがここ2年間1位です。馬を競馬に持っていける状態を維持するのは、馬主さんにとっても重要ですからね。そういうところに繋がっているんじゃないかな。

(厩舎スタッフの方)「腰角こしかどを擦ってる(床ずれを起こしている)馬がいないですね。別の厩舎にいたときはちらほら見かけたんですけど、この厩舎にはほとんどいません。放牧先でつくって入ってきても、いつの間にか治ってる。新谷厩舎に入ってから、馬房にいて寝起きの際に床ずれを起こしている馬は見たことがないです。」

それに関しては、上に敷いているゴムが一枚ものっていうのもあるかもしれない。通常だと何枚かにカットしてあるものを使うけど、それだとズレたりするし馬房掃除の作業にも手間が増える。ゴムが一枚ものだから取り入れた点でもあります。

(左から)新谷功一調教師、騎手課程41期生 田山旺佑さん、食事中のクラウンプライド


あとがき📖

馬房のハナシ、いかがでしたでしょうか👀
今回の取材を通して、まだまだ知らないことだらけの馬と競馬って奥深いなぁと改めて感じました。
新谷厩舎は馬房から出たときに馬が足を滑らせないようにゴムブロックレンガが敷かれた通路になっているのですが(こちらも北川さんが設置したものだそう)、馬房以外にも馬に負担をかけないような工夫がされていて大変興味深かったです。
また、初めて調教師の方とお話しさせていただいたのですが、気さくな新谷調教師を始め厩舎の方々も明るく、そういったところもいい馬作りに繋がっているのかなと感じました。
貴重な機会を下さった北川さん、お話しして下さった新谷調教師、厩舎スタッフのみなさん、ありがとうございました!

(取材・青木慶子)



👆北川さんの会社「アバンティオン株式会社 Global Selleria」
乗馬用品などもあるので、乗馬される方もぜひ覗いてみてください✨


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?