クリスマスパレードは怪物なのか? (田村明宏)/週刊トレセン通信
コロナ禍の2020年の4回中山から公表されるようになった芝のクッション値。この開催の過去4年の良馬場の平均が9.74で昨年は一度も10.0を上回ることはなかった。こういう傾向は続くようで開幕週で高い数値が出るとその後も平均的に高い数値をキープしている。今年は土日とも良馬場で10.4、10.2と昨年に比べると明らかに高かった。9月に入っても好天が続き、気温も高い今年はこのまま馬場状態も良好になるだろう。積極的な立ち回りが好走に結びつきそうだ。
初日の7R、古1勝クラスで芝2000メートル1分57秒7という好タイムが出た時点でメインの紫苑Sも速いタイムがでることは予想されたが、1分56秒6の好タイムで今年の皐月賞1分57秒1のレコードをいきなり更新したのには驚かされた。前出の古1勝クラスはパルティキュリエ、皐月賞もメイショウタバルという逃げ馬がいたせいでマークされた面があった。それに対して紫苑Sは逃げたイゾラフェリーチェこそバテてしまったが、勝ったクリスマスパレードは2番手からの押し切りだったし、前半3ハロンよりも後半3ハロンが速い後傾ラップ。つまりラップに乱れはなく地力で勝ちに行ってそのまま押し切り、可能性としてはまだ余力があったとも言えるものだった。
4年前の勝ち馬ファインルージュが本番で2着、3年前には勝ったスタニングローズが連勝したように秋華賞との関連性を高めているレース。重馬場を考慮すると好タイムだった昨年の紫苑Sが秋華賞につながらなかったようにトライアルの好時計が本番での好走を約束するものではないが、夏場をしっかり休ませてここに挑んだ勝ち馬が余力を残してこのタイムをマークしたのなら疑ってかかるよりは可能性に賭けてみたい。そう思わせる内容だった。
美浦編集局 田村明宏
本稿は2024年9月11日に「競馬ブックweb」「競馬ブックsmart」に掲載されたコラムです。下記URLからもご覧いただくことができます。
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